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2007年09月16日
日本の証券市場について考える
10月にワシントンで開かれるG7(主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議)が、近年にない注目を浴びています。サブプライム問題に端を発する信用市場の混乱に、金融当局者がどのように取り組むのか?世界が今後の経済の行方を見極めるうえで、重要な会議ともいえるでしょう。
米国では銀行などがコンデュイットと呼ばれる機関をつくり、銀行本体の決算と切り離した状態で資金運営を行うため、決算が正当に評価し難くなっていると言われる中で、来週から金融機関の決算発表があります。実体経済への影響と、金融機関の実態がどう関連するのかを読み解く上で、表出する数字のみではなくその裏側までを読み解く必要がある、そんな決算です。
日本では証券市場の個人投資家離れが目立っています。年末には証券税制の議論もありますが、日本では証券投資を行うのは『金持ち』との意識が強く、そのため高額所得者の議論と混ぜられることもあります。しかし外国人投資家が市場の6割を占める、そんな国の税議論として、金持ちの行うものだから税が軽いのはけしからん、というだけの議論では、この国に自立の道はありません。
一部に団塊の世代の大量退職が、証券投資を行うとするものもありますが、これも本質ではありません。なぜなら日本人の意識には、少子高齢化で国内経済は衰退するとの意識が根強く、投資を行おうとする人間に国内経済を買い上げようとする気概は、全く見受けられないからです。
2000年代に入り、ネット証券に個人投資家が続々と参入した時代から、証券投資は確実に変わりました。これは手軽にできる金儲けの手法、それが宣伝広告であり、証券とは何かの議論が抜け落ちていたからです。このため今の個人投資家はよりレバレッジのきくFXや、成長が見込める新興国ファンドなどに流れ、国内証券市場に投資する投資家はその数を減らして行きました。
経済を最も映す鏡は証券市場、という意識は今の米国でもそんな見方は少なくなっています。投資がヘッジファンドであったり、仕手筋の豊富な資金量をもって動かされている以上、今の米国のように期待という名の思惑に支配され、結果的に個人を遠ざけることになっているからです。
日本に必要なことは、G7でもヘッジファンド規制などが議論されるはずですが、市場の正常化を行う中で一般投資家を呼び込む、そんな対策も必要でしょう。昨年も述べましたが、売買資金により課税割合を変更するような、そんな対策も必要なのかもしれません。法人税減税を議論する前に、個人をどう生かすのかを議論することもまた必要なことだと思います。
analyst_zaiya777 at 23:16|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │経済 | 株
2007年09月15日
自民党総裁選を少しだけ皮肉ります。
自民党総裁選で立候補が締め切られ、福田氏と麻生氏の一騎打ちに決まりました。ただ党内の派閥はすでに福田氏支持で統一されており、無党派層と地方、それに派閥の離脱組みが麻生氏につく程度では、帰趨の見えた出来レース症状となっています。
小泉時代は派閥で小泉路線を否定しても、その中で身体検査に通過した者には閣僚ポストが用意されましたが、安倍時代になり、お友達内閣とも揶揄されたように、総裁選の功労的人事が定着しました。このため、閣僚ポストの綱引き合戦に派閥が敗北すると、ほぼ閣僚就任の道は閉ざされることになり、勝ち馬に乗るしかないことになりました。派閥が力を失い、閣僚ポストが官邸の恣意によって左右されるのであれば、これは当然の流れともいえるでしょう。
小泉時代の負の遺産、という言葉を私はよく使いますが、これらもそうしたものの一つです。小泉時代は派閥に多少なりとも力があり、抵抗勢力としても迫力がありました。ですが派閥が力を失い、官邸に擦り寄るようになると、結局官邸を軸とした勢力構造が出来上がります。
その頂点に強力な指導力がある人物が立つか、調整能力に長けた人物が立てば、まだ中央集権体制とも呼べますが、実際には政治家の質は旧態依然としたままであり、政治という邑でお山の大将を決めるだけでしかありません。自民党総裁選が国民の意志を反映しきれるものでない以上、今回の騒動も結局は小さな世界で争うだけのものでしかありません。
麻生氏はハード路線、福田氏はソフト路線と区分けがされ、特に対中戦略がよく話題に上がりますが、どちらにしても米国が親中路線をとる以上、日本も対中戦略で妥協を強いられることに違いはありません。北朝鮮政策も今日の会見でふれられていましたが、日本が六カ国協議の枠内で米国の陰に隠れている以上、その政策とて独自性を打ち出すことは難しくなります。
つまり外交戦略上、本当の意味で違いが見られるのは米国との態度の中で、どう距離感を保つのかしかないことになります。テロとの戦いでも、米国の陰で給油だけをしているのか、それともイスラムとの良好な関係を利用し、違う方策を打ち出していくのか、ということであり、北朝鮮政策でも米朝の主導する六カ国協議ではなく、国連を巻き込んで独自の交渉戦術を歩むのかです。
内政は官僚に握られ、外交は米国の傘の下、そんな日本で政治のトップに立つ人間がどのように自分の意思を発揮するのか?自民党総裁選でもそれを明示しない限り、やはり邑の中のお山の大将でしかない、ということになるのだと思いますね。
analyst_zaiya777 at 23:18|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │政
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