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米市場、FRBの0.5%利下げでも不十分の見方(Klug)
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投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 9 月 19 日 23:45:36: sypgvaaYz82Hc
 

米市場、FRBの0.5%利下げでも不十分の見方(Klug)2007/09/19(水)18:40
−住宅市場の低迷脱却には3.75%までの利下げ指摘する声も−

【2007年9月19日(水)】 − FRB(米連邦準備制度理事会)は前日のFOMC(公開市場委員会)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を従来の5.25%から4.75%へ引き下げ、一気に0.5%ポイントの利下げを全会一致で決定したが、これは市場予想のコンセンサスだった0.25%ポイントの小幅利下げを上回る大幅なものとなった。しかし、この大幅利下げについては、市場では、次回のFOMC会合が開かれる10月30-31日までの途中に、追加の緊急利下げが迫られるような事態を避けたいとするFRBの先制攻撃的な意味合いがあるとする一方で、これだけの利下げでは、住宅市場が低迷から脱却するには不十分とする見方も強く、今後、3.75%まで利下げが進む可能性を指摘する声も出ている。

 もともと、市場では、0.25%ポイント、あるいは、0.5%ポイントの利下げに見方が分かれ、前者が有力視されていた。それは、FOMC会合前、複数のFRB幹部が大幅な利下げには消極的な発言を相次いで行っていたことや、ベン・バーナンキ米FRB議長の最近の発言を意識していたからだ。その意味では、今回の大幅利下げは、市場にとってはサプライズとなり、NY株式市場では、ダウ平均株価指数は前日比336ドル(2.5%)高の1万3739ドル、また、S&P500株価指数も同43.13ポイント(2.9%)高の1519.78に急伸した。

 利下げ決定前、フィラデルフィア地区連銀のチャールズ・プロッサー総裁は8日の講演で、「今の金融市場の混乱は、FRBが金融政策の方向転換をすることなしに、通常の政策手段で対処できる」と述べ、利下げの必要性を否定していたほか、ダラス地区連銀のリチャード・フィッシャー総裁も10日の講演で、「先月から始まった金融市場の混乱の状況を見ると、これまで取られた政策手段で十分、満足している。一段と厳しさが増しているクレジット市場の状況は、まだ、経済全体に大きな影響を与えていない。これまでのところ、“嵐”を乗り越えることができているようだ」とし、また、アトランタ地区連銀のデニス・ロックハート総裁も10日の講演で、雇用の急減速は、小売販売の堅調さとの脈絡で判断されるべきだ」と楽観的で、いずれも、0.5%という大幅利下げには否定的な見方を示していた。

 バーナンキ議長も8月31日に、ワイオミング州ジャクソンホールで講演した際、FRBの任務はサブプライムローン問題による金融市場の混乱で損失を抱えた金融機関や投資家の救済ではない、と述べており、モラル上の観点から安易な利下げに消極的な発言をしていたこともある。ただ、同議長は、「クレジット市場での資金調達がますますタイト化し、そうした状況が長引けば、住宅セクターが思っている以上に、ますます悪化し、低迷が長引くリスクが高まり、その悪影響が個人消費や経済全体に広がっていく可能性がある」とも指摘しており、その上で、「FRBは流動性を高めるための追加措置を実施する態勢を取っており、金融市場の混乱が経済に及ぼす可能性がある悪影響を抑える必要があるときには、適切な措置を取る」とも述べ、クレジット市場の混乱が短期的に終わらない場合には、利下げの可能性は示唆していた。

大幅利下げの背景、8月の雇用統計と小売統計の急速な悪化

 また、FRBが今回の大幅利下げに踏み切った背景には、直前に発表された8月の雇用統計と同月の小売売上高が、サブプライム住宅ローン(信用度の低い顧客への融資)焦げ付き拡大による住宅市場低迷の悪化とクレジットクランチ(金融システムが麻痺して極端な金融逼迫が起こること)の影響が、米国の実体経済に現れ始める兆候が見えてきたことがある。

 7日に米労働省が発表した8月の雇用統計では、新規就業者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済み)が前月比4000人の純減となり、2003年8月以来4年ぶりに減少に転じたばかりか、7月の新規就業者数は前回発表時の9万2000人増から6万8000人増に、6月も同12万6000人増から6万9000人増に、それぞれ下方改定され、両月合計で実に8万1000人という大幅な下方改定となった。市場では雇用統計が4年ぶりの減少となったのは、住宅ローンのサブプライム融資問題とクレジットクランチ、金融市場の混乱が表面化した8月より以前から始まっていた景気後退によるものと見て、企業の新規雇用が事実上、止まった可能性があると指摘していた。

 さらに、14日には、米商務省が発表した8月小売売上高が、前月比0.3%増と市場予想の同0.5%増を下回ったほか、自動車を除いた売上高でも同0.4%減と予想の同0.2%増を下回り、初めて、個人消費にかげりの兆しが出てきたとの見方が広がった。エコノミストの予想コンセンサスでは、今年下期の個人消費の伸び率は、上期の年率換算2.55%増から同2.25%増に緩やかに伸びが鈍化し、その結果、米第3四半期(7-9月)GDP(国民総生産)の伸びが抑制されると危機感を強めていた。また、同日発表された8月の米鉱工業生産指数も前月比0.2%上昇と、市場予想の同0.3%上昇を下回ったことも利下げ思惑を強めていたのだ。

 加えて、米MBA(抵当銀行協会)が6日に発表した第2四半期(4-6月)のフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)手続きに入った件数も、調査対象の全住宅ローン(4400万件)の0.65%(28万6000件)に達し、55年ぶりの高水準に達していた。前四半期は0.58%で過去最高水準だったがこれを更新し、前年同期の0.43%と比べても急速にフォークロージャーが増加していることが分かる。

 他方、これまで1年間、金利を据え置きして、様子を見てきたインフレ率の動向も鈍化の兆しが出てきたことも、今回の大幅利下げに転換しやすくしたといえる。8月31日に発表された7月のコアPCE(個人消費支出)物価指数は、前月比+0.1%で、6月の同+0.2%から伸びが鈍化し、また、前年比でも+1.9%と2カ月連続して、FRBの望ましいコアインフレ率のレンジ(+1〜+2%)内に収まった。今回の利下げ後に、FRBが発表した声明文でも、「コアインフレ率は、上昇リスクは依然、ある程度残るものの、緩やかに改善している」と楽観的な認識を示している。

グロース氏、経済の2.5-3%成長維持には3.75%への利下げの可能性を指摘

 それにしても、今回の利下げに対しては、まだ、不十分だとするのが市場の大方の見方になっている。FRB出身のエコノミストも、今回の利下げで、急激に住宅需要が高まり、住宅市場が低迷から脱却できる見通しは低いとしており、追加利下げを予想している。

 金利先物市場では、今回の大幅利下げを受けて、利下げ発表前までは、政策金利は年内に4.5%まで引き下げられると予想していたが、利下げ発表後は、さらに、4.25%まで引き下げられると織り込んでいる。18日のCBT(シカゴ商品取引所)で、FF金利先物のうち、11月物は、FRBが10月30-31日のFOMCで、政策金利を現行の4.75%から4.5%に利下げする確率を92%織り込み、12月物は12月11日のFOMCで4.25%に利下げする確率を100%織り込んだ。

 また、同日の米CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でも、2007-2008年の四半期に期日が到来するユーロドル金利先物のうち、来年3月物は、FRBが来年第1四半期(1-3月)に政策金利を4.5%に利下げする確率を100%織り込み、さらに、4.25%に引き下げる確率は今回の利下げ発表前の12%から96%に一気に高まった。また、来年6月物は第2四半期(4-6月)に4.25%に利下げする確率を100%、さらに、4%に利下げする確率を40%織り込んだ。

  他方、世界最大の債券ファンド、ピムコ(欧州保険最大手アリアンツ傘下のパシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニーの最高投資責任者(CIO)として有名なビル・グロース氏は、住宅市場の低迷から脱却し、経済の2.5-3%成長を維持するには、今回の4.75%への利下げから、さらに、2%ポイント引き下げ、3.75%への利下げはありうると指摘している。

米利下げ、新たなインフレの火種を作るとの批判も

 今回の利下げについては、投機リスクを承知の上で、損失を出した金融機関や投資家に対する救済であり、また、新たなインフレの火種を作ることになるとの批判がないわけではない。しかし、アラン・グリーンスパン前FRB議長は、17日のAP通信とのインタビューで、米景気のリセッション入りの確率について、33%以上だが50%を下回ると指摘しており、今回の利下げについては、歓迎している。また、同前議長は18日、米テレビ局FOXニュースとのインタビューの中で、「投機的な行動を取った人たちに罰を与えることと、FRBがそれ以上に大事なことをしなければならないと認識していることをすることの両方の重みを比較考量すべきだ」として、単純にモラル重視のあまり、政策転換を誤るべきではないと指摘している。

 また、インフレ懸念については、今回の利下げ後、NY債券市場では、2年国債など短期の国債は、追加利下げを予想して、価格が上昇し、債券価格と反対方向に動く利回りは低下する一方で、10年国債は売られ、利回りが前日の4.47%から4.48%に上昇。また、30年国債も利回りは前日の4.714%から4.76%に上昇している。これは、今回の利下げで景気が加速し、インフレ懸念が高まるという見方が強まったためだ。また、グリーンスパン氏の前任者、ボルカー元FRB議長時代の1960-1970年代に似ているとし、利下げ後にインフレ高進が生じたと指摘するFRBの歴史に詳しい専門家もおり、FRBは今後、景気の動向を示す経済データを注視する中で、強いデータが出てくる場合には、利下げ対する政策批判が生じ、苦境に立たされる可能性を指摘する向きもあるようだ。(了)

http://www.gci-klug.jp/masutani/07/09/19/frb05.php

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