★阿修羅♪ > 国家破産51 > 629.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://markets.nikkei.co.jp/column/fxwatch/index.cfm
7月後半から米国のサブプライムローン問題が深刻化し、世界の金融市場を混乱させている。本来この問題は米国の住宅市場に関わるものであったが、証券化によってこうしたローンを担保とした金融商品ができてしまったことが、世界中に影響を及ぼす結果となっているわけである。
特に先週後半から、欧州でサブプライムローンによるさまざまな影響が噴出している。まず、ドイツのIKB産業銀行がサブプライムローン関連証券への投資で大きな損失を出したことが明らかになった。一部報道によれば投資金額は日本円で約1兆2600億円にものぼると言われている。また、フランス大手民間銀行のBNPパリバがサブプライムローン関連商品に投資している傘下のヘッジファンドの資産凍結を発表した。これは、ヘッジファンドから投資家の資金流出が起きるのを防ぐための措置であった。こうした報道によって、欧州系金融機関に対する信用不安が広がり、各金融機関が資金調達を急いだために短期金利が急上昇した。市場の混乱を沈静化するために、欧州中央銀行(ECB)は9月9日に約15兆円もの資金供給を市場に対して実施した。これを受けて、米連邦準備理事会(FRB)も同日3兆円程度の資金供給を実施し、翌日には日銀もこれに追随した。結局それ以来、各国の中央銀行は連日市場への資金供給を実施している。
これまで各国の中央銀行はこの問題に対して楽観的な見方を示していた。しかし、今回の緊急措置の実施によって、自ら認識が甘かったことを市場に明らかにしてしまう結果となった。実務的には今回の迅速な対応は有効であると考えられるものの、中央銀行がこれほど迅速、かつ大掛かりに対応策を講じたことで、事態の深刻さを改めて市場関係者に知らしめることになったという点は皮肉であった。
さて、今回の欧州で起きた金融市場の混乱の意味はかなり大きいかもしれない。それまで、このサブプライムローンの問題は米国固有の問題であると考えられていたが、今回の一連の出来事によって、その影響が世界中に及んでいるということを市場関係者が改めて認識させられたからである。
今やサブプライムローン問題は米国の住宅市場の問題ではなく、グローバルな金融市場に関わる問題となってしまった。実はこれに酷似したケースが1998年にも発生している。この時は、米国の金融機関の信用リスクが高まったことで、金融市場が大混乱に陥り、米国の株価が急落し、ドルも暴落した。今回のケースも、金融機関の信用リスク問題に発展してしまうと非常に怖い。市場が必要以上に動揺して、金融市場の混乱をさらに加速させてしまわないように、各国の中央銀行が今後も迅速かつ適切な対応を迫られる。
こうした非常時には、ファンダメンタルズは全く機能しなくなる。経済指標の結果が良かったからといって、その国の通貨が買われるという動きにはなりにくい。投資家は別のものを見ているからである。今は今後の事態の行方をじっくりと見守るしかなさそうである。