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日本郵政が2010年度にも上場へ、株式市場の波乱要因にも
2007年10月01日18時35分
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200710010095.html
[東京 1日 ロイター] 株式会社化された持ち株会社「日本郵政」(西川善文社長)が1日発足し、郵政民営化の第一歩を踏み出した。完全民営化のゴールは10年後の2017年。それまでに傘下の金融2社は上場を果たし、民間企業として独り立ちを目指す。上場した場合、時価総額は数兆円に達すると見方もあり、株式市場の波乱要因になるとの指摘もある。
上場に値する企業になれるかどうか。市場は改革の動きを注視している。
<ゆうちょ銀行の時価総額は数兆円、早ければ2010年度に上場へ>
日本郵政グループは、グループ本社の日本郵政の傘下に事業会社の「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」、郵便事業の「日本郵便」、3社の商品を販売したり取り次いだりするネットワーク会社「郵便局」の4事業会社がぶら下がる。従業員24万人、総資産は340兆円、郵便局のネットワークは2万4000カ所に上る。
2007年度の当期利益見通しは、郵便業務が1050億円の赤字、郵便貯金業務が2900億円の黒字、簡易保険業務が1400の黒字だ。
グループ最大の稼ぎ頭と目されるのが、総資産の3分の2を占めるゆうちょ銀行だ。国内最大金融グループの三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>の時価総額は約11兆円で、総資産は約187兆円、07年度の当期利益見通しは8000億円。これに対して、ゆうちょ銀は総資産222兆円で、08年度以降3000億円以上の当期利益を稼ぎ出す目標を掲げている。
ある証券会社の金融法人担当者は、ゆうちょ銀行の時価総額について「ざっと数兆円。5兆円程度にはなるかもしれない。大手銀行と比べると、ゆうちょ銀行の収益力は低いが、なにせ規模が大きい。」と語る。
ゆうちょ銀行が目指す上場時期は早ければ2010年度。政府の計画によれば、現在は「国有会社」となっている日本郵政グループの株式について、2017年までに日本郵政株式の3分の1程度を残して売却。金融子会社の2社は2010年度の上場後、17年までに株式売り出しを終え、グループからの離脱を目指すことになる。郵政民営化を監視する政府の「郵政民営化委員会」(田中直毅委員長)は、経営の透明性向上などのために市場への株式放出が必要だとしている。
<株式市場の波乱要因になる可能性、地銀の株価に影響も>
しかし、市場関係者の間では、ゆうちょ銀やかんぽ生命が上場に値する企業になるかどうかを疑問視する声が多い。あるファンドマネージャ―は「日本の株式市場で、銀行セクターに数兆円の資金を吸収できるだろうか」と語る。
国営企業が民営化し、上場したケースとしては、旧電電公社や旧国鉄などの前例がある。「旧電電公社は、そもそも独占企業で、その技術力も評価されていた。旧国鉄も私鉄と比べるとネットワークの充実度が高かった。果たしてゆうちょ銀に独自性があるのか」と指摘する銀行アナリストもいる。すでに、オーバーバンキングと評価される銀行業界。独自のビジネスモデルも構築できていない上に、ガバナンスがずさんとの指摘も多く、ゆうちょ銀が株式市場というハードルを飛び越えられるかどうかは不透明だ。
日本郵政グループの競争力のひとつと目されるのは、全国に張り巡らされた郵便局のネットワーク。ゆうちょ銀やかんぽ生命は、代理店契約を結ぶ郵便局ネットワークに投資商品や住宅ローンなどの金融商品を乗せて販売するのがひとつのビジネスモデルだ。すでに投信販売では大手地銀を上回る実績を上げている。
「ゆうちょ銀行が上場したら、株価的に割を食うのは地銀ではないか」─―。こんな見方もマーケットでは浮上している。「地方のネットワークを活用するという意味では、ゆうちょの脅威に直面するのは地域金融機関だ」と、ある業界関係者は分析している。
(ロイター日本語ニュース 布施太郎)