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情報貧乏が生んだサブプライム禍 価値もリスクも見極められず、何もかもが手探り状態に = BusinessWeek
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 8 月 29 日 12:42:00: mY9T/8MdR98ug

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070828/133353/

Peter Coy (BusinessWeek誌、経済担当エディター)

米国時間2007年8月17日更新 「Behind the Financial Crisis: Info Failure」

 金融危機に直面する現在、最も入手困難なのはカネではなく、信頼できる情報だ。とりわけ本当の資産価値についての確かな情報が欠落していることが、価格の急激な変動や取引機能の麻痺を市場にもたらしている。

 米連邦準備理事会(FRB)は信頼回復に全力を尽くしている。8月17日に公定歩合を0.5%引き下げて5.75%としたのは記憶に新しい(BusinessWeek.comの記事を参照:2007年8月17日「Fed Move Lifts Stocks」)。

 しかし、FRBの行く手には大きな障壁が立ちふさがっている。資産の価値が信用できない限り、借り入れコストがいかに安くてもその資産を購入する気になるはずがないからだ。米メリルリンチ(MER)のエコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は、8月17日付リポートにこう書いている。

 「金融機関は(資産価値についての)情報不足によって身動きできなくなっている。この状態から抜け出すためには結局のところ、情報の質と透明性を上げるしかない」

クレジットスコアに貸しまくった末の破綻

 このような状況の変化は予想外だった。ほんの数週間前まで、金融情報の質はかつてないほど高いと思われていたのだ。最も明白な例が、そう、住宅ローン市場である。

 ここ数年間、貸し手は借り手に対して20%の頭金を要求していたが、それは借り手の返済能力を見極めることができなかったからだ。20%程度の頭金を確保しておけば、住宅を差し押さえて競売にかける必要が生じても、損害を出さずに対処できるだろうと判断したのだ。

 しかし、2000年以降に住宅ブームが到来すると、貸し手とローン債券市場の買い手は、借り手のクレジットスコア(消費者個人に与えられる信用力評価点)を見ればその返済能力の有無を見極められるという結論を出したのである。この変更によって何が起きたのか。突然、信用力が“並み”の人でも、わずかな頭金で、あるいは頭金なしで住宅を購入できるようになったのである。

 住宅ブームに便乗して一儲けしたい投資家は、貸し手に対してもっとローン契約を増やすよう強く求めた。そして貸し手は、買い付ける相手を増やすために信用力の低い方へ低い方へと下りていった。この時、情報の質はますます向上しており、かつてないほど正確にデフォルト(債務不履行)のリスクを評価できると、誰もが勝手に思い込んでいたのである。債務担保証券(CDO)のような複合的債券の評価の考え方は、こんなものだったのである。

 こうして軽々しく組まれた住宅ローンの多くに、額面どおりの価値がないことは明白である。問題は、どのぐらい価値が下がっているのかだ。1ドルが 90セントになったのか、50セントなのか、あるいは10セントなのか。この疑問が解けるまでは、住宅ローン担保証券(MBS)の価値を判断できない。よって、この手の証券にかなりの額を投資してきた銀行やヘッジファンドに融資していいものかも判断できない。よって…というようなことが連鎖的に続いていく。

 米国最大の住宅ローン会社であるカントリーワイド・ファイナンシャル(CFC)のような、採算性が高く資金も豊富な大手企業ですら、信用収縮により打撃を受けている。カントリーワイド・ファイナンシャルは8月16日、世界の大手銀行 40社が組むコンソーシアムから115億ドルの緊急資金供与を受けた。当面の信用危機を切り抜けるための流動性を確保するためである。

“リスク”を取ったのではなく“不確実性”の闇を突進した

 エコノミストなら、この現象についてよく知っているはずだ。3人の米国人経済学者が2001年にノーベル経済学賞を受賞したテーマは、情報が“非対称”である時、どのようにして市場が崩壊するかについての分析だった。例えば、買い手が売り手よりも豊富な商品情報を持っているような場合である。

 ジョージ・アカロフ氏、マイケル・スペンス氏、ジョセフ・スティグリッツ氏が言うメカニズムを簡単に説明するとこうなる。買い手が何かを購入しようとしているとする。その商品の品質について十分な情報が与えられていないことに気づくと、買い手は購入金額の引き下げを要求するようになる。その額があまりにも低ければ、今度は売り手側が売る気をなくしてしまう。結局、取引は不成立。市場の失敗である。

 実際、今の市場には冷たい空気が流れている。冷え込みが一番厳しいのは、情報が最も乏しい市場、すなわち住宅ローン担保証券やコマーシャルペーパー(CP)などを扱う市場である。こうした証券の担保価値を正確に評価することなど、アナリストには全くできない。

 対照的に、ジャンク債市場は割と堅調である。首をひねる方も少なくないだろうが、ジャンク債の発行元を考えてほしい。四半期ごとに財務諸表を開示し、現金を稼ぎ出すリアルで継続的なビジネスを行っている企業である。債務の返済を続ける能力に関して、かなりの精度で予測できるのだ。

 1920年代の経済学者フランク・ナイト氏は、リスクと不確実性について、「市場はリスクへの対処方法を知っているが、不確実性に対処するスベは持たない」として、両者を明確に区別した。リスクとは、一定の確率的要素や運も絡んでくるが、物事の進展について基本的な認識を持っている場合に直面するものである。“ナイトの不確実性”とは、暗闇を全くの手探り状態で進んでいる状況を指す。

 そして、現在、金融市場は“手探りの闇”に包まれている。次に何が起こるのかさえ見えない。

© 2007 by The McGraw-Hill Companies, Inc. All rights reserved.

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