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[東京 30日 ロイター] 日本株の出遅れが鮮明になっている。30日のアジア市場では、中国やインドの株式市場が上昇する中で、日経平均だけが一時、前日比200円を超す下げとなり、独自の値動きを強めている。一部の欧州系金融機関が日本株への投資判断を引き下げたことも影響しているとの見方が出ている。
31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)決定を受けた後のマーケットでも日本株が置き去りにされるリスクが大きそうだ。
<香港、インド株式市場で最高値更新>
30日のアジア株式市場では、香港株式市場のH株指数が一時1.61%上昇して最高値を更新。上海総合指数も上昇した。インド株式市場では、SENSEX指数が最高値を更新し、新興株式市場へのマネー流入が加速している。
他方、日経平均は大引けにかけて下げ幅を縮小したものの、前日比マイナス圏で取引を終えた。市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとして積極的な売買が手控えの中で「海外勢のバスケット売買が細っている。クレディ・スイスが日本株の投資判断を引き下げたことも材料視された」(準大手証券トレーダー)という。
<クレディ・スイスが日本株の投資判断を引き下げ>
クレディ・スイスは29日、世界の株式の投資判断を改定した。日本株については、他と比較した経済の勢いが依然として「極めて弱い」とし、投資判断をこれまでの「ベンチマーク」から「15%アンダーウエート」に引き下げるとした。
市場では「日本株が世界株高から出遅れていることを追認するものであり、投資判断の引き下げが他の証券会社に波及するようであれば、グローバルファンド等による出遅れ修正の買いが期待しにくくなる。ネガティブ材料だ」(大手証券売買担当者)との見方が出ていた。
また、ある国内証券の関係者は「米経済の減速を前提にすれば、対米輸出依存度の高い日本株は買えないとのイメージが、海外勢の中にできつつあるようだ」と指摘する。
<日経の下げはテクニカルな調整との声も>
他方で「夏場以降の海外勢の注文動向をみれば、日本株を避けていることは分かっている。特にサプライズではない」(欧州系証券)と冷静な声も出ている。
三菱UFJ証券・投資情報部部長代理の山岸永幸氏は「日経平均が直近安値をつけた25日から29日まで400円以上上昇していることを考えれば、きょうの調整はテクニカルなものだ。市場が意識しているのは、きょうから始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)のイベント・リスクだ。0.25%の利下げ予想が多いが、材料出尽くし感につながらないようステートメントなどで配慮するかどうかがポイントになる」と話している。
<日本株を買わない国内勢、海外勢の疑念の対象に>
だが、別の国内証券の関係者は「国内勢が日本株を買ってこないので、海外勢に日本株を嫌うムードが広がりつつある。そこにクレディスイスの投資判断が出て、コンセンサスを形成しつつある」と述べる。
また、邦銀関係者の1人は「ゆうちょ銀の前身の郵政公社が9月までに日本株を大量に売ってきたが、それが10月から止まって需給が改善されるとの期待感があった。しかし海外勢が買わないと盛り上がりに欠けるマーケットであることがあらためて明らかになり、失望感が漂っている」と話す。
<FOMCで思惑が交錯、過熱した利下げ観測に冷水かけた観測記事>
東京市場でも注目されている米連邦公開市場委員会(FOMC)での決定見通しに関し、30日付けのウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)は、FEDウォッチャーのグレッグ・イップ記者の記事として、0.25%の利上げが確実視されているが、利下げと据え置きの両方が検討される見通しで、0.50%の利下げは検討対象にならない見通しであると伝えた。この記事が出た後で、FFレート先物でみたマーケットの利下げ予想は100%から84%に低下した。
外為市場では、FOMCを前に対ユーロなどでドルショートポジションの巻き戻しも進んだが、市場の一部では「利下げ観測の炎が予想以上に拡大しないよう、当局が事前に水をかけた発言とも受け取れる」(外資系証券)との声も漏れる
債券市場では、FOMCに関して「世界的な株高を支えているのはFRBの利下げであることを考えると、債券が大きく売られるイメージはない。現物に実弾の売りが出ないことを考えると、地合いは良好だ」(国内運用機関の債券担当者)との見方が出ている。
そのうえでその国内運用機関の債券担当者は「9月FOMCで大幅利下げ後、株大幅高/債券大幅安(スティープ)となった残像があるのは事実。だが、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン) 問題の深刻化や海外勢の決算前で、FRBが0.25%の利下げに踏み切ったとしても、前回同様に株高/債券安になるとは言い切れない。特に円債は、日銀が簡単に利上げに踏み切れないとすれば、下値を攻めきれない」と予想している。