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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu149.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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ドイツの金融当局者は、今回のアメリカ発の信用収縮は「1931年の
世界金融恐慌以来の金融危機に発展するかもしれない」と警告した。
2007年8月11日 土曜日
◆サブプライム危機 米震源 世界のマネー逆流 8月11日 サンケイビジネスアイ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070811-00000058-san-bus_all
【ワシントン=渡辺浩生】低所得者向けの高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の大量焦げ付きに端を発した金融市場の悪循環が止まらない。信用不安が海外の金融機関やヘッジファンドに飛び火し、震源地の米国では住宅ローン全体に不良債権化が拡大中だ。米連邦制度理事会(FRB)も火消しに乗り出したが、米景気の悪化を阻止できるのかどうか。不透明な先行きが市場の不安心理をあおっている。
「現状では、米金融・債券市場の混乱で預金機関が、異例な資金需要に直面する可能性がある」
FRBは10日、190億ドルという2003年8月以来最大規模の緊急資金供給を実施したが、株価は不安定な状態が続いている。
足下の危機は、サブプライムローンの焦げ付き急増で、ローン債権を担保にした証券が暴落。この証券が引き金となって欧米ヘッジファンドの巨額損失、さらにファンドに融資する金融機関の財務体質の悪化へと“負の連鎖”が波及した。
仏金融大手BNPパリバが傘下ファンドを凍結したのに続き、9日には米投資銀行大手ゴールドマン・サックス傘下のファンド2社が、相場の乱高下で巨額損失を計上したことも分かった。
このため、欧米の金融市場で資金供給が細る「信用収縮」が拡大。M&Aブームなど、株高を支えた世界のマネーの流れが逆回転している。
問題は、今回の危機が世界経済の牽引(けんいん)役の米国を震源地としていることだ。
ローンの延滞で急増する住宅差し押さえが「周囲の住宅価値を下げ、次の延滞に波及している」(米責任融資研究所)。焦げ付き問題が住宅市場を一段と冷え込ませる中で、ガソリン高などが重なれば、個人消費への悪影響は避けられない。
しかし、FRBは「将来の利下げ」のメッセージには消極的。ブッシュ大統領も「住宅市場は軟着陸に向かっている」と繰り返し、住宅ローン会社や借り手への救済措置導入を否定する。
住宅バブル崩壊から正常化に至る途上とみて、「痛みは堅調な経済が吸収できる」(財務省幹部)との読みがあるからだが、悪循環が米景気悪化に及ぶまえに、食い止められる保証はない。
◆世界金融危機のおそれ 8月6日 田中 宇
http://tanakanews.com/070806crisis.htm
前回の記事に書いたように、アメリカの金融市場は、6月末に高リスク住宅ローン(サブプライム)債券市場が下落し、それが7月25日に企業買収用資金調達の債券市場の急落へと感染した。その後の1週間で、米金融市場では、事態が早いテンポでさらに悪化している。
住宅ローンの分野では従来、収入の低い人や、すでに借金漬けの人など、条件の悪い人への「サブプライム」の貸し出しについては、金融機関が貸し渋る傾向がすでにあったが、先週以来、住宅ローン貸し出しに対する金融機関の審査が急に厳しくなり、サブプライムの融資は市場全体でほぼ停止されただけでなく、条件の良い人(プライム)に対する貸し出しについても、貸し渋りや金利上昇が起きている。
ローン金利は、1週間で1%ポイント以上はね上がった。住宅ローン会社の担当者も、この展開の早さには驚き「信用収縮(クレジット・クランチ)と言われているが、そんな生やさしいものではなく、信用凍結が起きている」とニューヨークタイムスにコメントしている。(関連記事)
住宅ローンに対する信用収縮は、一般市民の借り手だけでなく、住宅ローン専業金融機関の資金調達にも影響を与えている。大手のアメリカの住宅ローン専業金融機関だった「アメリカン・ホーム・モーゲージ」(American Home Mortgage Investment)は、資金調達難に陥り、8月3日に廃業(倒産申請)した。(関連記事その1、その2)
この会社は、優良なプライムの住宅ローンを中心に扱っていた。だが、ここ1週間、パニックに陥っている銀行や投資家は、リスクの度合いに関係なく住宅ローンの債券や融資を敬遠する傾向を突然強め、銀行は、事前にアメリカン・ホーム社に対して融資すると約束していた貸し出し枠の分を貸すことを拒否し、すでに融資している分については担保の積み増しを要求した。同社は、わずか数日で倒産に追い込まれた。(関連記事)
▼広がる貸し渋り
ここ数年のアメリカの景気は、市民が自宅を担保に借金した金で消費することが最大の下支え要因だった。住宅ローンの凍結は、そのアメリカの消費力に、ここ一週間で急ブレーキをかけたことになる。この動きは、アメリカの消費を減退させ、中国や日本など、対米輸出で経済を回している国々にも悪影響が出る懸念がある。(関連記事)
アメリカの信用収縮は、住宅ローンだけでなく、企業の事業用資金の融資や債券発行にも悪影響を与えている。銀行は企業への貸し渋りや審査の厳格化を行い、米企業の債券の格付けは下落(金利は上昇)している。米信用格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)によると、アメリカで発行された社債の半分以上が、高リスク・高利回りのジャンク債の格付け(speculative grade)に下がっている。(関連記事)
アメリカで起きている信用収縮は、消費者と企業の両方の資金を枯渇させている。IMF(国際通貨基金)は8月2日、住宅ローン危機による信用収縮は、アメリカ経済の回復を止めてしまうかもしれないと危惧する報告書を発表している。(関連記事)
▼自らの投資のリスクを把握できない投資家
アメリカのサブプライムの住宅ローン債券は、高利回りをうたう金融商品の中に組み込まれ、投資する側が、自分の投資の中に高リスクのサブプライム債券が組み込まれていることを、今回の危機が発生するまで十分に把握していなかったというケースが、世界的に多発している。各国の政府当局も、自国の金融界がどの程度サブプライム債券への投資を抱えているか、よく分かっておらず、危険な状態になっている。
ドイツでは、ドイツ産業銀行(IKB)という金融機関が、最近の数日間のうちに、サブプライム債券投資の巨額損失で経営難に陥り、独政府系金融機関が支援する救済策が打たれたが、IKBは、つい10日前の定例記者発表では、サブプライム債券の崩壊で損失を出していることはないと説明していた。(関連記事)
加えて、先週月曜日に最初にIKBがサブプライム債券の損失を発表したときには、損失額は80億ユーロと発表されたが、木曜日には損失額が170億ユーロに増えたと再発表された。こうした混乱はIKBが、自分たちが投資しているアメリカの金融商品の中身について十分に知らなかったことから発生している。
IKBが抱えた損失は、同行の株式の時価総額の何倍もの規模を持っており、同行は今回の問題で突然死の状態になった。損失の大きさ、被害拡大の早さと国際的な広がりをみて、ドイツの金融当局者は、今回のアメリカ発の信用収縮は「1931年の世界金融恐慌以来の大規模な金融危機に発展するかもしれない」と警告した。(関連記事)
つい先日まで、世界的に金融界では「金あまり」でリスクが軽視される傾向があり、金融機関だけでなく、年金基金や地方自治体も、リスクについて深く考えず、高利回りという点に引かれてサブプライム債券に投資してきた。オーストラリアでは、35以上の地方自治体が、米投資銀行のリーマンブラザーズ系のサブプライム債券(年利回り7・6%)を買っており、これらが今後どう処理されるかが注目されている。(関連記事)(後略)
(私のコメント)
「株式日記」がアメリカのサブプライムローンの事を取り上げたのは2月28日ですが、それがいよいよ本物の金融危機となって世界に波及し始めました。ジャブジャブに溢れかえった世界のマネーは一瞬にして消えてなくなり、欧州中銀やFRBや日銀が無制限に資金供給しなければならないほど信用不安で資金不足に陥ってしまった。
銀行にしてみれば、今までヘッジファンドに貸し込んでいた資金を急に回収し始めれば、溢れかえっていたマネーは一瞬にして消えてなくなり、信用不安を引き起こす。日本がその資金を供給しているのですが、日本の銀行はその資金を回収できるのだろうか? 先日は野村證券のアメリカ子会社がサブプライムがらみで損失を計上していましたが、アメリカ経済がクラッシュすれば貸していた日本の銀行が焦げ付きを抱える事になる。
同じ事はオイルマネーも同じことが言えるのであり、ファンドに預けていたものを解約して回収しようとする。そうなるとサブプライムがらみで運用していたファンドは資金を調達できずに倒産する。このように世界の金融事情が変化を始めたのは、資金を供給してきた日銀が金利を0,5%まで引き上げただけでこのような変調をもたらす。
8月中にも日銀は金利の引き上げを予定していましたが、おそらくこれ以上の金利の引き上げは難しいだろう。最悪の場合には再びゼロ金利まで利下げを迫られるかもしれない。アメリカが現在直面している事は90年代初めに日本が直面した事態に似ており、アメリカの金融当局が判断を誤るとアメリカにも失われた10年が到来する事になるだろう。
世界の為替相場をみれば分かるようにマネーはドルを売り払ってユーロに切り替える流れが続いている。アメリカの金融不安でFRBは金利を下げて信用不安を解消したいところですが、金利を下げればかえって信用不安を煽るような状況に陥ってしまう。90年代の日本の場合は金利をゼロにまで引き下げても円は高いままでしたが、アメリカの場合は金利を下げればドルは暴落してしまうのだ。
ドイツの金融当局者は1931年の世界金融大恐慌以来の金融危機が襲ってくるという人もいるようですが、アメリカの覇権が没落する事を預言しているのかもしれない。30年代の金融大恐慌は世界の覇権がイギリスからアメリカに移る過程で起きたことですが、今度はアメリカからどこへ移るのだろうか? EUなのだろうか?
アメリカは軍事力から見れば世界でダントツの軍事大国ですが、経済規模から見るとEUにすでに抜かれてしまっている。軍事力は経済力がないと維持できませんがアメリカは経済規模以上の軍事力で規模が大きすぎるのだ。アメリカは大規模な軍縮を行なわないと経済が持たずにクラッシュするだろう。今回の金融危機もその無理がたたっているのだ。
「株式日記」ではアメリカは近いうちにアジアから軍隊を引き上げていくだろうと書いてきた。だから日本も好むと好まざるとに関わらず自主防衛力をつける必要に迫られている。さらにアメリカが日本からの借金を踏み倒そうとしたら軍事力で取り返さなければならないが、日本にはそれだけの軍事力がない。アメリカが日本の核武装を拒むのは借金を踏み倒そうと考えているからだ。
国際金融資本は本拠地をアメリカからEUに移すのでしょうが、一部は日本にもやってくるかもしれない。アメリカは普通の大国となり外国には関与しない政策をとるようになるかもしれない。そうなった場合日本は好むと好まざるとに関わらず単独でロシアや中国と対峙させられるのだ。
同じ事はEUにも言える。EUは再び力を持ってきたロシアと単独で対峙しなければならないだろう。そうなった場合EUはロシアを牽制する勢力として日本を再び軍事大国化させる戦略を取るかもしれない。中国はロシアと手を組み、ロシアはヨーロッパに勢力伸ばし、中国は東南アジアに勢力を拡大するだろう。
しかしアメリカは必ずしもEUや日本の味方となるとは限らない。第二次世界大戦においてはアメリカがロシアと手を組んでドイツと日本を叩き潰した。やってくるであろう多極化時代においては誰が敵となり誰が味方となるかは分からない。日本の親米ポチ保守派はアメリカと手を組んでいれば間違いないというが、アメリカは自分の都合で敵になったり味方になったり一定はしていない。そんなに世界戦略は単純ではないからだ。