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http://amesei.exblog.jp/d2007-09-15
アルルの男・ヒロシです。
郵政民営化によって民間銀行を圧倒する巨大な金融機関(ゆうちょ:預金残高188兆円、かんぽ:総資産残高113兆円)が誕生する。現在決まっている範囲ではホールディングスの社長には元三井住友銀行の頭取の西川善文が就任し、郵便事業CEOにはイタリア・トヨタ会長の北村憲雄、郵便局会社(窓口会社)CEOにはヨーカドー執行役員の川茂夫、ゆうちょ銀行CEOは、三菱商事副社長の古川洽次、カンポCEOに進藤丈介、東京海上火災保険専務が就任することが決まっている。
『日経金融新聞』の14日付特集記事によると、社長を務める西川氏の出身母体だった三井住友とゆうちょ銀行のATM相互接続が行われることが決まっているそうだが、いくら三菱東京UFJに対抗するからと言って、これは明らかなコンフリクトオブインタレスト(利益相反)だ。郵政民営化についての関心がそれていくと共にこのような利益相反がまかり通っているのだが、郵政民営化準備委員会は何をやっているのだろう。
さらに注目すべき問題として、民営化後の郵政は地方顧客の取り込みのために地銀と競争が激化する。ゆうちょ銀では、「地銀に住宅ローンでの提携を打診する」という方針らしい。銀行代理店として住宅ローン商品を売りながら地銀の販売ノウハウを吸収する作戦、との解説がある。
しかし、ゆうちょ銀行が民間銀行になるということは、いざというときの政府保障がやがて外れてしまうことを意味する。政府保証が外れることで何が起きたかを知るためには、先行して郵政民営化を行った、ドイツの事例を観ればいい。
ドイツでは、地方銀行や信用金庫に相当する、LB(ランデスバンケン)と言われる貯蓄銀行のような小規模な金融機関があり、これが地方政治家の権力基盤にもなっている。ザクセン州の政治家であったが同時に、ザクセンLBのボードメンバーでもあった。これらの金融機関に対する政府保証が2005年に外れた後、これらの金融機関はどうしたか。いわゆるハイイールド金融商品に投資することで利回りを求めたのである。これに目を付けたのが、いわゆるサブプライム関連債券を組成していた欧米の巨大投資銀行である。ザクセンLBやヴェストLBのようなランデスバンケンである。ヴェストLBが巨額損失を出したのは、直接的にはサブプライム危機とは関係なかったが、別の会計スキャンダルで身売りを余儀なくされ、ザクセンLBは以下の記事のようにサブプライム問題の直撃を受けた。
(貼り付け開始)
ザクセンLB買収…独LBBWサブプライム問題で救済
FujiSankei Business i. 2007/8/28 TrackBack( 0 )
ドイツの州立銀行最大手バーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)は26日、旧東独を拠点とする州立銀ザクセンLBを2008年1月1日付で買収すると発表した。ザクセンLBは米国の低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン焦げ付き問題で傘下の投資会社が資金繰り難に陥り、流動性確保で他の州立銀など公的金融機関の救済を仰いだばかり。
今回のLBBWによる買収も、救済色が強い。LBBWはザクセンLBに対し、2億5000万ユーロ(約400億円)の緊急支援を行う。LBBWは声明で「買収による信用力への悪影響はない」と強調した。
同国では、中堅行IKBドイツ産業銀行もサブプライム問題で資金繰り難に陥っており、同問題が金融界を大きく揺るがしているが、これを機に課題となっている金融再編が加速しそうだ。(フランクフルト 時事)
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200708280039a.nwc
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英バークレイズ、独ザクセンLBのファンド設立を支援
2007年8月27日(月)19:46
[フランクフルト 27日 ロイター] 27日付の英タイムズ紙(電子版)は、経営が悪化した独ザクセン州立銀行(LB)について、同行の経営悪化の原因となったオフショアファンドの設立を英バークレイズ銀行が支援していたと報じた。
同紙は「ザクセンLBの経営悪化の原因となった複雑なファンドの設計をしたのはバークレイズとみられる。また、バークレイズはLBの投資先に追加担保を要求し、これがLB経営悪化の一因になったもようだ」と伝えた。
同紙によると、ザクセンLBの経営悪化の原因となったオフショアファンド「ザクセン・ファンディングI」(ダブリン籍)は、ザクセンLBとバークレイズ・キャピタルが共同で設立。同ファンドは、米資産担保証券(ABS)に投資していたが、投資資金の調達先だったコマーシャルペーパー(CP)市場の流動性低下で資金繰りが悪化した。
またバークレイズは、ザクセンLBが出資していたクレジット投資専門のヘッジファンドに対し先週、追加担保の差し入れを要求。その後担保の一部を差し押さえた。
この報道に関するバークレイズのコメントはとれていない。
同紙によると、バークレイズに近い筋は、同行が設立を支援した投資ファンドが損失を出しても、バークレイズの損失は最小限に抑えられる見通しだと指摘。またバークレイズは、運用資産の選択や運用自体には関わっておらず、顧客がトラブルに陥ってもバークレイズが責任を問われることはないという。
ザクセンLBは26日、独州立銀行最大手のバーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)[LBBW.UL]への身売りで合意した。
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-275814.html
(貼り付け終わり)
郵政民営化の後の未来図を暗示しているようなニュースだろう。郵政も利回りを上げるために国債以外の商品に投資するとなると、このサブプライム商品のような投資には気を付ける必要があるだろうし、自らがサブプライムな借り主への貸し出しを増やして不良債権化するようなことは避けなければならないだろう。
ザクセンLBの事例では、バークレイズ銀行が、サブプライム関連金融債券を勧めていた。バークレイズは、SIVという簿外ヘッジファンドの設立にまで関与していた。
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リスクある商品に注意 郵政民営化後の『ゆうちょ銀行』
2007年9月13日
日本郵政公社が十月一日に民営化され、公社が取り扱っていた郵便貯金事業は「株式会社ゆうちょ銀行」が引き継ぐ。当面は、商品やサービスの内容は今までとほとんど変わらないが、将来は新商品の扱いが相次ぐ見通し。損失の危険性(リスク)がある商品の売り込みに力を入れる場面も予想されるので、消費者は十分に注意する必要がある。 (白井康彦)
民営化に関する公社のパンフレットや政府広報などで「民営化後も郵便局はこれまで通り、ご利用いただけます」と盛んに強調されている。
民営化後は、「郵便事業株式会社」と「株式会社かんぽ生命保険」、ゆうちょ銀行が、それぞれの事業についての郵便局窓口の業務を「郵便局株式会社」に委託する(図参照)。郵便局株式会社が全国の郵便局を運営するので、郵便局で郵便、銀行、生保のサービスが受けられる。
当面は商品構成もあまり変わらない。ゆうちょ銀行が引き継がない貯金は、取扱金額が小さい「国際ボランティア貯金」「積立郵便貯金」など五商品だけだ。
決済サービスや送金などの手数料は十月に改定される。大半の手数料は値上げ。少額の送金で使われる定額小為替は、一律十円から一律百円に十倍の値上げだ。
公社や政府は貯金の安全性も強調している。これまでは郵便貯金の元本や利息は国が保証していたが、民営化後は経営破たんしたときは銀行などと同様に預金保険制度にもとづいて扱われる。
通常郵便貯金と通常貯蓄貯金は、預金保険制度で元本一千万円までとその利息が保護される。定期性の郵便貯金は、民営化前に契約した分は政府保証が続くが、新規契約分は預金保険制度の対象となる。ただ、郵便貯金の預け入れ限度額は、民営化前の契約分も含め当面は一千万円なので、経営破たんで損失が生じる可能性は考えなくてもいい。
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まだ固まっていないが、ゆうちょ銀行では今後、住宅ローン、独自発行のカードローン、変額年金保険の取り扱いが始まる見通しだ。
ファイナンシャルプランナー(FP)らの関心が強いのは変額年金保険。集めた保険料の運用成績次第で年金額が変わる民間の年金商品で、生命保険会社の商品が郵便局で売られる形が想定されている。
現在、銀行が生保会社の変額年金保険の販売に力を入れているが、各地の消費生活センターや国民生活センター(東京)には苦情が多い。「銀行員の説明不足が原因で、お年寄りが預金と思って変額年金保険の契約をしてしまった」というパターンが目立つ。
「生活設計塾クルー」(東京)の代表取締役でFPの野田真さんは「銀行が生命保険会社から受け取る手数料が大きいので、銀行が積極的に売っている。ゆうちょ銀行も同じようにならないか」と懸念する。
郵便局では既に値下がりリスクのある金融商品が販売されている。二〇〇五年十月に発売された投資信託だ。公社の投資信託の総資産残高は、今年八月末で九千七百二十五億円。一年前の三倍強という伸びで、投資信託の売り込みに力が入っていることが分かる。
しかし、八月には世界各国の株式市場の平均株価が大きく下がり、公社の投資信託の顧客でも評価損を抱える人が多くなった。
こうした状況があるため、名古屋市のFPの早川元子さんは「従来の郵貯についての『安全、確実』というイメージは捨てて、ゆうちょ銀行と取引していくのが賢明です」と話している。
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007091302048407.html
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