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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071105/139687/
Steve Rosenbush (BusinessWeek.comシニアライター、ニューヨーク)
米国時間2007年10月23日更新 「A Record Year for Layoffs in Finance」
公式発表──。今年、米金融サービス業界での人員削減は、まだ2カ月以上も残っているというのに、既に過去最悪の規模に達した。
年初から10月までに、金融関連企業が発表した解雇者の合計は13万人(転職斡旋の米チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの調べ)。昨年の公表数5万人の倍以上、2001年に記録した過去最高の11万6000人を優に超える記録的な数字だ。
金融業界はサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)で被った大損にあえいでいる。高リスクな社債や法人向け融資も悩みの種だ。「今年、金融業界はかつてないほど大量の人員削減を経験している」とチャレンジャー・グレイの広報担当者ジョン・ペダーソン氏は語る。ただし、同社が把握しているのは解雇人数のみで、新規雇用との比較や業界の総雇用人数は追跡していない。
ウォール街に吹き荒れる人員削減の嵐
人員削減の約8割は、ここ2カ月の間に公表されたものだ。ちょうど住宅不況の深刻さが色濃くなり始めた時期に重なるとペダーソン氏は言う。
当然、住宅金融会社は特に削減規模が大きい。業界最大手の米カントリーワイド・フィナンシャル(CFC)は、9月に人員削減を実施。総従業員5万6000人のうち、1万2000人が職を失った。ほかに、米インディマク・バンコープ(IMB)が9月に1000人、米アクレディテッド・ホーム・レンダーズ・ホールディング(LEND)が8月に1600人の削減計画を発表している。
同じ8月には、米クレジットカード大手キャピタル・ワン・フィナンシャル(COF)も、住宅金融子会社グリーンポイント・モーゲージを閉鎖し、約1900人を解雇することを明らかにした。
人員削減の波は、サブプライムローン事業に関連する企業のみならず、さらに広範囲に及んでいる。M&A(企業の合併・買収)を担当するベテラン銀行員、金融機関の財務担当者、トレーダーにも解雇の嵐が吹き荒れた。流動性危機で生じた損失(BusinessWeek.comの記事を参照:2007年 9月17日「Investment Bank's kitchen-Sink Quarter」)により、ウォール街は2003年以来、初めて経験する大規模な人員削減を余儀なくされているのだ。
インドや中国への配置転換を命じられる者も
主要金融機関が公表した人員削減数をざっと見てみると──。米モルガン・スタンレー(MS)が300人、米ベア・スターンズ(BSC)が310人、英HSBC(HBC)が750人、スイスのクレディ・スイス(CS)が170人、同じくスイスのUBS(UBS)が1500人。人数は明らかにされていないが、米メリルリンチ(MER)もサブプライムローン担当部門の人員を削っている。
モルガン・スタンレーの場合、リストラされた人員の大部分は法人・証券関連業務(投資銀行、債券、株式、調査など)に携わっていた者だと関係筋は明かす。地域別に見ると、約3分の2が米国、残りの大部分は欧州勤務の人員で、アジアでの削減は一握りだ。
職を追われる者の中には、インドや中国への転勤を勧められる者もわずかながらいる。ビジネスの拡大中にもかかわらず現地で適任者を見つけるのがいまだ困難だからだ。
モルガン・スタンレーの広報担当、マーク・レイク氏は、「決算準備の一環として、現在の市場状況に見合うよう一部の事業規模を縮小している。同時に、最も成長が期待できる(海外の)地域に人材を振り分けている」と説明している。
投資銀行では500万ドルプレーヤーも解雇の対象に
投資銀行業界では雇用人数を公表しないのが通例であるため、削減割合の算定は難しい。
だが、「専門家はその割合を約10%と読んでおり、サブプライムローンやレバレッジド・バイアウト(LBO、相手先資産を担保にした借り入れによる買収)へのエクスポージャーが大きい部署では、リストラ規模の拡大が予想される」と、スイスの管理職専門人材斡旋会社エゴン・ゼンダー・インターナショナルのマネージング・パートナー、ゲイリー・マトゥス氏は指摘する。
今のところ、投資銀行の人員削減数は、2000年の株式市場暴落後に起こった大量解雇の時の約半分にすぎない。とはいえ、ここ数年、雇用と利益の拡大が続いていただけに、この程度でも十分に衝撃的だ(BusinessWeek.comの記事を参照:2007年1月9日「Finance Salaries: Up, Up, Up」)。
とりわけ銀行は、2000年代初期よりもスリムになっている。そのため、リストラは年300万〜500万ドルを稼ぐチームリーダーのような取引責任者レベルにまで及んでいる。
「投資銀行業界では、過去5年間で最も激しい雇用調整が進められている。これはただならぬ事態だ」(マトゥス氏)
プライベートエクイティにとっては対岸の火事?
プライベートエクイティ(非上場株)投資会社やヘッジファンドは、予想収益は落ち込んでいるものの、今のところ人員削減を迫られるところまでには至っていない。「プライベートエクイティは、まだ安全だ」と、プライベートエクイティやヘッジファンド業界を専門とする管理職斡旋会社米グロキャプ・アドバイザーズのブライアン・コルブ氏は言う。
業界専門家によると、プライベートエクイティは最盛期でさえ最小の布陣で運営されていた。調査業務などを外部コンサルタントに委託することも多い。あるヘッジファンドのマネジャーは、人員を削減する余地がほとんどないため調査費用を削ったと、匿名を条件に明かした。また別のヘッジファンドのマネジャーは、数年前に調査員の予算を削り、自分の報酬分くらいは稼ぎ出す能力のあるトレーダーを数人雇ったと語った。
今後数カ月で信用市場や株式市場の問題が解決しなければ、金融業界で働く者はさらなる人員削減に見舞われることになる。ある業界幹部が言うように、「もっとリストラが進むという不安は確かに存在する」。
金融のプロにとってストレスの多かった1年には終わりが近づいている(BusinessWeek.omの記事を参照:2007年10月15日「Stressed Out on Wall Street」)。しかしその前に、さらなる苦悩が待ち受けている可能性は否定できない。
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