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不面目な「中国“世界マイナス1位”ランキング」 「2010年 日中逆転」を支える中国の実像 = NBonline
http://www.asyura2.com/07/hasan52/msg/717.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 10 月 13 日 00:27:20: mY9T/8MdR98ug
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071011/137341/?P=1&ST=sp_china

 中国の大手ポータルサイトである「網易」(“NETEASE”)のブログに2007年9月21日付で「華木蓮」と名乗る男性ブロガーの「中国の不名誉な世界ランキング」という興味深い記事が掲載された。2008年8月の北京オリンピック開催まで1年を切って国家の威信に神経質になっている中国政府にとって、この種の不愉快な内容の記事は歓迎すべきものではないはずだが、華木蓮氏は正面から問題を提起している。一部に不明確な部分もあるが、その要点は次の通りである。

 中国経済は急速な発展を遂げているが、民衆の生活は一向に改善されていない。中国が世界でかくも多くの事項で不名誉なランクに位置づけられていることが、それを証明している。以下に述べるランキングは何を物語っているのか? 中国が少しでも早く本当に世界の国々と肩を並べることができるよう、我々は不断に努力しなければならない。

1.中国の衛生医療の公平性は世界でビリから数えて4番目:

 世界保健機関(WHO)による加盟国の衛生資金の調達・分配の公平性に関する総合評価では191カ国中188位。中国では外来診療を受けねばならない人の50%、入院しなければならない人の30%が各種要因で治療を受けられない。

2.支払い能力から見て中国の大学の学費は世界最高:

 絶対額で見れば日本の学費が世界最高で、毎年の教育総支出は約11万元(約165万円)である。しかし、1人当りのGDP(国内総生産)で考えると、日本の学費の総支出は中国の3550元(約5万4000円)に相当する額に過ぎない。従い、1万元(約15万円)以上もかかる中国の大学の学費は世界一と言える。

3.中国の都市と農村の収入格差は世界一:

 医療、教育、失業保障など貨幣でない要素を算入すると、中国の都市と農村の収入格差は世界一である。例えば、都市住民は公費による医療を受けることができるし、小中学校は国家から大量な財政支援を受けることができるが、農村住民にこのような待遇はない。このほか、都市住民は年金保障、失業保険、生活保護を享受しているが、これらは農村住民にとって望むべくもない。これらの要素を加えて計算すると、都市と農村の収入格差は4〜5倍、ひいては6倍以上にも達する。

4.中国の「腐敗認識指数」(CPI=Corruption Perceptions Index)は世界第71位:

<筆者註>2007年9月26日にNPO(非営利組織)「トランスペアレンシー・インターナショナル」(本部:ベルリン)が発表した2007年CPIランキングでは、世界180カ国のうち中国はインド、ブラジルと並んで第72位であり、ロシアは第143位だった(日本は第17位)。同じNPOが毎年発表している「贈賄指数」(BPI=Bribe Payers Index)の2006年ランキングでは世界30カ国のうち中国は第29位で最下位のインド、第28位のロシアの間に位置づけられた(日本は第11位)。

5.中国の炭鉱事故による死亡者数はその世界総数の80%を占める:

 中国の石炭産出量は世界の3分の1を占めているが、炭鉱事故による死亡者数は世界総数の80%を占めている。

6.「環境持続可能性指数」(ESI= Environmental Sustainability Index)の2005年国別ランキングで末尾に位置づけされている:

  世界の144の国と地域の中で、中国は第133位にランクされている。
 <筆者註>中国は2006年の同ランキングでは133カ国中で第94位と大きくその順位を上げた。もっとも中国の環境はますます悪化しているようにしか思えないので、筆者にはその理由が理解できないが。

7.中国は既に地球上で大気汚染が最も深刻な国家となっている:

  WHOが発表した地球上で大気汚染が最も深刻な10都市の中に、中国は北京をはじめとする7都市が含まれ、山西省の太原市は世界第1位に位置づけられた。2006年の二酸化硫黄の排出量は2100万トンに達し、煤塵の排出量は世界第2位であり、二酸化炭素の排出量は既に世界第1位である。環境統計を取っている300都市の7割以上が大気環境標準のレベル3にあり、人類の居住には適していない。

8.中国は自殺者数で世界第1位である:

 中国の人口は13億人を超え、世界の人口の5分の1を占めるが、自殺者数は世界人口の35%を占める。毎年自殺者が35万人以上、自殺未遂者が200万人以上で世界第1位である。

9.中国は行政コストが世界最高の国家である:

 行政の審査認可制度が高コストの主要原因の1つである。煩雑な審査許可手続きが政府機構を膨れ上がらせて人員を増大させ、政府の行政効率を低下させるだけでなく、行政経費の支出を膨大なものとして行政効率の低下をもたらしている。

10.中国は世界で死刑の罪名が最も多い国家である:

 中国は今なお死刑を存続しており、刑法細則中の7つの条文に28もの死刑となる罪名が規定されている。これとは別に刑法の“決定事項”と“補充規定”には29の条項に40もの死刑となる罪名が規定されている。これらを合計すると42の条文中に69の死刑となる罪名が規定されている。

11.中国は「文盲」あるいは「半文盲」の人数が世界最多の国家である:
 
 中国は膨大な余剰労働力を有するが、この大きな人口が長期間にわたって中国社会を悩まし、重い負担となっている。これと同時に世界で文盲・半文盲の数が最も多い国家であり、15歳以上の人口のうち、1.8億人が文盲・半文盲で総人口の15.88%を占める。

不面目な世界一を列挙する意味

 華木蓮氏は、いつか米国を抜いて世界一の経済大国にならんと驀進を続ける中国に既に存在する不面目な世界一を列挙することで、経済一辺倒でよいのかと疑問を投げかけている。実はこの記事のベースになったのは、別の大手ポータルサイト「捜狐」(“SOHU”)のブログに2006年3月2日付で掲載された「当今中国が世界を震撼させる25の世界一(私は涙する)」という記事であると思われる。この記事は「害虫」と名乗るブロガーが掲載したもので、“中国は14億の人口を持つので、容易に世界一になれるのはよいことだが、重要なことは我々が覚醒し進歩することである。胡錦涛も温家宝もその任は遠い”として25項目からなる「中国のマイナス世界一」を25項目列記したものであった。

 この記事はインターネットを通じて各種サイトに転載されて全国的に評判となり、多くの議論を呼んだ。華木蓮氏の記事と重複しない事項を例に挙げると次のようなものがある;

[1] 中国の教育投資はアフリカのウガンダにも及ばず、未就学や中途退学の児童数は世界一。
[2] 貧困家庭の子弟の大学合格で、学費手当不能による父母の自殺や一家離散の数は世界一。
[3] 過去10年で汚職役人が国家財産500億元(約7500億円)を海外へ移して回収不能は世界一。
[4] 中国政府の飲食や派手な浪費は年間で3000億元(約4兆5000億円)以上で世界一。   <2002年は2000億元(約3兆円)で三峡ダムの建設費と同等だった>
[5] 中国政府の公用車費用は2000億元以上で世界一。
[6] 中国の大中都市の発展は欧米並みだが、大部分の農村はアフリカの農村と同レベル、この格差の大きさは世界でも稀。
[7] 中国の各級政府庁舎の豪華さは、米国や日本の政府庁舎も見劣りする程で世界一。
[8] 大学4年間の学費は農民家庭が飲まず食わずで41年間働いた所得に相当し、高学費で世界第2位の日本の3倍で世界一。
[9] 農民が都市で生活するには「暫定居住証」の手続きが必要、中国人が中国に暫定でしか住めないとは世界でも稀。
[10] 農村には今なお無数の未就学児童や倒壊寸前の危険な校舎が存在するのに、中央テレビが新ビルを建てる予算は70億元(約1050億円)で世界最高。

 華木蓮氏はその自己紹介によれば1976年生まれの31歳で教員らしい。毒虫氏もおそらく同年代なのではないかと思える。彼ら若い世代の知識階級が、経済大国を目指す中国が内包する矛盾を直視して問題を提起していくことが、中国の未来を左右するものとなるのではなかろうか。上述した“不名誉な世界一”を返上して中国が本当の意味で世界の大国となるにはどうしたらよいのか。華木蓮氏も毒虫氏もその答えを述べてはいない。彼らはその答えをまだ見いだしていないのか、あるいは答えは分かっているが、それを表明することができないのか。

本当の大国とは・・・

 2010年に日本はGDPで中国に追い抜かれ、40年間守ってきた「世界第2位の経済大国」の地位を中国に譲り渡すという“2010年 日中逆転”が起こる可能性は高い。しかし、中国が数多ある不名誉な世界一を返上して真の大国となって日本を追い抜くにはまだ相当の年月が必要であることは論をまたない。GDPに一喜一憂することなく、日本は中国が真の大国となるのを手助けすべく悠揚迫らぬ態度で対処していかねばならない。“ローマは一日にして成らず”の諺に倣えば、“「本当の大国」は一日にして成らず”か?


(北村豊=住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト)
(註) 本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、住友商事株式会社 及び 株式会社 住友商事総合研究所の見解を示すものではありません。
 


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