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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu151.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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非正社員を増やしたことで、4年間で8兆円以上も給料を減らしたのに、
逆に企業の利益はそれ以上に増えていることを示しているのである。
2007年9月15日 土曜日
◆節約した人件費の向かった先 9月10日 森永卓郎
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/98/index.html
つまり、景気が改善したかどうかにかかわらず、非正社員の比率は上昇し続けているのだ。
なぜ、そんなことになっているのか。理由は簡単だ。非正社員の多いほうが、企業にとって人件費の節約になるからである。一般的に言って、正社員の平均年収が500万円を超えているのに対して、非正社員は100万円台前半。正社員を減らして、その分を非正社員にすればするほど、企業にとっては節約になるわけだ。
こうした企業の方針がどれほど効果的だったかは、GDP統計の「雇用者報酬」(全労働者に支払われた総賃金)の額でも分かる。それによると、景気が底を打った2002年1〜3月期に268兆円だったのに対して、景気が回復したはずの今年4〜6月期は263兆円と、むしろ5兆円も減少しているのだ。率にして1.8%のマイナスである。一方、この間にGDPは25兆円、5.1%も増加している。
これはどういうことか。
つまり、経済全体が大きく成長しているのに、働く人にはその分け前が届いていない。それどころか、分け前が減らされているということなのである。
景気が回復しているのに、働く人の分け前が減っている――このような矛盾した現象を見て、わたしのような人間は「これはひどい話ではないか」と指摘する。
ところが、それに対して政府与党や大企業、あるいはそちら側の立場に立つ評論家は、次のように反論する。「確かに、非正社員増によって労働者の収入は減った。しかし、バブル崩壊のなかで低迷する日本企業がグローバル競争で勝ち抜くためには、コストを削減して製品価格を引き下げなくてはならない。そうしないと、国際競争に勝ち残れないのだ。非正社員増はやむを得ない選択だったのだ」。
つまり、人件費の圧縮は、企業による必死の生き残り策の一つなのであり、これをしなければ日本企業は海外企業に太刀打ちできない。いい悪いは別にして、非正社員の増加は必要なことだったというわけだ。
一見、もっともらしい理屈だが、果たして本当なのだろうか。そこで、これまでのGDP統計をチェックしてみたところ、興味深い事実が浮かび上がってきた。
例えば、2001年度から2005年度にかけての「雇用者報酬」の推移を見ると、8兆5163億円も減少している。ところが、企業の利益に相当する「営業余剰」は、逆に10兆1509億円も増えているのだ。
非正社員を増やしたことで、4年間で8兆円以上も給料を減らしたのに、逆に企業の利益はそれ以上に増えていることを示しているのである。
これはおかしいのではないか。もし、日本企業がグローバル競争に勝ち抜こうというのなら、人件費の節約分を製品価格の引き下げに振り向けているはずである。しかし実際には、人件費の下落を上回る分が、まるまる企業のもうけになっていたのだ。
では、人件費を減らしたことで企業が得た利益は、最終的にどこに行ったのか。
一つは株主である。財務省が発表している「法人企業統計」でみると、2001年度から2005年度までの4年間で、企業が払った配当金は3倍に増えている。
そして、もう一つは企業の役員である。やはり「法人企業統計」によると、2001年度から2005年度までの4年間で、資本金10億円以上の大企業の役員報酬(役員給与と役員賞与の合計)は、なんと1.8倍になっている。さらに、先日、日本経済新聞社が発表したデータによれば、主要100社の取締役の2006年度分の報酬は、ここ1年で22%も増えていることが分かる。
この二つのデータを合わせると、2001年度から2006年度の5年分で、大企業の役員報酬は倍増している計算になる。具体的な額として、日経新聞には、今年の1人あたりの役員報酬は平均6000万円と記されていた。
これはあまりにもひどい。これこそまさに「お手盛り」ではないか。非正社員を増やして給料を下げておき、自分たちの給料を5年で倍増させているのである。
要するに、大企業の役員たちは、消費者のことも、従業員のことも考えていないのだ。彼らは、景気拡大や構造改革を、自分たちの給料を増やすチャンスとしかとらえていないのである。
同じ会社役員でも、資本金1000万円未満の中小企業の役員報酬は、2001年度から2005年度までの4年間で3%減っている。その理由は明白だ。大企業が発注単価をどんどん絞っているために、中小企業の業績が悪くなっているのである。
これを見れば、小泉内閣の下で進められてきた構造改革で、いったい何が起きたのかが分かってくるだろう。結局、権力を握っている人たちだけが太って、一般の庶民はその割を食っているのである。
こうして見ると、いくら政府が格差を是正しようとしても、それは難しいことが分かる。格差を拡大させているのは、企業が労働分配率を低めているからであって、その判断を政府が動かすことは非常に困難だからだ。
もし、政府が本気で格差を是正しようと思うなら、法人税率を引き上げて労働者を減税するか、非正社員の最低賃金を上げるしかない。安倍総理は「格差を是正する」と言っているが、果たしてそんなことが今度の新内閣にできるのか、残念ながら疑問に思わざるをえないのである。
(私のコメント)
自民党の後継総裁も福田氏にほぼ決まり、自民党は従来型の派閥の領袖達の話し合いで決まってしまった。対立候補の麻生氏も総裁選挙で勝てる見込みは全くない。小泉内閣でやってきたことは何だったのか全くわからない。小泉チルドレン達も独自の候補を立てることもなく福田氏支持に回った。小泉前総理も盟友だった麻生氏ではなく福田氏を支持した。
福田氏は衆院を解散して選挙を行う事は考えていないようですが、参院が野党が過半数を制しているのだから国会は立ち往生して解散に追い込まれるのは目に見えている。政界の大再編は選挙の後に起きるのだろう。小沢民主党は民主党に風の吹いているうちに解散に追い込むつもりだろう。選挙になれば小泉チルドレンは風前の灯だ。
小泉構造改革とは何だったのだろう。彼は「自民党をぶっ壊す」といいながら自民党を延命させて自民党議員を増やした。そして総理を退いてからは自民党は元に戻ってしまった。彼は国民の不満を抵抗勢力にぶつけて自民党の延命に成功した。だからあとを継いだ安倍氏は「改革続行」といいながらも小泉総理の手法は真似する事が出来なかった。
むしろ「生活第一」といった小沢民主党の方が、国民の不満を自民党にぶつける事に成功した。しかし問題の本質は抵抗勢力にあるのでもなければ自民党にあるのでもない。規制緩和をすれば自由競争に晒されて勝ち組と負け組が出来て生活格差が拡大することだ。
人材派遣法の規制が緩和されて正社員がクビになり派遣社員に切り替えられた。クビになった正社員も、その穴を埋めた派遣社員も負け組である。勝ち組は人件費を削って企業利益を増やした企業の役員たちであり株主達だ。森永卓郎氏の記事をみていただければ分かるとおりに従業員の賃金をカットしてそれは役員賞与や株式配当に回されている。
正社員の平均年収が500万円を越えているのに非正社員は100万円台の年収に甘んじている。そして景気が良い悪いに関わらず非正社員は増え続ける一方だ。これでは生活不安が拡大して消費は減るばかりだ。政治家達はこのような現象を見ようともせず「改革続行」と言いつづけたから参院選挙で負けたのだ。
大企業の役員報酬は4年間に1,8倍にも増えて構造改革さまさまだ。成果主義が適用されて従業員の賃金カットが成果を上げる一番手っ取り早い方法であり、日本の大企業の役員は従業員の賃金カットが大流行だ。
確かに不景気なうちは賃金カットが一番手っ取り早い方法ですが、景気が拡大してきた時に規模を拡大しようとしても人材がいないということになる。中間管理職をぎりぎりまで減らしたから幹部職員の欠員が補充できずサービスの質は低下した。ソニーや松下のように欠陥製品を出すようになり成果主義は思わぬところでほころびを出すようになってきた。
ようやく構造改革の綻びを是正しようという動きも出てきましたが、行過ぎた規制緩和を見直すべきなのだ。ところが国会議員は雲の上で生活しているから何処に問題があるのか掴めずにいる。経済学者も自分で商売しているわけではないから、企業業績が上がっている事がわかっていてもその原因が分からないのだ。
学者は大企業の言い分をそのまま信じて、グローバル競争で非正社員化はやむをえないと言っている。マニュアル化できる単純作業は正社員でなくとも派遣やパートやアルバイトに置き換えることが出来る。ネット化が進んで業務を海外にアウトソーシングすることも出来る。
このような技術革新による業務の合理化は避けることが出来ない。銀行や証券会社もコンピューター化やネット化で店舗も従業員も減った。その社員も派遣やパートの人が増えた。人海戦術で大卒社員を預金集めに回らせていた時代が嘘のようだ。これを元に戻すのは無意味だ。
ではどうしたら格差社会が解消できるのだろうか? マニュアル化できない複雑な仕事や創造力を生かす仕事が出来るように人材を育成する必要がある。ところが現在の教育は相変わらず記憶力中心で創造性や独創性を伸ばす教育を行なっていない。与えられた仕事は良くやるが指示待ち族で問題解決能力が無い。
私は30代で脱サラして不動産業を開業したが、何から何まで自分で判断して解決しなければならない。だから学生時代以上に本を読んで勉強した。学校時代の学習とは全く違った世界であり、指導してくれる先生も仲間もいない。だから学校時代の優等生も社会では劣等生という場合もある。
だから単純で言われた事だけやればいい仕事はこれからもどんどん非正社員によって置き換えられて行くだろう。そして自分で新しい仕事を見つけて、自分だけしか出来ない技術を身に付けることだ。だから非正社員を正社員に戻せばいいということではなくて、同じ派遣社員でも高度な技術や、正社員では対応できない経験が必要な仕事をすることで正社員よりも高給を取る事が出来るようにする事だ。
しかし単純作業や指示された事しか出来ない人も沢山いる。そのような人を全部高度な仕事が出来るようにする事は不可能だ。若い時にフリーターで何の経験も持たない人は一生低賃金労働でワーキングプアになるかも知れない。いま政府がなすべきことは単純な仕事しか出来ない人を減らすことであり、単純労働者でも高給が取れる仕事を作り出すことだ。とりあえずは最低賃金を上げて規制緩和から規制強化に踏み切る事だ。