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2007年11月11日
米国の中東政策について
昨今、中東地域の情勢以外にも世界に紛争ごとが絶えず発生し、小規模ながらも国内情勢が緊迫化する事態が頻発しています。その中で米国の態度は両極端であり、世界戦略上で自国に都合の良い立場で、理念なき外交を展開しているように見えます。
ライス国務長官が今月初め、トルコ入りし、クルド人武装勢力組織(PKK)に対するトルコ軍の動き、越境軍事作戦について協議を進めました。米国は作戦の回避を求めていますが、イラク北部に跨るクルド人テロ組織は敵視しており、何らかの行動については否定していません。
ワシントンでブッシュ大統領とトルコのエルドアン首相が会談し、当面の軍事作戦は延期されましたが、トルコ側は「忍耐の限界」と述べたように火種は燻っており、いつ導火線に火がつきかねない問題です。仮にトルコが越境作戦を強行するときは、米国側も支持に回らざるを得ず、その時はイラク側からの両面作戦を展開するものと思われ、中東が一気に緊迫化しそうです。
一方でパキスタンでは、ムシャラフ大統領が非常事態宣言を発令し、政治情勢が一気に緊迫化しました。米国はムシャラフ大統領を支援してきましたが、民主化の波を覆す今回の強硬な手法にも、態度を決めかねるような動きを示しています。ムシャラフ大統領が下院選を1月初旬に実施する発言を行っていますが、最高裁判決が仮に大統領の意向にそぐわない場合は更に国内は混乱するでしょう。
問題はパキスタンが保有する核であり、米国が懸念しているのは、イスラム勢力で唯一の核保有国であるパキスタンが、反米の気を強めて核を拡散させることでしょう。ここでパキスタンの支援を停止すれば、アフガンやイラクの二の舞となり、米国に敵対する勢力の押さえ込みに軍事力を行使しなければならなくなります。
米国はミャンマー軍事政権を敵視していますが、一方で北朝鮮には宥和政策をとっています。両軍事政権が近いことは周知の事実ですが、核情報の漏洩は出元を管理下におくことで対応する、米国のその姿勢は北朝鮮が強硬路線に転換すると、一気に崩れる脆弱な政策です。短期的な利で動くと、いずれここでも米国の失政により緊張が高まる可能性もあります。
世界一の軍事力を誇る米国は他国に対しても静観は許されず、制裁か支援かで区別される、そうした外交政策を展開しています。問題はその政策も、米経済の行く末次第ではどちらも行き詰まり、結果的に世界は流動的になる恐れもあることです。ドル暴落と双子の赤字を抱えた米国が、実力を行使し続けるために日本に支援を求めることは、ゲーツ国防長官の発言でも明白です。その時、日本は更なる負担に耐えられるだけの財政事情なら良いのですけれど、そうでない場合はかなり難しいことになりそうですね。
analyst_zaiya777 at 23:19|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │アメリカ | 中東
2007年11月10日
経済の話。米国の混乱
米国経済が不安定な状況に陥っています。一時の楽観論は陰を潜め、ダウは13000$割れ目前であり、NASDAQは2650ptを割りました。これが深刻なのは、ドル安と同時進行で起こっていることであり、欧州勢や日本から見るとその価値の下落は見た目以上に大きくなることです。
これはサブプライムの問題というより、私はFRBが8月以降に行った対策が失敗に終わった結果だと考えています。7月から続く金融機関の混乱で、欧米の中央銀行は資金供給を続け、その間にFRBは二度の金利引下げを行い、政策金利を5.25%から4.5%にしました。
更に9月の声明文でインフレ警戒を弱め、景気刺激策を優先して市場に楽観論ばかりを広げました。その間に起こったことは原油や金の最高値更新であり、資源高騰の波が全世界を襲い、それによるインフレの進行です。米では10月の輸入物価指数が1.8%と高い伸びを示し、これまで抑制のきいてきた米国内でもインフレが意識される水準まで高まりました。
経済の基本に有るのは、市場に流通するマネーの量と流通する物資の量の関係です。FRBは一時的にしろ資金量により不安感の解消に努めましたが、これは諸刃の剣の政策です。インフレ抑制が効いている間に経済が巡航速度に戻れば良し、そうでなければインフレ進行が経済全体を急速に悪化させる可能性もある、ということになります。
バーナンキ議長が「顕著な減速」や「来春まで混乱は続く」、「サブプライム損失は1500億$に拡大の可能性」と議会証言で述べたことは、全て8、9月の自身の発言を覆すものであり、当初見込みより想定以上に経済事情が悪化していることを示しています。つまりこれはFRBが一時的な景気刺激策をとったものの、経済混乱は収まらず、今後の対策が非常に厳しいものになったことを示しています。
この段階にいたってもFRBは資金供給を続け、金融市場における12月の利下げ期待値はほぼ100%に近付いています。ダウが13000$台をキープしているのもこの期待であり、それにそぐわなければ更なる下落も見込まれる状態に陥っています。FRBが両睨みの金融政策に移行せざるを得なくなった今、米国経済には更なる警戒も必要です。
本来、8月で利下げと同時に文言だけでも資金供給はやめ、インフレ警戒と両睨みであることを示しておけば、もっと尤度のある経済政策がここにきて出来たはずです。今資金を吸収などすれば、金融不安が拡大して更に混乱が進む可能性もあります。たった一度だけ使える景気刺激策とインフレ警戒との両立の政策を見送った先に、インフレが発生したのですから、FRBが今後支払わされるツケは大きいのだと思いますね。
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/