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<ネットカフェ難民>仕事途絶え、中高年層にも拡大
8月28日11時19分配信 毎日新聞
厚生労働省が28日公表した初めての「ネットカフェ難民」調査では、景気拡大が続く一方、貧困もじわじわと広がっている実態が浮かんだ。若者中心と思われていた難民だが、20代に次いで多いのは50代。路上とネットカフェの間をさまよう高齢者もいる。
川崎市のJR川崎駅付近には、格安のネットカフェが並ぶ。午後9時台、6〜8時間のパック料金を利用しようという50代の男性が目立つ。
自動車工場を10年前にリストラされた男性(51)は、日雇い労働の建設現場を渡り歩き、昨年からレンガを積む日雇い派遣で食いつなぐ。ネットカフェ暮らしが始まったのはそのころだ。でもネットはやらない。入店したらすぐ寝る生活だ。
荷物は着替えの入ったリュック一つ。他の生活用品は、コインロッカーに預けている。「あしたは午前5時起きだから、早めに入って寝ちゃう」。店は8時間1380円、シャワーは別に500円かかるので、1回430円の銭湯を利用する。
「社会保険も何もない日雇いみたいな派遣がやっと見つかった仕事。50万円ためてアパートの敷金礼金を作ろうと思ってる」。向かいのハンバーガー店を指さし、「若いのがたくさん寝てる。一晩100円。みんな椅子に座わりうつ伏せで寝てる。あれじゃ仕事はできないよ」と歳の離れた“仲間”を心配する。
看板洗いの日雇いの男性(58)は、かつて野宿を経験し、市の就労支援センターを利用したこともある。だが、「いつもアパートの更新で(金がなくて)出されちゃう」と頭をかいた。汗に濡れたシャツに作業ズボンの男性(58)は、衣類を入れた小さなビニール袋をぶら下げていた。「建築の仕事がある日はここ。ないときはその辺で野宿だよ」と日焼けした顔をしかめた。
厚労省の調査では、平均月収は10万円ちょっとだ。アパートを借りるための50万円は遠い金額。東京・新宿区のネットカフェを使っている男性(29)は、2年前のお盆の時期、日雇い派遣の仕事が途絶え、更新代が払えず、住居を失った。男性は「簡単に住む場所を失ったけど、家を借りるのがこんなに大変だとは思わなかった。来月30歳になる。もう限界。何とか立て直したい」と訴えた。【東海林智、市川明代】
最終更新:8月28日14時43分