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デフレに内在する生産量増強システムと
インフレに内在する生産量抑制システム
現在のいざなぎを越えたという長い実質GDPの経済成長に疑問を呈する私の最大の理由は、デフレには生産量を増加させるシステムが内在しており、経済の実際の成長によるものではない場合があるからです。
わたし自身現在の実質GDPによる経済成長の継続は、単にデフレが長期化している物と考えています。そこへ輸出による生産量と低金利などによる企業刺激策がもたらした無理やりの生産量の増加が加わっているのが現在です。
現在の1%から2%前後の実質GDPの成長率の意味するもの、それはデフレに内在する生産量増強システムの働きによる所が大きいと思われます。1.5%前後はこの影響であると思います。特に2千ゼロ年より2千4年頃まではこの成長分と言えるでしょう。それ故このデフレ下の経済成長は本来の経済成長ではなく経済の消耗による生産増加に過ぎないのです。このいざなぎを越えるかという実質GDPの成長は常に名目GDPの成長率が低くなっており、この名実のGDPの差の大きさがが消耗の度合いを示しています。すなわち名実が逆転し、その差が大きければ大きいほど消耗して生産量が増えるのです。これは経済が実際に成長している訳ではなく、企業競争の激しさからくるものです。この激しさの理由は企業の生き残り競争にあります。
デフレに内在する生産量増加システムとは
「デフレというのは、生産能力に対して大幅に資金が少なくなり、競争の激化から正当な付加価値以下に価格が圧えられる現象です。」
生産力がそのままで資金が急激に少なくなると、消費者の買い控えが始まり、企業間の競争激化から、企業は売上を確保するため、(あるいは生産能力を維持するため、)
価格を下げ、量で売上を確保しようと行動しがちです。特に所得線の角度が下降する過程のデフレスパイラルにおいてはそれが顕著に表れます。
デフレにおいては資金量が壁となり、貯蓄がないためそれ以上の売上が望めません。そこで企業同士はその消費額の取り合いから、少しでも安くたくさん売ろうとします。
消費者側から見ると少なくなった所得でどれだけたくさん生産物を購入するか、という行動から低価格品をたくさん買うことになります。
常に資金が先行して少なくなり、販売額の上限が決まるので、売上をそれに合わさざる負えず、価格が下がり生産量で売り上を確保しようとするからです。
それが生産量が増えても売上が下がるという現象が起こることになります。それが全経済に及び、その結果、実質GDPを実態以上によく見せかけ、名目GDPの成長率が実質GDPに劣ることになります。
この現象がよく分かるのは、小泉政権の初めから最初の4年間でしょう、2千零年から2千4年頃まで顕著にそれが表れています。明らかにデフレスパイラル現象により底に沈んでいったのです。
その頃、予算を組んでの公共投資政策を止め、低金利過剰融資策を取り始めた頃です。それまでは公共投資による景気浮揚策があったので消耗の度合いが分かりにくい面がありました。
さらに銀行の不良債権一掃の名のもとに、銀行の統廃合、合併が繰り返され、民間の資金が、企業、消費者の両方から、さらに銀行に吸収された頃にあたります。
この4年間は激しいデフレスパイラルにより経済が消耗した結果、実質GDPが伸びていたと考えられます。実際に経済が成長したのではなく消耗した結果生産量が伸びただけなのです。1%から2%前後の成長率は経済の伸びではなく、消耗の激しさからくる生産量の伸びなのです。これをカウントして実質成長率が伸びたと言っている分けです。
デフレスパイラルによる経済の沈降現象は、この名目GDPと実質GDPの逆転とその解離の差、そしてそれがもたらす過当競争による消耗により、実質GDPのわずかな成長として現れます。
もっと簡単に言うと
「名目GDPの成長率が実質DGPの成長率より低いということは、資金の伸びより生産量の伸びが多いということです。これは付加価値に対して正当な価格が付けられていないことを意味します。デフレの場合当然低い価格です。」
これは過当競争の結果を意味し、低価格の生産増を意味しています。
それ故この成長をもって経済の成長と言ってはならないのです。
デフレは売上を減らすが、生産量を伸ばす傾向があるのです。
当時の政策担当者達は、このわずかな成長をもって自分たちのやり方が間違っていなかったといいたいのでしょうが、お門違いでしょう。名目の国民所得が減少することは当然賃金の減少を意味し、下層階層を増やしました。デフレの格差は上下の差は小さいが固定的であり、逆転が難しく、新規開業が成功せず、輸出入業者や公務員などの勝ち組と内需関連企業と民間労働者の負け組を作ってしまったのです。
特に所得が下がり、生活が困難な人達や生活保護所帯が増えるのがデフレの経済の悲惨さです。
これがデフレにおける経済成長のからくりです。いざなぎを越えるかという経済成長が何ら恩恵がなく、借金が増えていく理由です。
それ故政策担当者、日銀等は、経済を失敗させているのであり成功させた分けではありません。
しかしまだデフレやインフレがどのようなものかよく理解されていないので、誤解されている方々が多いのが現状です。デフレにおける低金利や、企業減税、構造改革、失業対策、成長力拡張策など企業の供給を刺激するだけのやり方は如何に無茶苦茶であったか自ずと分かってくるでしょう。(デフレインフレの一般理論参照http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/)
デフレ解消策はひとえに需要側の資金を増やす事が大事なのです。
「インフレは生産量より資金量が大幅に多い場合です。この時企業は生産を抑制し価格を釣り上げようとします。これによりインフレでは実態より売り上が多くなる傾向があります。」
これからインフレにするためには何が必要かお分かりになると思います。資金を消費者側に増やし生産量を抑制することです。