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2007年08月21日
経済の話。米国の事情
日経平均が二日間で600円以上戻し、やれやれと考えている人も多いかと思います。一時16000円台も回復しましたが、その水準は否定されていますので、上値の重さも心配されるところです。そんな中で、今日は幾つかサブプライム関連で記事がありました。
一つは日本市場が終わった後、東南アジアで囁かれた英系ファンドの新たな破綻の発覚です。そしてもう一つは、サブプライム関連で破綻したと見られていた米系ヘッジファンドに、当局の捜査の手が入ったというものです。容疑は詐欺で、投資家から集めていた資金を契約とは異なる運用をしていたことにより、投資家に損失を与えたとするものです。
どちらもまだ確定情報ではありませんが、前者は投資家マインドを低下させ、後者はヘッジファンド規制を想起させる問題として、市場を冷やす可能性があります。今晩バーナンキFRB議長とポールソン財務長官が、ドッド上院銀行住宅都市委員長との会談をもちますが、この会議で何らかの対策がでるとの期待感もありますが、今回はタイムスケジュールの確認と見られています。会談後に有効な対策が打ち出されないと、失望売りも広がるでしょう。
今回の上昇局面でも、米国では引け間際に急騰する場面が多く見られます。これは一部の情報に踊る短期資金の動きであり、反対の情報には容赦ない売りを浴びせる、そういう主体です。米国が反転上昇に転じないうちに、日本が反転するという夢想は控えるべきであり、更にまだCDSの指標に変化がなく、企業が資金調達に苦しむ段階の米国では、意外なところで破綻が広がる可能性があります。
米国で注意すべきは、業績が良くても社債発行額の大きい企業です。今、債券相場の価格が急落し、利回りが拡大しています。今後の債券相場次第では利払いが拡大し、業績を圧迫する可能性があります。短期社債などを運転資金に回す企業も同じ、資金繰りに苦しめば、倒産する可能性があります。信用市場の混乱とは、それだけ米国経済にとって打撃であり、この状態に改善が見られない段階での買いは、短期売り抜けでしかないことになります。
FRBのニューヨーク連銀が財務省証券を買い戻す操作を行いました。単に調節としていますが、これもFFレートの緊急利下げの布石なのかもしれません。そろそろ短期金融市場への資金供給の効果も薄れてきていますから、資金供給が追いつかなくなれば、最後のカンフル剤である利下げに踏み込まざるを得なくなるでしょう。
ただ利下げのみの対応は、結果的に市場を混乱させる可能性があります。問題は株式市場ではなく、債券市場です。今の米国株式が乱高下するのは、帰結するところ債券相場に安定が見られるか、です。サブプライム問題が本質では決してありません。それにより、滅茶苦茶になった債券相場をどう安定させるのかなのです。今の米国はまだ底打ちでも、反転でもないということには注意しておくべきでしょうね。
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/