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円高と米株安が日本株を直撃、サブプライム問題再燃でマネー逆流
2007年 10月 22日 14:43 JST
[東京 22日 ロイター] 円高と米株安が再び日本株を直撃している。サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題が再燃し、過剰マネーが逆流しているためだ。市場のセンチメントは悲観に大きく振れており、売りが強まっている。
堅調な企業業績への信頼も、世界経済の鈍化や円高が進行すれば揺らぐ可能性がある。
<欧州でのサブプライム問題発現、再び信用収縮不安に火をつける>
8月の世界同時株安は、仏BNPパリバ (BNPP.PA: 株価, 企業情報, レポート)がサブプライムローン市場の混乱に伴って3つのファンドを凍結したことがきっかけになった。8月10日の東京株式市場は円高も加わり一時、前日比500円を超す下げ幅を記録。8月半ばにかけて世界の株価が大きく調整したのは記憶に新しい。それから2カ月。前週末の米株式市場から続く世界同時株安も欧州が再び発火点となった。
ヘッジファンドの英チェーン・キャピタル・マネジメントとIKBドイツ産業銀行が運営するストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)がデフォルト(債務不履行)に陥ったことが前週末に判明。「やはり欧州のサブプライム問題は終わっていなかったと投資家が再認識した。住宅価格の下落が続けばプライムローンの解約が出るかもしれないとの懸念が出ている」(リーマンブラザーズ証券・チーフストラテジストの宮島秀直氏)との見方が市場に広がった。宮島氏によると、BNPパリバと同規模の影響が出る可能性があるという。
19日にワシントンで開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、サブプライム問題を背景に景気への危機感は共有したものの、具体的な対策は打ち出されなかった。「もともとそれほど期待がなかったことから失望感もないが、マーケットの支援材料にはならない」(新光証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏)と下落する株価の下支えにはなっていない。
一方で、G7ではユーロ高/ドル安に対する懸念の声は大きくなく、人民元に対する言及などから円高が進行。日本の輸出関連株が売られる結果となっている。
<キャタピラー(CAT.N: 株価, 企業情報, レポート)決算も売り材料に>
米株式市場の下落は米キャタピラーが、住宅市場低迷の影響が米経済全体に波及していると警告したことも圧迫要因となった。キャタピラーは、米経済が来年「景気後退に近づく、もしくは陥る」とし、同社がかかわっている複数の産業はすでに景気後退に陥っているとの見方を示し、3M(MMM.N: 株価, 企業情報, レポート)など大型製造業株全体が押し下げられたほか、資金が株式から米債市場に向かった。東京市場でも22日前場の業種別騰落率で機械セクターが4.11%と値下がりトップになるなど影響がみられている。
市場では「キャタピラーの米市場での落ち込みは第2・四半期ごろからわかっていた。新たな売り材料とは言えない。コマツ(6301.T: 株価, ニュース, レポート)などは、それほど米市場での売り上げが多いわけではなく、明らかに売られすぎ」(国内証券投資情報部)との指摘もある。
ただ「円高がこれ以上進めば企業業績への懸念も出てくるほか、企業の通期見通しにも影響してくる。新興国経済が米経済と全く独立というわけではない。米経済が変調すれば何らかの影響は受けざるをえない」(準大手証券情報部)という懸念もある。
<FRBの供給したマネーが市場変動幅を増幅か>
8月の世界同時株安の後、米連邦準備理事会(FRB)は公定歩合をすぐさま引き下げた後、FFレートを0.5%と大幅に引き下げ、大量の流動性を供給した。サブプライム問題で市場が揺らぐなか、米金利先物は98%の確率で今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの追加利下げが実施されるとの見方を織り込んでいる。
ただ、その一方で原油価格が高騰するなかでは「そうそう利下げもできない」(準大手証券)と市場が受け止めているのも事実だ。
「FRBの大量の資金供給を背景に、レバレッジを効かせて各国の株に投資していたマネーが急速に逆流しはじめている」(外資系証券)との分析がマーケットで力を得つつある。新興国の株価急騰や国際商品市況の高騰は、これら過剰マネーが演出していたとみられており、その変調がどこまで続くのかに注目が集まっている。
(ロイター日本語ニュース 伊賀大記)
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-28458220071022