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2007年8月6日発行
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JMM [Japan Mail Media] No.439 Monday Edition
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▼INDEX▼
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第439回】
□真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
□中島精也 :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
□杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
□山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
□金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
■ 『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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■ 先週号の『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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Q:821への回答ありがとうございました。今、横浜は激しい雷雨です。二本の
連載を書き終えて、「カンブリア宮殿」を複数回収録し、やっと体調が回復している
のを実感しました。各種精密検査はいずれもno problemでした。初夏から続いた体調
不良の原因については、いろいろと考えましたが、このエッセイに書くようなことで
はなさそうです。
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■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第439回目】
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====質問:村上龍============================================================
Q:822
先週、アメリカに端を発し、欧州と日本でも株が下落しました。その原因と、今後
の株式市場の推移について、ご意見をいただければと思います。
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※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
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■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
先週から、世界的に株式市場が不安定な展開になる一方、国債など信用力の高い金
融商品の価格が安定化する傾向が続いています。そのきっかけとなったのは、米国の
サブプライム問題です。サブプライム問題とは、簡単に言えば、所得水準が相対的に
低い家計や、カード決済の遅延経歴を持つ、いわゆる信用力の低い分野の人たちに対
する住宅ローンの延滞率が上昇していることです。この分野の住宅ローンの一部が不
良債権化しているということです。
住宅ローンの延滞率が上がると、資金を貸し付けた住宅ローン会社や金融機関など
の経営状況に悪影響を与えます。それと同時に、そうした住宅ローンを担保にして発
行された、住宅ローン担保証券にも大きなマイナスの影響がでます。
元々、昨年以降、米国の住宅市場が頭打ちから後退傾向が鮮明化するのに従い、サ
ブプライム向けの住宅ローンの延滞率は上昇トレンドを鮮明化しつつありました。今
回、その懸念が本格化したのは、サブプライム向け住宅ローン債権を担保にして発行
された債券の価格が急落したことです。
サブプライム向け住宅ローンは信用力が低いため、一般の住宅ローンよりも高い利
回りが設定されています。リスクに見合ったリターンが提供されないと、投資家の購
買対象とはなり難いからです。そのため、運用利回りが相対的に高いため、ヘッジ
ファンドなどがポートフォリオの運用利回りを高めるために投資対象とするケースが
多かったようです。高い運用利回りを求めるため積極的にリスクを取ることは、金融
市場ではよく起きることです。特に、流動性が潤沢で金融資産の価格が上がってしま
い、金融市場の期待収益率の低下が顕著な環境下では、殆ど間違いなく起きる事例と
見てよいでしょう。
リスクが高いため利回りが相対的に高い金融商品は、経済環境が安定して、マー
ケットで何事もないときには大きな問題は発生しません。ところが、一旦、何らかの
変化が起きると、事態は一変します。元々リスクが高い商品ですから、誰も保有を続
けたいとは思わないはずです。我先にと売りに回りますから、どうしても価格変動の
振幅が激しくなります。それは、一層リスク量を増やすことになります。そうなると、
売りが売りを呼び、当該商品のマーケットが機能しなくなるのです。
今回も、いつも通りのことが起きました。多額のサブプライム向け住宅ローン担保
証券を抱えていたいくつかのヘッジファンドが破綻し、それに端を発して、多くの投
資家がリスクに対するガードを固めるスタンスを取り始めたわけです。そうなると、
多くの投資家は価格変動性の高い=リスクの高い金融商品の保有を減らす行動に出ま
す。価格変動性の高い株式を減らして、信用力が高く、変動の振幅の少ない国債など
に資金を移動することになります。一般的に、“フライト・ツー・クォリティー”と
呼ばれる現象です。
ただ、こうした現象は、基本的に金融市場が正常化するプロセスと考えればよいで
しょう。言ってみれば、一定期間に一度ずつ起きる定例行事のようなものです。金融
市場が終焉を迎えるような一大事=カタストロフィーと考える必要はありません。有
体に言えば、一種のミニバブルが壊れて、金融資産の価格がフェアーバリューまで調
整される過程と見るべきです。
金融市場が正常化すれば=金融資産価格が適正な期待収益率を実現できるフェアバ
リューまで下がれば、そうしたプロセスは収まるはずです。ただ、金融市場は感情の
ある人間が形成していますから、いつも理論通りには動きません。時として、必要以
上に騒ぎ立てたり、価格がフェアバリューよりも下がりすぎる、オーバーシュート現
象が起きることがあります。
信州大学経済学部教授:真壁昭夫
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■ 中島精也 :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
世界的株価下落は米サブプライムローン(信用力の低い個人向けの高金利住宅ロー
ン)の焦げ付きが発端であり、これが米クレジット市場を不安定化させ、その結果、
LBO、M&A、PEなどの企業金融にまで影響が及び、米株価の下落、そして欧州
や日本の株価下落、円キャリートレードの巻き戻しによる円の急騰などを招いていま
す。
米サブプライムローンの焦げ付きについては、その市場規模(変動金利分)が1兆
ドルであり、延滞率が現在14%ですが、引当金も積んでますので最終損失はその半
分くらいの500〜700億ドルと言われています。延滞率がこれからさらに上昇す
ると仮定しても、だいたい1000〜1500億ドルが損失の最大規模のようです。
これは邦銀がバブル崩壊で被った百数十兆円(1兆ドル以上)の不良債権に比べれば
小さいし、米銀の自己資本の大きさを考慮すると、マネージ可能な規模と見られてい
ます。
むしろ、市場関係者が気にするのは、このサブプライム問題がクレジット市場に悪
影響を及ぼすことです。そうなりますと、これまで隆盛を極めてきたLBO、M&A、
PEのための資金調達が滞り、企業買収が進まなくなります。米株式の活況の1つの
要因がこれら企業買収の活発化でしたので、これは株価にマイナスと受け取られるの
は当然です。現実に、KKRが買収した英アライアンスブーツのリファイナンスが
ファーストデータ案件に続き不調で延期されたり、クライスラーのリファイナンスも
上手く行っていません。
よって、今度はリスク回避で株式市場から資金が流出して安全資産である国債に流
れているようです。いわゆる「質への逃避」です。世界の市場は連動していますので、
米株が下落すれば、欧州株も日本株も下落せざるを得ません。そして、株式に止まら
ず、グローバルにリスク資産から安全資産への逃避、あるいは資金の巻き戻しが起き
ています。エマージング、コモディティ市場も負の影響を被っていますし、為替面で
は円キャリートレードの巻き戻しで円が急騰しています。
このサブプライムローン問題を発端とする負の連鎖がいつまで、そしてどの程度深
く進行するのかについては、市場の動きゆえになかなか予測しがた面もありますが、
米経済のファンダメンタルズの良さが1つの救いかなと思います。今年4〜6月期の
米GDP成長率は1〜3月期の0.6%から3.4%へと回復しています。グローバ
ル景気の好調で米国の輸出が好調で、住宅投資のマイナスを相殺しているのには心強
いものがあります。企業収益も最高で、これが雇用、設備投資の増加に寄与していま
す。このようなファンダメンタルズの良さを考えれば、過度に株価の下落を悲観する
必要はないと思います。
基本的には現在起きているサブプライムローンの焦げ付き、クレジット市場の動揺、
LBO、M&A、PEへのブレーキ、そして株価下落への連鎖は、これまでの過剰流
動性をベースとした安易な、あるいは不健全な投資行動へのしっぺ返しと考えること
ができます。これらは痛みを伴う正常化へのプロセスであり、これを乗り切れば市場
が健全となり、米経済にとりプラスとなるはずです。もちろん、放置しておくと、思
わぬ方向に動き出す性癖を市場は持っていますので、たかをくくってはいけませんが、
政策当局がそれなりの警戒心をもって、市場をウォッチしていれば、今回の株価下落
は早晩、底入れすると考えています。
伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト:中島精也
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■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅ローン)問題による米国株の急
落で、7月9日に18261円まで上昇していた日経平均は、8月2日の取引時間中
に16652円まで急落しました。過去にも2001年のエンロン破綻、98年のL
TCM(当時の大手ヘッジファンド)破綻、80年代後半のS&L(地域金融機関)
危機、日本の90年のバブル崩壊に伴う長期不況など様々な金融危機がありました。
今後の日米株式市場の行方を考えるうえで、米サブプライムローン問題がどの金融危
機と類似性があるかが問題となります。
過去の金融スキャンダルでは、1つの金融機関の問題が他の金融機関でも発覚する
ことが多くありました。イングランド銀行は世界の主要金融機関のリスク資産が膨ら
んでいることに警鐘を鳴らしていました。今回、米国の金融機関だけでなく、ハーバ
ード大学、野村證券、ドイツの中堅産業銀行などで、ヘッジファンドやサブプライム
ローン関連の損失が明らかになりました。既に公表された以外の金融機関やヘッジフ
ァンドで損失が明らかになる可能性があるでしょう。こうした疑心暗鬼が世界同時株
安につながったといえます。
今回の金融的損失はエンロン破綻やLTCM破綻よりは大きいでしょうが、S&L
危機や日本の不良債権問題よりは小さいでしょう。サブプライムローン残高は1.3
兆ドルで、バーナンキFRB議長は最大損失の可能性として1000億ドル(GDP
の1%)を指摘しました。S&L危機時の不良債権はGDPの2%に達し、銀行の貸
し渋りによって経済は不況に陥りました。ロシア危機・LTCM破綻時は不況に陥り
ませんでしたが、ニューヨークダウは高値から19%下落し、再び高値を抜くのに約
4カ月かかりました。
メリルリンチの米国担当エコノミストのDavid Rosenbergは、「前年比2.5%下
落している米国住宅価格指数は、さらに10%下がる可能性がある。10%の住宅価
格の下落は今後12−18カ月に実質GDP成長率を基本シナリオから2%、個人消
費を1.5%引き下げる可能性がある」と指摘しています。実際にも7月の米国新車
販売は不振でした。
米サブプライムローンが日本株へ与える悪影響は、米国株下落することで日本株の
出遅れ感としての評価が低下、外国人投資家が本国市場での損失の穴埋めのために日
本株を売却(最近、外国人投資家によるJ−REIT売却が急増)、世界的な流動性
縮小やM&A期待の低下、円高や米国景気の減速により米国向け輸出の減少などが考
えられます。今回の問題で米国市場の流動性低下は不可避ですが、流動性提供国とし
ては中国や日本の方が重要であり、中国と日本からの資金流出は減っていません。日
銀の8月利上げは見送られる可能性が高まったため、急激な円高も進展しないでしょ
う。
日本企業の4−6月業績は当初予想以上に好調ですが、業績好調持続の前提には、
世界経済の好調と円安持続が必要でしょう。投資家マインドの改善には、世界経済見
通しの好転が必要でしょうが、秋以降そうした環境が整ってくるでしょう。米サブプ
ライムローン問題への懸念が払拭されれば、日米株式市場とも上昇基調を取り戻し、
年末に日経平均は19000円程度に達すると予想します。現在の株価下落局面で、
会社業績計画に対して4−6月実績の進捗率が高い企業を中心に、押し目買いを薦め
たいと思います。
メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊
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■ 杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
米国の景気が拡大を続けていた、前世紀の末から00年代の前半にも、アメリカの
住宅価格がバブルではないかということは常に懸念されていました。その懸念にもか
かわらず、米国の景気は拡大し、住宅価格も高騰を続けました。そこでは、高い住宅
価格を前提に、不動産担保ローンをつかった個人消費が米国経済の高い成長を支えま
した。
しかし、さしもの住宅価格も昨年をピークに天井を打ったようです。そこから急速
にバブルがはじけるのではないかという懸念が頭をもたげだしました。リスクの高い
借り手を持つサブプライムの住宅ローンで焦げ付きが発生し、その負債をバックにし
た債券の価値がなくなり、投資家の間でこれまで以上にリスクが認識されるようにな
りました。株に代表されるリスクの高い資産が回避されて、国債などの低リスク資産
が選考され、別の言葉で言うと、信用が収縮する状態が見られるようになってきまし
た。
住宅価格がバブルであれば、このような調整プロセスを経て、不動産の価格は正常
化していくと思われますので、信用収縮が急激でさえなければ、調整は好ましいもの
といえます。
今年に入ってから、2月から3月にかけてのNYに端を発した株価の調整も、その
ような懸念が頭をもたげたことが原因と言われます。しかし、米国景気は信用収縮懸
念を克服して持ち直し、株価も上昇して、今回の下げの前にNYダウ1400の歴史
的な高値を超えるまでにいたりました。
今回のピークからの下げ局面では、信用収縮懸念も範囲が広まり、企業買収ファン
ドへの資金の流れが断たれるという新たな局面も見られています。これまで株価を押
し上げていた企業買収の動きが抑えられようとしています。低リスク資産への選好も
さらに強まっているようにおもわれます。
問題は、今回の下げもこれまでと同じように、負の連鎖に至らないで収まるかどう
かです。安定化するに向かわせる拮抗力も経済主体の中には備わっています。例えば、
サブプライムローンの焦げ付けで、インベストメントバンクや証券会社、一部の機関
投資家もダメージをうけましたが、それぞれの金融機関の想定の範囲内であれば、バ
ブルを修正するぐらいで、破裂させてそこから連鎖的に信用不安につながることはな
いでしょう。このような危機はある程度予見されていたことになりますから、リスク
は限定された範囲内でとっていたはずです。
FRBのバーナンキ議長は、先月の議会証言のなかで今回のサブプライムの焦げ付
きの額は最大で1000億ドル(12兆円)と見積もりました。この額は、日本のデ
フレ期の銀行の不良資産40兆円と比べると、おおよそのインパクトが類推できます。
議長の推定金額がここから膨らまないのであれば、アメリカ経済の規模を考えると、
かつての日本のような負の連鎖を心配する必要はないようにおもわれます。膨脹して
いた信用が正常化する過程で、米国株式は低迷する可能性はあるかもしれませが、5
0%を越すような大幅な調整の心配はないように思います。
生命保険関連会社勤務:杉岡秋美
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■ 山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
当面の状況は、米国のサブプライム・ローン及びこの関連の金融商品に関わるリス
クの顕在化が信用収縮をもたらすことによって、先ず米国の株価が下がり、長期金利
が低下し、米ドルも下落し、これらが、日本を含む米国以外の株式市場にも影響した、
ということです。
今回の状況は、直接的には、1998年のロシア危機からヘッジファンドLTCM
の破綻に至った様子とよく似ています。あの当時も、信用リスクの拡大からクレジッ
ト・スプレッドが拡大して、クレジットリスクに買い持ちのレバレッジを掛けたポジ
ションを持っていたヘッジファンドなどが破綻し、これらに対して、与信を持ってい
た銀行の財務状況が懸念されました。1998年の危機では、S&P500が高値か
ら2割近く下落し(その後数ヶ月で回復)、ドルも大幅に下落しました。
しかし、1998年の危機は、ロシアなど新興国の経済危機に端を発した米国の金
融システムの不安に過ぎませんでした。原因は、基本的に米国の外にありました。と
ころが、今回は、信用収縮の原因となるデフォルトがアメリカ国内で起きており、そ
の背景には、住宅ローンの担保となっている不動産価格の下落があります。端的に
言って、1998年の調整よりも、たちが悪いのではないか、という気がします。
バーナンキFRB議長は、サブプライムローン関係で、最大1000億ドルの損失
が、金融機関にあって発生する可能性があると言及しました。1000億ドルという
と、アメリカのGDPの約1%です。この数字自体が、小さくありません。金融機関
で純然たる損失になることだけでもかなりの影響がありそうですが、住宅ローンのデ
フォルトというからには、背後に、住宅ローンの担保に家を取ったけれども、その家
の処分では十分に債権が回収できない状況があるはずですし、経済的に豊かでない海
外からの移民が、家を追われて、住む場所がないといった不幸なケースが報道され始
めているようです。
影響は、サブプライムの住宅ローンを利用する相対的貧困層以外にも及ぶでしょう。
もちろん、これは、サブプライムローン問題が影響するというのではなくて、サブプ
ライムローンが焦げ付き始めるような状況全体が、影響を持つということです。米国
の不動産価格が対前年比でマイナスになりはじめたのは、今年に入ってからですが、
不動産価格の下落が消費や投資に影響するようになる迄には数四半期の時間が掛かる
と思われます。
米国では、貯蓄率がマイナスになっても、消費が堅調で、景気を下支えしていまし
たが、これまで住宅価格の値上がり益が消費の一部を下支えしていました。しかし、
住宅価格が下落に向かうと、個々の家計で、含み益が、やがては含み損に転ずるよう
になり、これまでのような消費が不可能になります。
現時点では、原油価格が高止まりしていることもあって物価の上昇率が高いことが
障害になっていますが、景気に本格的に影響が出て来た場合、或いは、金融システム
に不安が生じた場合、FRB(連邦準備制度理事会)は、利下げに動く余地がありま
す。米国の長期金利(10年国債利回り)は、4%台後半から一時5%台に乗せて、
また、今回の事態と共に、4%台に戻ってきましたが、これは、景気が堅調で物価上
昇率も高めなので、利下げの可能性が殆ど無いと一時思われていたものが、今後の景
気の後退や、金融システムへの不安から、FRBが利下げに動く可能性がある程度出
てきた、との解釈を伴っているものだろうと思われます。
米国の株価にとっては、FRBが利下げを行う可能性が、将来、ある程度の下支え
になるでしょう。また企業の利益に対する株価の水準から考えても、不動産バブルの
崩壊と共に、米国の株価が徹底的に下がる(たとえばNYダウが1万ドルを割る)と
いうようなことは考えにくいと思います(絶対に無い、とは言えませんが)。
日本の株価は、外国人投資家が売りに回ったときに、みじめなくらい大きく下げる
傾向があり、一時的には大きく下げる可能性がありますが、株価の水準(益利回りが
5%以上ある)と、企業の業績を考えると、現在「割高ではない」ので、こちらも、
現段階で、暴落は想像しにくいと思います。但し、日本では、日銀が近々利上げを行
う公算が大きく(年度内にあと二回というくらいが平均的な予想でしょう)、これ
は、日本の株価の上値を押さえつけている要因の一つです。
個人的には、株価以上に為替レートが気になります。FRBがいったん利下げに転
じると、何度か続けて利下げを行うという期待が形成されるでしょうが、この場合、
ドル・円の為替レートは、いわば底が抜けるような格好で、円高に振れる可能性があ
るように思います。FRBが連続して利下げし、日銀は利上げの方向ということにな
ると、1ドルが110円くらいのレートは直ぐに抜けて円高に向かってもおかしくな
いと思います。
目下、FXの普及や、外国資産に投資する多分配型投信のブームなどで、日本の個
人投資家が、外貨の買い持ちポジションを拡げている最中なので、円安に振れやすく
なっていますが、金利の変化によって一定以上の円高が起こった場合、現在為替リス
クに対して鈍感な個人投資家も、急に為替リスクを意識するようになるでしょう。ま
た、それ以前に、FXのようなレバレッジの掛かったポジションでは、強制的な損切
りが大規模に発生する可能性があるので、注意が必要です(現実には、一晩で5円の
円高は、まず起こりませんが、「あした5円円高になっていたら、どううなるか」と
いう程度の心の備えを持っておくべきでしょう)。
本題に戻ると、米国のサブプライムローン問題については、これを単独の問題と考
えるのではなく、いわば「氷山の一角」のように、大きな現象の目立ちやすい一部で
あると考える想像力が重要だと思います。
経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元
<http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/>
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■ 金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
今回のアメリカ発の株安局面を「サブプライム・ショック」と捉える見方が一般の
投資家にも広まっています。そのようにサブプライム・ローンに起因する問題は、株
価下落の背景にある事象として既に広く認識されていますが、改めて、サブプライム
・ローンそのものの問題点を特定し、影響が金融システムに広く伝播した構造上の問
題点を考えてみたいと思います。
サブプライム・ローンは通常のプライム・ローンと位置付けられる住宅ローンと比
較して、ローンの返済計画が不動産物件の価格動向への依存度が高いとされています。
例えば、2005年当時に設定されたサブプライム・ローンの多くでは、当初の2−
3年程度の期間は金利を7−8%程度に抑える一方、それ以降の金利が11%程度ま
で引き上げられる仕組みとなっているとされます。要は、ローンの借り手は当初2−
3年間の不動産物件の価格上昇を見込み、担保価値が上昇した時点でローンをプライ
ム・ローンによる好条件での融資に乗り換えようという目論見を持っており、サブプ
ライムはそうした借り手のニーズに合致した融資条件を提供してきました。
しかしながら、2005年をピークに住宅価格が頭打ちとなっていることから、2
005年以降に設置されたサブプライム・ローンについては融資実行から2−3年を
経て金利の改定時期を迎えていますが、不動産物件の担保価値の上昇を見込んだ借り
換えが行き詰まり、金利の改定による負担に耐え切れなくなった借り手による延滞や
破綻が増加する状況になっています。
現在の市場で問題になっているサブプライム・ローンの延滞や破綻の多くは上記の
ような特殊な事情が背景にあり、一般的な個人の信用力の低下などを示唆するもので
はないと考えられます。従って、カード・ローンあるいは自動車ローンなど、個人信
用の市場全体にまで影響が波及する段階ではありません。また、サブプライム・ロー
ンについても、すでに借り換え、ないし金利のリセットの進んだ2004年以前に設
定されたローンについては、直ちに延滞や破綻が増加するという理由も見当たりませ
ん。しかし一方で、当初の低金利の期間が終了し高金利へのリセットを控えるローン
については、当面、少なくとも来年初め位までは延滞や破綻の発生が避けられないで
しょう。
ところで、このような安易な与信を行った住宅金融会社の姿勢に対しての批判もあ
りますが、そもそも住宅金融会社は自己資金によってローンを提供しているのではな
く、設定したローンを売却し資金を回収し手数料収益を得るビジネス・モデルになっ
ています。従って、住宅金融会社は、追加的なリスク負担は最小限にして手数料収益
を増加させることができるため積極的な与信行ってきました。しかし、さすがにサブ
プライム・ローンの問題が表面化して以降は、質の低いローンの売却が進まなくなり、
金繰りが悪化し破綻する金融会社も現れています。
サブプライム・ローンが証券化される際に、これらのローン自体は比較的質の低い
資産であるため、同じローン・プールから利払いや償還金の支払いを優先的に受けと
る部分と、劣後する部分に切り分けて証券化するなどの手法が取られています(それ
ぞれ優先トランシェ、劣後トランシェないしエクイティなどと呼ばれます)。優先ト
ランシェは利払いや償還金の支払いの確実性の高い証券として、一流金融機関の証券
に多少の上乗せをした利回りで売却される一方、劣後トランシェではリスク負担に見
合った高利回り債として売却されます。
このような証券化による複雑なリスクとリターンの組み換えが行われる背景として
は、金融市場での投資家の分断化があります。例えば銀行などの金融機関は、投資行
動や資産内容について金融当局の厳しい監督を受けるとともに、決済金融機関として
自己資本規制によってリスク負担に対して高い資本コストを強いられる投資家であり、
高格付けを付与された優先トランシェのような投資対象を選好します。一方でヘッジ
ファンドなどは規制が少なく、資金効率の良いリスク・テイクによってリターンを追
及できる劣後トランシェなどのレバレッジを活用した投資を選好する傾向があります。
米国では、カード・ローンあるいは自動車ローンなど他の個人信用の分野でも、証
券化によって機能している市場が多く存在します。特に、そうした証券化市場におい
て劣後トランシェないしエクイティの引き受け手としてヘッジファンドなどのリスク
・マネーの存在感は想像以上に大きくなっている可能性はあります。今回のサブプラ
イム・ローンの延滞や破綻の増加に伴う証券化商品の価値急落によって一部のヘッジ
ファンドが大きな打撃を受けたことは、市場では必然的にリスク・マネーの収縮に対
する懸念となっていますが、意外にその影響は実体経済に近いところにまで及ぶ可能
性はあります。
ところで、今回のサブプライム・ローンの問題に伴う証券化商品の急激な劣化に関
連して、格付会社の証券化商品の格付手法に対して批判・疑問の声も上がっています。
一般に、個人信用を担保とした証券化商品の信用度の推定には、担保資産の十分な
分散を前提に、同種の個人信用の過去における延滞率や破綻発生率の履歴が用いられ
ます。今回のようなサブプライム・ローンを担保とする証券商品の格付けに関して、
サブプライム・ローンの不動産物件の価格動向への依存などの特殊性がどこまで的確
に反映されていたか、という点が疑問視されています。さらに、今回破綻したヘッジ
ファンドなどが直接の投資対象としていたのは、サブプライム・ローンを担保とした
証券化商品の劣後トランシェを担保にした証券化商品ですが、これらの証券化商品の
格付け手法に関しても疑問視する向きがあります。このような証券化商品や債券を担
保に発行される債務担保証券(CDO)の信用度の推定には、担保の信用度と分散が
考慮されますが、実質的にサブプライム・ローンを裏づけとする証券のみに担保が集
中しているのであれば、そうした分散の効果を過大視することになるのではないかと
の疑問です。
いずれにしましても、米国の金融市場で発展してきた証券化市場を支える二つの要
素、ヘッジファンドなどのリスク・マネーの存在および、証券化商品の格付け手法に
関して、疑問が呈されたことは重要な問題です。
ただし、株式市場への影響という面では、1)延滞や破綻の増加といった事象は、
住宅ローン市場のサブプライム・ローンに限定される問題、2)当面、延滞や破綻の
発生増加は不可避ながら、影響する範囲もほぼ特定できている、3)米国の企業業績
は好調を持続し、新興国市場の経済環境も良好であるなど、リスク・マネーが一方的
に収縮する局面ではない、などの観点から影響は徐々に軽減するのではないでしょう
か。
外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎
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■ 津田栄 :経済評論家
7月後半以降のアメリカ株式市場は、乱高下を繰り返しながら、NYダウは1万4
千ドル台から1万3200ドル前後にまで約800ドル超の下げを演じました。この
影響は日本や欧州に及び、株式市場は急落しましたが、アジアの主要市場への影響は
限定的で、むしろ上海市場は新高値を記録しました。どちらかというと、欧米と日本
の先進国の株式市場が相乗的に大きく反応して下落したように見えます。
今回のアメリカ株式市場の下落の要因は、春以降くすぶっていたが、大したことが
ないとあまり問題視してこなかったサブプライムローン(信用力の低い低所得者個人
向け住宅融資)問題がここにきて、その焦げ付きの急増からローン会社の破綻、経営
危機を通じて、急浮上したことです。この問題から、信用リスク懸念が意識され、リ
スク回避から株式が売られ、一方で信用力が高くリスクの小さいアメリカ国債など高
格付けの債券に資金が移る、質への逃避という動きとなっています。
このサブプライムローンは、当初2〜3年の間低い金利で貸し出し、それ以後は1
0%を超える高金利になることから、住宅価格が上昇している時には、売却して売却
益を得たり、担保価値の上昇により低金利のプライムローンに借り替えて返済負担を
軽減したりし、それが個人消費やさらなる住宅投資に向かったりして、経済の好循環
の側面を演出してきました。しかし、04年6月からのFRBの金融引き締め継続が
ボディブローのように住宅価格の上昇を弱め、昨年5月をピークに下落し、それが住
宅の売却を困難にしたり、担保価値の下落により返済負担が増加したりして、ここに
きてサブプライムローンの返済が滞り、焦げ付きが増加してきたといえます。
このサブプライムローン焦げ付き増加問題は、まずローン会社の経営に打撃を与え
ましたが、一方ローン会社がローン債権を証券化して、広く一般に売ってきたことか
ら、それを買ってきた金融機関やヘッジファンドなどの損失が懸念され、現実に大手
証券ベア・スターンズのほか、ドイツの中堅銀行IKB産業銀行や日本の野村証券が
大きな損失を出すなど、世界的になっています。そして、それが信用リスクの高まり
につながって、株式を売却するほか、M&Aなどの資金調達を困難にしたり、リスク
の高い商品から撤退したりして、膨張していた信用が逆回転する動きがでてきたとい
えます。
もちろん、「サブプライム関連の損失は最大1千億ドルとの民間試算がある」とい
うバーナンキFRB議長の発言にあるように、この数字の範囲内であれば、過去の貯
蓄貸付組合(S&L)危機時や日本の不良債権問題に比べると、規模的には名目GD
P比半分以下であり、また金融機関の危機から起きた大きな信用不安ではなく、個人
向けの小口債権が起こした問題であることを考えると、大規模な金融システム不安か
ら信用収縮で実体経済が悪化するということにはならず、それほど深刻に考える必要
はないかと思います。
その意味で、今回、アメリカ株式は、業績悪化懸念のある金融機関や住宅関連業種
が先導して下落していて、信用不安が落ち着くまで株式の買い手が少ないため、当分
株式は乱高下するものと思います。問題は、リスクの所在と規模が、依然不透明であ
ることです。これが、不安を払拭できないために、疑心暗鬼になって、リスクのある
株式に投資しづらいとみています。それが明確になってきたとき、株式市場は落ち着
きを取り戻し、回復するものと思います。結局投資家の不安心理が株式の下落を招き、
それが薄れれば元に戻ってくるということです。
ただ、懸念があるとしたら、バーナンキFRB議長がいう1千億ドルの損失にとど
まらない時、また原油価格の上昇によりインフレ懸念が払拭できず、金融引き締めが
引き続き行なわれて、住宅市場の低迷が続き、優良なプライムローンにまで悪影響を
与えたりして、個人消費を押し下げるなどの実体経済への影響が広がることです。そ
して、最近発表されたアメリカの4−6月期の実質GDP3.4%のうちの個人消費
が1.3%(前期比年率)と急低下したり、予想外の失業率の上昇、非農業部門の雇
用が伸び悩むように、今後実体経済への影響には注意が必要です。
一方、欧州の株式市場も、サブプライム問題によるアメリカ株式市場の下げに引き
づられましたが、このローン債権を基にした証券を買った金融機関の損失は信用不安
を引き起こすほどの巨額でもなく、また金融機関そのものも少なく、この問題の影響
は限定的であるため、むしろ、欧州経済の堅調さを考えると、アメリカより早く回復
すると予想されます。
問題はむしろ日本です。確かに、今回サブプライム問題でアメリカ株式の下落を受
けて日本の株式市場は大幅に下げましたが、内容的には、別な要因も含まれているよ
うに感じます。もちろん、サブプライム問題が落ち着いてアメリカ株式市場が上昇に
転じれば、ある程度日本の株式市場も回復すると見ています。しかし、これほどの企
業業績の拡大が続く中でも、外国人の日本株式投資が減ったことは、先行き日本への
警戒が見られるからだといえます。それは、先日の参議院選での与党大敗により、政
治的不透明感が強まったことです。安倍首相のリーダーシップの限界から今後の政策
の変更など行なわれて、元の政治経済社会の構造に戻ることになれば、投資しにくい
と判断しているのでしょう。
もう一つ懸念されるのは、円キャリー取引の解消による円高です。つまり、このサ
ブプライム問題で、これまで低金利の日本から借りて高リスクだが高いリターンが得
られる商品や市場へ投資してきた資金の流れが逆流し始めたことです。その背景には、
アメリカの金融緩和期待がある一方、日銀の利上げ懸念があることも作用しています。
この結果、これまでの企業の好業績期待が後退するのではないかと懸念して、日本の
株式への投資が手控えられているという面もあるのではないかと思います。ただ、個
人的には、長期的な円安傾向は変わっていませんので、この面からの下落は限定的と
見ています。
したがって、基本シナリオとしては、欧米の株式市場は、サブプライム問題の不透
明感が払拭されれば、信用不安も解消されていずれ回復してくると見ていますが、日
本の株式市場は、欧米のような戻りやさらなる上昇は期待しづらく、18000円台
に戻れば良いところかもしれません。
最後に、中国やインドの株式市場に対してこのサブプライム問題の影響が軽微で
あったことは象徴的です。貿易黒字を通じて資金が流入して国内のインフラや設備投
資を中心に経済が拡大しているアジア地域は、双子赤字を抱えながら信用の膨張で拡
大し続けるアメリカ経済とは違う局面にあるといえるのかもしれません。それは、中
長期的には、世界経済のバランスがアメリカ中心から分散化し、変化していくことを
暗示しているのかもしれません。
津田栄:経済評論家
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■■編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■
Q:822への回答ありがとうございました。先週は「疑惑」と「処分」を巡る
ニュースがいろいろとありました。朝青龍の疑惑と処分についてはエッセイ特別配信
号に書いたので省きます。自民党の参議院選大敗北と総裁である安倍総理については、
さまざまなフェイズで考えることができます。なぜ自民党はこれだけの敗北を喫した
のか、構造的な問題と、トピックスが交錯して実に興味深いテーマだと思います。
間違いないのは、これまで自民党がイデオロギーではなく利益供与で多くの国民の
支持を得ていたという事実が明らかになったということでしょう。自民党の理念(実
際にそんなものがあるかどうかは別にして)に共鳴していたわけではなく、補助金や
公共事業などではっきりとした利益を得ていた層が離反したというのが最大の敗因で
あると思われます。太古の時代、多くの国家で、国民の利益を確保できなくなった王
様は殺されるという習慣があったと指摘する文化人類学者の本を読んだことがありま
すが、普遍的なことかも知れません。
安倍総裁は、選挙戦の終盤で「改革か逆行か」「成長か逆行か」「小沢氏かわたし
か」を問う選挙なのだと繰り返し叫んでいましたが、利益供与ができなくなってし
まっている現状では、その叫びはまるっきり逆効果だったことになります。安倍総理
の参議院選前後の言動を見ると、疑問ばかりが湧いてきます。ある仮説を導入すると
疑問がすべて解消するのですが、その仮説についてはあえてここでは触れないでおこ
うと思います。
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Q:823
参議院選の与党大敗北、民主党の大躍進は、今後の経済状況にどのような影響を与
えるのでしょうか。
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村上龍
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