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バーナンキ議長、お手上げ パニックを作り出した“情報不足”にFRBは打つ手なし = BusinessWeek
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 9 月 05 日 22:55:33: mY9T/8MdR98ug

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070904/133953/?P=1

Peter Coy (BusinessWeek誌、経済担当エディター)

米国時間2007年8月23日更新、「It's Out of Bernanke's Reach」

 「FRB議長、どっちらけ」──。

 もし米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長がブロードウェイの劇作家だったなら、米芸能誌「バラエティー」は翌日の見出しでそう酷評したかもしれない。

 8月17日に象徴的な意味合いの強い公定歩合の引き下げを実施したFRBは、これで市場の動揺は収まり、資金調達の状況は平常に戻ることに期待をかけた。だが、状況はさらに悪化した。“絶対安全”を求めた投資家は、企業に投資するのをやめ、国債に殺到した。

 市場の混乱度を示すクレジットスプレッド──信用力の高い債券と低い債券の利回り格差──は、過去10年以上で最大となった。公定歩合引き下げから5日経っても、市場は依然として深刻な機能不全に陥ったままだ。

 バーナンキ議長の書いたシナリオが、せめて、“つかみ”のところだけでも受けなかったのはなぜか。簡単に言ってしまえば、FRBは金融危機の根本的な問題を解決しなかったのであり、そもそも解決する力がないということなのだ。その問題とは、“信頼できる情報”という極めて重要なものが市場から欠落していることだ。

 貸し手は、何十億ドルもの脆弱な資産が市場に出回っていることを知っている。例えば、不当に過大評価された間抜けな住宅ローンを担保にした債権だ。

 貸し手が知ることができないのは、その脆弱な資産を誰が持っているかという情報だ。だから、疑わしい債権を担保にして融資を申し込まれた場合、最も安全なのは「ノー」と言うことである。皆が一斉に「ノー」と言えば、信用収縮が起こる。信用収縮が続けば、次に待っているのは景気後退だ。

21世紀の金融界が初めて直面した“取りつけ騒ぎ”

 バーナンキ議長は、初めはサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)が崩壊したことによる悪影響を過小評価していたとはいえ、現代の金融界が初めて直面する重大な危機に立ち向かおうとしているのだ。

 現代の金融界は、10年前の世界金融危機を経て劇的に様変わりした。以前なら、銀行の融資は財務諸表に明確に記されていたため、不良債権を抱えている銀行は一目瞭然だった。問題のある銀行を閉鎖し、ほかの銀行を救うことができた。

 だが、今日、FRBの仕事はそれほど簡単ではない。ほとんどのローンはパッケージになって売買される。経済の要である信用創造は、世界中に散らばる投資家の連鎖に委ねられているのだ。この連鎖から遠ざかれば、債権を支える資産に関する情報が得られなくなってしまう。

 ある時、「中身が分からない資産を買うのはやめる」と投資家が決意した途端、危機が勃発した。「担保評価に対する極端な不確実性に対する認識が一気に広まった」と言うのは、米投資会社ブラックロック(BLK)のピーター・R・フィッシャー氏である。1998年の金融危機の際には、ニューヨーク連邦準備銀行の職員として、米ヘッジファンドのロング・ターム・キャピタル・マネージメント(LTCM)救済の調整役を務めた。

 今回の大混乱は、21世紀の金融界における取りつけ騒ぎである。1930年代の恐慌では、資金源(短期性預金)が突如として空になってしまったために多くの銀行がつぶれた。今回、資金源を失って破綻の危機にさらされているのは住宅ローンの貸し手である。今回の場合の資金源は、MMF(市場金利連動型投資信託)に売却された短期債券などである。短期債券の多くは資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)として知られ、十分な担保の裏づけがあるということで「AAA」に格付けされるのが普通だ。

「1932年7月、シカゴ」の教訓に学べ

 問題は、こうした債権をずっと買ってきた側が“ストライキ”を打ったことだ。理由は、情報が不完全であることだ。買い手には、債権の担保となっている資産に発行者が言うような価値があるのかどうかが全く分からない。それらの資産の中には、怪しげなサブプライムローンも組み込まれているのだ。

 通常、償還期限30日の資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)で発行者が支払う金利はほとんど変動しない。しかし、FRBが8月7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを見送る決定を下した後、ABCPの金利が上がり始めた。8月22日現在までに利率は1%ポイント近く上昇し、多くの借り手がCP発行を断念せざるを得ない状況に追い込まれている。

 情報の質を上げれば混乱は収まることは、歴史が証明している。ドレクセル大学レボウ・ビジネス・カレッジのジョセフ・R・メーソン教授によれば、1932年6月にシカゴで起きた銀行の取りつけ騒ぎは、7月1日、各行が月次財務報告書を開示しただけで沈静化した。どの銀行が破綻寸前で、どの銀行が健全であるかという情報が明らかになったからである。

ヘッジファンドや銀行にガツンとかましてやる?

 ヘッジファンドや銀行などが保有資産の情報をもっと開示すれば、市場はまともに機能するようになる。自発的にやれないのなら、FRBが圧力をかけることだってできる。「バーナンキ議長は、ガツンとかましてやることもできる」と、メーソン氏は言う。

 FRB議長がドタバタコメディ「Three Stooges」さながらに、ヘッジファンドや銀行トップの頭を小突き倒そうとしている気配はない。バーナンキ氏がやろうとしているのは、市場が自らの力で問題を解決できるようになるまでの時間稼ぎである。

 選択肢が限られる中で、バーナンキ議長は銀行がFRBのいわゆる「割引窓口」から直接借り入れできることを周知することで、銀行に安心感を持たせようとしている。FRBは公定歩合を0.5%引き下げて5.75%にし、さらに貸し出し期間を1日間から30日間に延長したのは、その効果を上げるためである。

 8月22日には大手銀行4行が範を示したが、バーナンキ議長の狙いは銀行がFRBの割引窓口に殺到することではない。真の狙いは、住宅ローン担保証券(MBS)のような様々な担保を抱える銀行にも、FRBは十分な資金を供給する用意があるというシグナルを送ることなのである。

 このような担保でもFRBから資金供給を受けられるならば、銀行は自行のローンでもこうした担保を受け入れる気になる。理論的には、融資要件の緩和につながるはずだ。ただし、このプロセスが回り始めるにはもう少し時間がかかりそうだ。

LBOや大型住宅ローンの回復は早い

 FRB幹部は、最初に正常化するのは既にローン情報が充実している市場からだと予想している。

 例えば、レバレッジド・バイアウト(LBO、相手先資産を担保にした借り入れによる買収)向けの資金調達である。LBOの場合、ローンの返済は被買収企業のキャッシュフローに依存しており、それはかなりの確度で予測が可能だ。

 ジャンボローンと呼ばれる大型住宅ローン──41万7000ドル以上のローンで、政府系の金融機関であるファニーメイ(FNM)やフレディマック(FRE)による住宅ローン債権の買い取りが認められていないもの──も債務不履行率が比較的低く、予想可能であるため、利用が拡大するだろう。ジャンボローンの金利は既に、わずかではあるが引き下げられている。

 問題の元凶であるサブプライムローン市場の正常化には、最も時間がかかるだろう。そこでの問題は、貸し手と借り手の双方による不正行為が横行していることである。

安易な利下げは金融市場の体質改善を先送りする

 金利を決定するFOMCの次回会合は9月18日に予定されている。それまでには市場の機能に明確な改善を見いだしたいというのがFRBの期待である。もし明確な改善が見られたら、FRBは銀行間での準備金の貸付金利であるFF(フェデラルファンド)金利の引き下げを、大方の予想に反して見送るかもしれない。

 逆に、状況が悪化すれば、9月18日を待たずに利下げに踏み切る可能性もある。市場をマネーで溢れさせることによって、善玉も悪玉も一緒くたに救済の手が差し伸べられることになる。経済の再生を助けることになるだろう。だが、懲りない貸し手は再び、同じような軽率な貸し付けを行うだろう。

 過去数年間にわたって繰り返されてきた間違った貸し付け慣行は、あまりに根が深く、FRBが多少の利下げをしたぐらいで簡単に矯正できるようなものではない。

 バーナンキ議長が取るべき最善の策は、経済を持ちこたえさせながら、じっと待つことである。貸し手たちが自らの過ちに気づき、問題を自分の手で解決し、見向きもしなかった情報の大切さに気づくまで。その日が早く来ればいいのだが。

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