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株式日記と経済展望
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http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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87年のブラックマンデー直後、ウォール街にはレイオフ旋風が
吹き荒れ、不動産価格は暴落し、アメリカ中が大不況に陥った。
2007年9月12日 水曜日
◆サブプライムローン問題は世界不況の前触れ?」(2007/09/11) 箭内昇
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/yanai.cfm?i=20070910c9000c9&p=1
(抜粋)
ここまできた貧富の格差拡大
第3に、この5、6年間見かけなかった物ごいがマンハッタンに出現した。彼らは昔と同じように地下鉄のホームや街角に座り込んでいるが、「金でも食料でも何でもいいから恵んでください」と書いた看板を首からかけた少女の姿は哀れを誘う。
デパートものぞいてみたが、メーシーズなどの大衆デパートは食料品売り場を除けば空いている。高級デパートとされるサックス・フィフス・アベニューでも、活気があるのは高級衣料品売り場くらいだ。
一方で、超高級デパートのバーグドルフ・グッドマンは、以前にましてにぎわっている。メンズ館で観察していると、高級なスーツを着込んだ「勝ち組」の紳士たちが、3000ドルのベストや6000ドルもするジャケットを気楽に買っていく。
アメリカの貧富の格差は、われわれ日本人の想像を超えて拡大しているようだ。
米製造業の終わりの始まり
第4は日本車の急増だ。ワシントンでは大げさでなく、街中を走る車の半分近くが日本車だ。友人の住むコンドミニアムの駐車場はユダヤ人が多いせいもあってか、実に8割が日本車で、特にトヨタのレクサスが圧倒的に多い。ニューヨークではミニバン型のタクシーの急増に驚いたが、その2割程度はトヨタ車だった(写真)。
日米貿易摩擦問題ピーク時の1990年前後にニューヨークに駐在していた筆者にとっては、日本車のイエローキャブがマンハッタンを走るなど夢想だにしなかったことであり、実に感慨深い。
だが一方で、アメリカ製造業の消滅が最終章を迎えていることを実感する。
不動産投資は「バカラ」から「ババ抜き」へ
第6は、アメリカ一般国民の不動産投資熱がようやく冷め始めたということだ。2年前にはアメリカ人の友人が3人も集まれば不動産投資の話で持ちきりだったが、今回は沈黙だ。無理やり聞き出すと、フロリダなど特定地域を除く全米で、ニューヨークなど主要都市の不動産価格が頭打ちになってきたので心配だという。
彼らはこれまで保有不動産の価格上昇で生まれた担保余力で銀行借り入れをし、その資金で別の物件に投資したり車を買ったりしていたが、銀行の貸し出しスタンスも急に渋くなってきたと愚痴をこぼす。
最近では水面下で不動産の売却案件が急増しているともいう。アメリカ国民はこれまで楽しんできたカジノを「バカラ」から「ババ抜きゲーム」に切り替え始めたようだ。
今回の定点観測を総合すると、「アメリカは好景気の陰で危険なマグマを蓄積しており、しかも地表近くまで隆起している」というのが実感だった。
サブプライム問題を機に噴出したマグマの正体は
「これは何か起きる」という思いを抱きながら帰国した直後、サブプライムローン問題を発端にした世界金融市場の大混乱がぼっ発した。
筆者は一昨年11月のこのコラムで「米連邦準備理事会(FRB)議長交代直後の1、2年はアメリカ発の経済混乱に要注意」と書いたが、不幸にして不安が的中した。歴史は繰り返したのである。
筆者はつい先般も月刊誌「諸君」(文芸春秋)7月号で、「米国流投資ビジネスは必ず破綻する」という趣旨の1文を寄稿して警鐘を鳴らした。この悪い予感も現実化し始めたようだ。
今回の金融混乱については多くの議論が展開されているが、歴史的な視点やアメリカ経済の構造要因にまで言及したものは少ないように思う。だが、筆者のような長年のアメリカ・ウォッチャーにとっては、複雑な金融理論うんぬんよりも、その底流や震源の分析のほうがはるかに重要だ。
今回の事件は、アメリカが官民一体で金融ビジネスを急拡大した結果生じた、必然的なひずみに思えてならない。それだけに正常化には相当の時間とエネルギーを要するだろう。
いつかは崩壊する宿命の「ドルの帝国循環」
第1は、今のアメリカ経済は基軸通貨国であり覇権国であるがゆえに、世界中の資金が集まることで支えられているが、この「帝国循環」がいつか崩壊するのではないかという不安だ。
国家も企業も個人も金繰りさえ回っていれば破綻することはないが、歴史的に見れば、かつてのイギリス同様、経済が長期凋落する中で永久に覇権を握り続けることは不可能である。
結局はローレンス・サマーズ元財務長官が喝破したように、「アメリカ国民は一時的な苦痛を覚悟しても消費を抑え、地道な生活に戻ることから始めるしかない」というのが、筆者の実感だ。だが、本当に実行したら、世界経済が大混乱に陥ることは間違いない。
それでも投資ビジネスは止まらない
だが、金融のプロたちは、投資ビジネスのアクセルを緩めることはない。彼らはボーナス数億円という生活を捨てられないし、投資家や株主からも絶えず高業績へのプレッシャーがかかるからだ。
アメリカ政府も本気でブレーキを踏むことはしないだろう。これまでもグリーンスパン前FRB議長はデリバティブやヘッジファンドの規制に反対してきたし、バーナンキ議長もヘッジファンドに対する情報開示に否定的だ。まして、ポールソン財務長官は直前までゴールドマン・サックス会長だった人物であり、ルービン元財務長官は現在シティグループの取締役会議長である。
そのシティグループは純利益215億ドルと世界最大企業にのしあがり、バンク・オブ・アメリカが第2位、JPモルガン・チェースは第5位と、世界ランキング上位5社にアメリカの3大金融機関が顔を並べる(第3位はHSBC、第4位はGE)(Forbes Global 2000)。
今やアメリカにとって金融業はまさに国家の屋台骨であり、その原動力である投資ビジネスへの攻撃に対しては、官民挙げて大反撃するに違いない。
ブラックマンデーの悪夢再来はあるか
だが、今回のサブプライムローン問題では、ヨーロッパを中心に、世界中の金融機関が大きなダメージを受けた。欧州中央銀行(ECB)は混乱直後の4日間で、実に2100億ユーロ(約35兆円)を超える巨資を市場投入した。
10年前のLTCM事件のときは関与した金融機関が限定的であり、わずか(?)36億ドルの緊急融資と3回のフェデラルファンド(FF)金利引き下げで問題解決したことと比べると、今のアメリカ型投資ビジネスは臨界点に達していると見るべきだ。
9月7日のウォール・ストリート・ジャーナルによれば、グリーンスパン前FRB議長は今回の混乱を「87年のブラックマンデーや98年のLTCM破綻時の混乱と酷似」さらには「1929年の金融恐慌とも類似する」と指摘したという。
「あなたが先送りした問題だろう。よく言うよ」と皮肉りたくなるが、筆者の実感を裏付ける有力な論評であることは確かだ。
筆者の脳裏には87年のブラックマンデー直後に赴任したときの、ニューヨークのすさんだ光景がよみがえる。ウォール街にはレイオフ旋風が吹き荒れ、不動産価格は暴落し、街中に物ごいがあふれるなどアメリカ中が大不況に陥った。
筆者のいやな予感が外れることを祈るのみだ。
(私のコメント)
87年のブラックマンダーは20年前の出来事であり、当時の日本の景気はドルショックなどあったものの絶好調の時であり、アメリカは絶不調の時であった。85年のプラザ合意でドルは大幅に切り下げられましたが、アメリカの製造業が復活する事はなかった。ドルをいくら切り下げてもアジアの低賃金には敵わなかったのだ。
当時就任したグリーンスパンFRB議長はブラックマンデーに直面したのですが、西ドイツが短期金利を引き上げてルーブル合意の枠組みが崩れたという観測が流れて大暴落が発生した。その結果日本も金利を引き上げるべき時だったのですが、ブラックマンデーの再発を恐れて日本は金利を引き上げられなかった。当然アメリカの圧力があったのだろう。
しかし日本が金利を引き上げて景気の引き締めを行なっていればバブルの発生は防げたはずだ。政府日銀は日本を犠牲にしてアメリカを救った格好になる。当時の株価も土地価格も打ち上げロケットのように高く上昇中でしたが政府日銀はそれを放置した。その構造は今も変わらず日米の金利差は守られている。もし日銀が利上げをすればブラックマンデーの再発になるが出来るわけはない。
その後アメリカは製造業をあきらめて産業構造を金融不動産にシフトした。まさに90年代から00年代のアメリカはバブル景気に沸いて、アメリカは金融立国と不動産投資ブームは15年近く続いた。グリーンスパンは日本のバブル崩壊の様子を特に研究しているから巧みな金利操縦で9・11テロ後の混乱を乗り切った。
バブルは崩壊させてはならず出来るだけ先送りして軟着陸させなければならない。日本はそれに失敗したから「失われた10年」に直面した。日本もアメリカのように金融業や不動産業に産業構造をシフトすべきなのですが、昨日も書いたように日本政府は税制をはじめとして金融不動産業に理解がない。
金融業や不動産業で成功するには優れた情報分析力と先見力と実行力が必要ですが、日本の記憶力中心の教育からは人材の育成は難しいようだ。
バーナンキFRB議長が就任してアメリカは信用不安の危機に直面している。前任のグリーンスパンは金利を引き上げて株や不動産の過熱を抑えようとしていましたが、バーナンキは利上げをストップさせた。その間にサブプライムローンというきわもの的な住宅ローンが問題を生じ始めてきている。
日本の場合は製造業も健在ですがアメリカの場合は製造業で競争力のあるのはIT分野などに限られている。自動車ですら箭内昇氏が書いているように日本車に王座を渡そうとしている。慢性的なガソリン価格の値上げが燃費のいい日本車に追い風になっているのですが、ハイブリット車などの新技術に後れを取ってしまった。
好調だった不動産や金融業にも陰りが見え始めてきている。不動産と金融とは密接に関係しており、不動産担保ローンは長い間アメリカの消費を支えてきた。日本の消費が低迷しているのも不動産が下落し続けているからであり、不動産市場が立ち直らない限り日本の消費が回復することはないだろう。
今や東京と欧米の大都市とのホテル・マンション家賃など逆転現象が起きている。東京なら2万円で泊まれるホテルもニューヨークだと4万円から5万円もする。だから外人観光客が減り国内の観光客が増えているようだ。箭内氏もマンハッタンは「おのぼりさん」が増えていると書いている。そして物乞いも増え始めているようだ。
ニューヨークのホテル代も金融業者の数億円のボーナスもバブル現象なのですが、バーナンキも利上げをして景気を冷やすべきだったのが金利を据え置いたからバブルを加速してしまったようだ。そしてサブプライム爆弾が破裂して第二のブラックマンデーが訪れようとしている。そして慌てて金利を下げれば日本やEUとの金利差がなくなりドルが海外に逃げる。
帝国循環については以前にも書きましたが、大英帝国とインドとの関係はアメリカと日本との関係に似ている。この点では日本は明らかにアメリカの植民地であり、アメリカは日本からどんどん物を輸入してもその代金はアメリカに留まり金融不動産業を支えてきた。本来ならば日本において使われるべきマネーだったのだ。日本の金融財政政策がアメリカの都合良いようにされてきたのだ。
今やアメリカ経済の屋台を支えているのは金融不動産業なのですが、その産業もサブプライム爆弾が破裂すればアメリカ経済の屋台骨が粉々になるということだ。アメリカの製造業は1970年から今では半分の規模になってしまいましたが、ドルがいくら下がっても競争力は無い。アメリカ製のパソコンや自動車は故障ばかりする。中古車市場を見れば日本車とアメリカ車の価格差は歴然としている。高い日本車の方が結局は安くつくのだ。