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淀川水系ダム わずか2年で復活するとは(10月1日付・読売社説)
水需要の減少や財政難からダム事業見直しを進めてきたはずの河川行政の流れが変わったのか。そんな疑念が深まる。
国土交通省近畿地方整備局が一昨年7月に建設中止を決めていた淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)の復活を盛り込んだ河川整備計画原案を公表した。
いったん建設を中止したダムの復活例は、他にない。この2年で、どう条件が変化したのか。その根拠や十分なデータが示されていない。これでは、関係自治体や流域住民らの理解を得られまい。 国や自治体のダム事業は1996年以降、全国の107か所が中止された。現在も継続中は167か所だ。 淀川水系の大戸川ダムなど2ダムの建設中止と2ダムの規模縮小の決定は、河川の堤防強化など総合的な治水対策を優先するという理由だった。 利水と治水を目的として78年に計画された大戸川ダムには、約600億円が投入された。だが、取水を予定していた大阪府や京都府が撤退を表明し、整備局自身も、治水には限定的な効果しかないと判断して、建設中止となった。
それが今回、普段は水を流し、洪水時だけ水をためる「治水専用ダム」に変更して復活することにした。関係自治体や有識者で作る淀川水系流域委員会に諮り、今年度内の計画決定を目指す。方針転換の理由として整備局は、中流域の新たな河川改修の影響を挙げる。改修で川底を掘れば、下流へ流れる水は増える。下流域の安全のため、上流で水をせき止めるダムが必要だという。
しかし、それでは、河川改修の度にダムが必要になる。ダムの建設場所は支流にあり、効果を疑問視する声もある。また、この治水専用ダムなら1400億円を見込んだ事業費が1000億円程度に減額されると説明しているが、それでも、まだ400億円程度かかる。生態系などへの影響もゼロとは言えまい。
整備局は、ダムの原則中止を提言していた流域委員会を2月に休止し、半数の委員を入れ替えた。復活を前提に論議し直すことを狙ったとの批判がある。
大戸川以外にも、縮小するはずだったダム1か所の結論を先送りした。
常時水をためるダムから治水専用ダムへの計画変更は、ほかでも実施され、全国8か所で事業が進行中だ。長野県の「脱ダム」の象徴として、いったん凍結された浅川ダムは、この方式で建設することが決まった。熊本県の川辺川ダムでも、計画変更が提案されている。 ダム建設は治水の選択肢が他にない場合などに限るべきだろう。計画変更を公共事業復活の方便にしてはなるまい。