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株式日記と経済展望
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu153.htm
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中国の経済学者が目下議論しているのは“いかに米国に
追いつくか”であって、日本に追いつくことではない。
2007年10月1日 月曜日
テレビ東京「日中逆転」
◆2010年にGDPが日中逆転も 9月21日 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20070920/135510/?P=2&ST=sp_china
日本が世界第2位の経済大国の座から滑り落ち、中国に逆転を許す。10年も20年も先の話ではない。日経ビジネスの試算では、中国の成長率が名目ベースで年率10%、人民元の対ドルレート上昇率が毎年5%、日本の成長率が名目2%と仮定したところ、早ければ2010年にも中国の国内総生産(GDP)が日本の数字を上回るという衝撃的な結果が飛び出した(日本の対ドルレートは変動なし、2007年と2008年は国際通貨基金(IMF)による成長予測の数値を採用)。
米財務省出身の中国経済研究者で、議会からもしばしば証言を求められるカーネギー国際平和基金シニアアソシエイトのアルバート・ケイデル氏は中国の将来をこう予測する。「少なくともあと20〜30年は7〜10%の成長を続ける潜在力を持っている。政策的な失敗さえ犯さなければ、中国のGDPは2035年前後に米国を追い抜くだろう」。
1人当たりのGDPで見れば、13億の人口を抱える中国は昨年やっと2000ドルに達した段階で、日本(約3万4200ドル)の17分の1にとどまっている。だが、それは必ずしも中国人の購買力の低さを意味しない。
乗用車308万台、薄型テレビ360万台。豊かさを象徴する2つの製品の販売台数で、中国市場は今年1〜6月に初めて日本を凌駕した。携帯電話の総加入者数は日本の5倍を上回る。日中逆転は既に現実のものとなりつつある。
中国を代表するマクロ経済学者の胡鞍鋼・清華大学公共管理学院教授は言う。「世界銀行のデータによれば、購買力平価で換算した中国のGDPは1995年には日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位となっている。我々の最新の研究によれば、2013〜15年には米国を追い抜く可能性がある。中国の経済学者が目下議論しているのは“いかに米国に追いつくか”であって、日本に追いつくことではない」。
第2次世界大戦の惨禍から11年で奇跡の復活を遂げた日本は、1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」と高らかに謳い上げ、さらに12年後の68年度、国民所得で英国、西ドイツ(当時)を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国の座に躍り出た。以来、日本は自他共に認める「世界第2位の経済大国」として旧資本主義陣営の中核を担い、「失われた10年」を経験した今でも、その地位は揺らいでいない、はずだった。(後略)
中国ではすでに10年近くGDPより賃金の上昇率が高い!
◆労働力が過剰から不足に向かう中国 9月11日 関志雄
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/070911ssqs.htm
農村部での豊富な余剰労働力の工業部門への移転は、これまで中国の高度成長を支えてきた。しかし、近年、沿海地域における出稼ぎ労働者の供給がタイトになってきたことに象徴されるように、中国は、急速に労働力過剰から不足の段階に向かっている。これを反映して、1998年まで実質賃金の伸びは一貫してGDP成長率を大幅に下回っていたが、その後、両者の関係が逆転するようになった(図1)。完全雇用の達成は、中国の更なる成長を制約する要因になりかねないと懸念されるが、その一方で、所得格差の是正や産業高度化に寄与するだろう。
中国の農村部には、1.5億人ほどの余剰労働力が存在すると言われてきた。政府がまとめた「国家人口発展戦略研究報告」(2007年1月に発表)においても、同じ数字が援用されている。このような「労働力過剰説」に対して、中国社会科学院人口・労働研究所の蔡ム所長は、一連の研究で異論を唱え、過剰から不足への転換点(「ルイス転換点」という、付録参照)は2009年にも到来すると論証し、話題を呼んでいる(「中国経済が直面している転換とその発展と改革への挑戦」、『中国社会科学』、2007年第3期,「中国における雇用の拡大と構造変化」、中国社会科学院における報告、2007年5月10日)。彼によると、経済の高成長と1980年代の初めから徹底されてきた一人っ子政策の影響で労働年齢人口の伸び率が低下していることを背景に、2004年以降、労働需要がすでに労働力人口を上回るペースで伸びており、2009年頃には、農村部の余剰労働力が完全に枯渇するという。
無限と言われた労働力の供給は、次のルートを通じて、中国の経済成長を支えてきた。まず、供給側では、農業部門における余剰労働力が工業部門に吸収されることは、直接GDPの拡大に貢献している。また、賃金が低水準に維持されることは、所得分配の面において、資本収入を得られる高所得層に有利に働き、ひいては高貯蓄と高投資につながっている。さらに、需要の面では、低賃金が、低コストに基づく輸出主導型成長を可能にしてきた。しかし、完全雇用が達成されれば、生産性の上昇に合わせて賃金が上昇するようになり、雇用も労働人口の伸びに制約されることになる上、貯蓄率と労働集約型製品における輸出の国際競争力が落ちてしまう。その結果、成長率も低下せざるを得ない。
但し、完全雇用の達成後の生産性の上昇に伴う賃金上昇は、中国経済にとって決して悪いことばかりではない。まず、賃金上昇に伴って国民所得における賃金収入の割合が高まり、所得分配における格差が縮小することになる。賃金に限らず、労働市場における需給関係の変化は、すでに労働時間の短縮や戸籍制度の緩和など、労働者の権利の改善につながりつつある。失業率の低下とともに、これらは、社会の安定にも貢献するだろう。
また、生産性の上昇に伴う賃金の上昇は、物価の上昇(固定為替レートの場合)、または名目為替レートの上昇(変動為替レートの場合)を通じて実質為替レートの上昇をもたらす(バラッサ=サミュエルソンの仮説)。かつて日本が経験した「円高」のように、「元高」も、交易条件(輸出の輸入に対する相対価格)の改善を通じて中国の国民の購買力を向上させ、ひいては内需の拡大と対外不均衡の是正に寄与するだろう。
さらに、1960年代の日本のように、このような相対価格の変化は、労働集約型産業の国際競争力の低下をもたらす一方で、これを乗り越えるための企業の経営努力を通じて、産業構造の高度化と生産性の上昇を促す要因にもなりうる。これにより、予想される成長率の低下に歯止めがかかることになろう。実際、日本では、1960年頃にすでに完全雇用を達成したと見られるにもかかわらず、10%前後の高成長は1970年まで続いた。
最後に、これまで中国政府は、雇用へのマイナス影響を懸念し、人民元の切り上げには慎重であったが、完全雇用が達成されれば、このような配慮をする必要性がなくなる上、賃金上昇に伴うインフレ圧力を抑えるためにも、人民元の切り上げにはより積極的姿勢に転換するだろう。
テレビ東京「日中逆転」より 90年代に日本を沈没させた榊原英資
(私のコメント)
昨日のテレビは日中国交正常化35周年と言う事でテレビ東京やNHKーBSで日中関係の特集を放送していましたが、例によってテレビ東京の番組は中国礼賛番組で、中国は世界一中産階級が増えて巨大市場になると電波を飛ばしていた。もはや中国の関心はいつアメリカに追いつくかと言う事だそうです。
中国の学者によればGDPにおいて1995年には中国は日本を追い抜いていたと言う事ですが、日本より大きな経済大国に対して日本はODAの経済援助をしていたことになる。そして外貨準備も日本を追い抜いて世界一の貿易黒字大国になってドルを溜め込んでいる。だから円高も影が薄くなってドルと共にユーロに対して値下がりが続いている。
ロンドンではスパゲティーが3000円もするそうです。地下鉄が1000円ですから東京の10倍ぐらいの物価水準にある。それだけヨーロッパから見れば日本の経済がしぼんできているのです。なぜ日本の円がドルに引きずられて安いのか? 円キャリのせいということもありますが、欧米の投資家から見れば日本は完全に中国の陰に隠れてしまっているようだ。
80年代は日本経済が世界をリードするかのような勢いでしたが、バブルの崩壊は15年以上もの経済の停滞を招いてしまった。90年ごろの冷戦構造の崩壊が金の流れを変えてロシアや東ヨーロッパや中国が資本経済市場に流れ込んできて、特に中国の安い労働力が世界の投資資金をかき集めた。
80年代までは日本が世界の工場でしたが、90年代になって冷戦構造の崩壊と中国の改革解放と共に安い中国の労働賃金と高い日本の円と労働賃金が競合状態となり日本のバブルが一気に崩壊する事となった。しかし当時の日本人はバブルぼけで新しい状況を予測することが出来なかった。
13億人もの新たな安い労働力が一気に市場に流れ込んできたのだから、中国は世界の工場となり、日本の生産工場は一斉に中国に移転して日本の空洞化が進んだ。それと同時に金融ビックバンが行なわれて日本の金融は信用不安まで起きてしまった。橋本総理をそそのかして金融ビックバンをさせたのは榊原英資氏だ。ビックバンを行なえばロンドンのように金融センターになると言うふれこみだった。
テレビ東京の「日中逆転」で榊原氏は、日本の製造業は今が頂点で中国に追いつかれれば落ち込む一方だと「日本沈没」を予想している。私の予想では中国の製造業は今が頂点で、今後は元高と労働賃金の上昇で中国は競争力を失いバブルの崩壊で中国国内は大混乱が起きて、第二の文化大革命が起きるのではないかと予想している。
それ以外にも中国は自然破壊や環境破壊が深刻な状況になってきており、北京や香港などから外国人が脱出し始めたと言う事です。さらには元の上昇や労働賃金の上昇で生産拠点としての中国は壁に突き当たっている。そしてベトナムやインドなどに生産拠点は移っている。
無尽蔵と思われた13億人の労働力は90年代終わりには限界に達していたのであり、中国に安い労働力をあてにして工場を進出させた日本企業は今は労働コストの値上がりに悲鳴を上げている、年に十数パーセントもの労賃の値上がりは当然起こるべくして起きた事であり、大前研一氏が言ったような労働力の無限の供給力は幻想だったのだ。
中国の労働力のタイト化と労賃の値上がりは人民元の切り上げの障害を取り除く事にもなり、毎年ドルに対して5%づつ値上がりさせて行くようですが、為替自由化も10年以内に行なわれるだろう。そのようになれば中国製品も世界に輸出する為には品質で勝負しなければなりませんが中国ブランドはいまだに育ってはいない。むしろチャイナフリーなどと中国製品は逆のイメージダウンが進んでいる。
このように分析すればテレビ東京の「日中逆転」などのように浮かれてはいないはずですが、中国の学者によればアメリカに追いつくのも時間の問題と言う大言壮語が聞かれる。しかし今までのような好環境が続くわけも無く経済が壁に突き当たれば政治環境が悪化して国内混乱が激化する可能性もある。
中国経済のことは何度も書いて来ましたが、外国からの資本と技術による経済発展であり中国のブランド商品は育ってはいない。つまり外国企業の下請工場なのであり、コピー商品を作っても品質はかなり劣るもので輸出競争力はあまりない。生産設備をそっくり同じ工場を作っても現代は日進月歩だから生産設備も更新していかないと遅れてしまう。あるいは技術の蓄積がないと高品質なものは出来ませんが、中国では技術の蓄積は難しいようだ。
NHK−BSの方は討論番組でしたが、中国が豊かになれば民主化が進むかと言う問題が話し合われていた。地方では選挙も行なわれるようになりましたが、国政で民主的な選挙が行なわれるのはいつになるだろうか? 現在の中国経済の壁は民主化が進まないと中国共産党の独裁のままでは打ち破るのは無理だろう。つまり中国の生産は今が頂点であり、榊原氏が予想するような「日本沈没」ではなくて「中国沈没」なのだ。