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売れ! 売れ! 売れ!──5つの理由 最高値をつけた米国株、強気相場を揺るがす不安材料 = BusinessWeek
http://www.asyura2.com/07/hasan51/msg/529.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 8 月 07 日 19:10:00: mY9T/8MdR98ug
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070806/131753/?P=1

Ben Steverman (BusinessWeek.com 投資欄記者)
米国時間2007年7月20日更新 (編集部注:この記事は7月末に米株式相場が急落する直前に公開されたものである)

 米国株は記録的な高値をつけている。第2四半期の決算発表が相次ぐ中、企業収益は若干の増益が予想されている。失業率もかなり低い。今のところ住宅市場の問題は経済全般には波及しておらず、米経済は第1四半期の鈍い成長ペースから回復すると見られている。

 では、一体何を心配する必要があるというのか。いやいや、不安要素はいくらでもある。どんなに順調に見えていても、良い時代は永久には続かないものだ。多くの市場関係者はなお強気だが、この強気相場が足をすくわれるとしたら原因は何だろうか。

 もちろん、株価は今後数カ月、いや数年にわたり、史上最高値を更新し続ける可能性もある。だが、そこに潜む危険を知っておいて損はない。

 それでは、「投資家が用心すべき5つの兆し」を見ていこう。

(1)企業収益

 株式相場をもっと上昇させるような企業や業種は登場するだろうか。投資家はそのヒントを求めて、企業の決算発表に注目している。

 今年第2四半期の決算発表シーズンが7月に始まったが、今のところ企業収益が予想通りの伸びとなるかどうか定かでない。大企業が予想外の好決算や悪い決算を発表すれば、市場は大きく振れるだろう。

 チェース・ラージ・キャップ・グロース・ファンドの最高投資責任者デービッド・スコット氏の見るところ、金融株やヘルスケア株が一段の株高に貢献するのは期待薄。彼はハイテク株に注目している。

 「ハイテク株は市場に占める割合も十分大きく、確かな牽引役となれる」とスコット氏。ただ一方で、大手ハイテク企業や他業種の主要企業から期待外れのニュースが出れば、強気筋を怖気づかせる可能性もある。

(2)消費支出

 米国経済の牽引役を果たしてきた個人消費は、今のところ、住宅問題やガソリン価格の高騰にもかかわらず好調さを維持している。失業率(6月時点で4.5%)が低いおかげだろう。

 では、消費支出で危惧すべきリスクは何か。ロンバード・ストリート・リサーチのチャールズ・デュマ氏は、米経済の足元の成長ペースはウォール街の大方の予想よりも鈍いと考えており、「ガソリン価格の高騰がいよいよ個人の購買力に打撃を与え始めている」と言う。

 ほとんど貯金をせず、多額の借金をする米国人が、ついにクレジットカードの使用を控える必要性に気づかされるという見方もある。「我々は中毒のように消費し、借金してきた。この流れを断ち切らなければならない」と、米資産運用会社ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏は言う。

 夏の終わりにかけては新学期シーズン関連のデータに注意が必要だ。新学期は小売業者にとって重要な時期だからだ。「この時期の数字が良くなければ、消費低迷が浮き彫りになる」と、米サスケハナ・フィナンシャル・グループのニール・カタルディ氏。また、年末に向けて寒さが増して暖房費が上昇すれば、エネルギー価格の高騰が消費に影響を及ぼし始める恐れがある。

(3)インフレ

 「インフレ懸念はなお払拭されていない」と言うのは、米格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のチーフ・インベストメント・ストラテジスト、サム・ストーヴァル氏だ。世界経済の目覚ましい伸び、逼迫する労働市場、商品相場の上昇などを受け、インフレ率が一段と上昇する可能性がある。例えばS&Pは、現在1バレル約75ドルの原油価格は80ドルを超える水準にまで上昇するかもしれないと予想している。

 物価上昇は、なぜ大問題なのか。「米連邦準備理事会(FRB)が“インフレ抑制のためには手段を選ばない”と語ったからだ」と、米投資調査会社シェファーズ・インベストメント・リサーチのリチャード・スパークス氏は答える。

 物価の上昇ペースが速ければ速いほど、FRBが年内に利上げを決断する可能性が高まる。そして利上げは景気を冷ます。最大の懸念は、経済成長がまだ緩やかなうちにFRBが利上げを余儀なくされ、景気後退を招いてしまう事態だ。

(4)サブプライムと住宅市場

 そして、いよいよ最も深刻な問題、「サブプライムローン(信用度の低い個人向けの高金利型住宅ローン)」である。ウォール街の多くの関係者は、サブプライム問題は限定的で、うまく食い止められていると見ている。その通りかもしれない。だが、最終的にどれくらいの債務者がデフォルト(債務不履行)に陥るかは誰にも予測できていない。

 ここ数年、住宅価格が高騰したため、住宅購入者の多くは高価な家を手に入れるために巧妙に考え出された方法で資金を調達した。「サブプライムローン問題がどこまで広がるかを判断するのは難しい。リスクがどこに転がっているのか、誰にも分からないからだ。ある日突然、我々を襲ってくる可能性もある」と、前出のスコット氏は言う。

 サブプライム以外に債券市場を脅かすハイリスク商品はあるのか。米資産運用会社カボット・マネー・マネジメントで債券部門のポートフォリオマネジャーを務めるビル・ラーキン氏は、サブプライム問題は既に広がっており、信用市場のほかの分野を揺るがし始めていると考えている。多くの債券投資家がサブプライム債だけでなく、ごく低リスクの債券も避けて安全策を選ぶ“質への逃避”が見られるという。

 この傾向が加速すれば、住宅購入者がローンを組むのが難しくなり、住宅価格の下落が進む。企業やヘッジファンドの借り入れコストも上昇する。その結果、自社株買いやM&A(企業の合併・買収)の資金が絶たれる可能性も出てくる。とりわけ強気市場を煽ってきたプライベートエクイティ(非上場株)投資会社による買収資金の調達は困難になるだろう。「利上げと同様、これは経済にブレーキをかける」(ラーキン氏)。

 ラーキン氏は「皆、神経質になり始めている」と言うが、こうした傾向が表面化するにはしばらく時間がかかりそうだ。「突然、“バン”と表に出てくるようなものではない」。

 ほかにも違う形の不良債権が存在するのだろうか。借り手は「ガレージのドアさえ担保にしている」(ラーキン氏)というのは冗談では済まないのではないか。しかし、誰にも分からない。「問題はまさにそこにある。危惧すべきは、すべてが不透明だということだ」(ラーキン氏)。

 米債券専門運用会社ピムコの債券王ビル・グロス氏は、サブプライムが一握りのヘッジファンドや投資銀行の問題にすぎないと考えるのは間違いだと警告する。この問題は何百万人もの住宅購入者に影響する。多くの人が低金利で資金を借り入れたが、今、ローン返済の増額に見舞われ、デフォルトに陥る人も増えている。

 「ウォール街が煽ってきたこの問題を突き詰めていくと、結局“ウォールストリート”ではなく米国各地の“メーンストリート”に行き着く。そこには割高でローンの担保になっている何百万軒もの住宅が建っている」。グロス氏は7月の投資見通しでこう書いた。

(5)浮かれる投資家

 株式市場が上昇するにつれ、強気筋の成功そのものが最大の弱点にもなり得る。上昇基調を乱すという点では、過度の楽観も過度の悲観と同様に危険だからだ。

 ウォール街には、「相場は懸念の壁をよじ登る」(Markets like to climb a "wall of worry.")という格言がある。強気相場に不安があればあるほど、そして上値への抵抗が強ければ強いほど、強気市場の基盤はより堅固となるというわけだ。「市場には、いくらかの不安材料があった方がいい」とシェファーズのスパークス氏は言う。金利、テロ、ガソリン価格、インフレ──。「そうした不安こそが懸念の壁の土台になる」。

 最近の株価指数の記録的な上昇ペースにもかかわらず、スパークス氏のような専門家は懐疑的な兆候を読み取っている。それを測るには、株価下落を見込んだ「空売り」の残高や、プットオプション(株式などを一定の価格で売る権利)とコールオプション(株式などを一定の価格で買う権利)の割合を見るといい。

 スパークス氏はこの記事を含め、メディアの報道も見守っている。彼曰く、「再びブームがやってきた」と騒ぎ立てる記事には要注意だ。メディアが株に関して楽観的すぎるように思えたら、それは個人投資家が市場に積極的に参加している兆しかもしれない。そして一般の投資家が再び買い始めた時、“熟練の投資家”は売っていると見て間違いない。株価はその時点でほぼピークを迎えているのだ。

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