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絵で解く参院選2007 経済政策を問う財政再建
増税論議は回避【東京新聞】2007年7月21日 紙面から
ここ数年、財政再建の必要性が盛んに指摘されるようになった。そもそも国の財政は、どの程度、傷んでいるのか。参院選挙戦で各党は財政再建への道筋について、どのような考え方を示しているのか。 (池井戸聡)
Q 国の財政が苦しいとよくいわれるけど、そんなに厳しいの。
A 二〇〇七年度末の国債発行残高は、五百四十七兆円に達する見込み。一九九七年度末は二百五十八兆円だったから、借金の残高は十年間で二倍以上に膨らんだ形だ。
借金急増の最大の要因はバブル後の不況で税収が伸び悩んでいるのに、医療や年金など、社会保障費が高齢化に伴って増えていること。毎年の新規国債発行額は二〇〇五年度以降、減少に転じてはいるが、発行残高の増加は止まっていない。
〇七年度の国の財政を月収四十万円の世帯の家計に置き換えた財務省の試算をみると、さらに厳しさを実感できる。
試算では四十万円のうち、十五万円を医療や年金などの社会保障関係費に支出。住宅ローンなどの過去の借金の元利払いにも十五万円を充てている。「これでは生活できない」と、新たに月十八万円もの借金を重ね、家計は火の車。ローン残高は、年収の十倍程度の四千六百万円に上っている。
与野党根本解決示せず
Q それは厳しいね。財政再建に対する各党の考え方を教えて。
A 自民、公明両党は国と地方の基礎的財政収支を一一年度までに黒字化する目標を示している。同収支の黒字化とは、新たに借金をしなくても国民に行政サービスが提供できる状態のこと。ただ、これだけでは国の借金の残高は大きく減らない。「財政再建への第一歩」という程度だ。
一方、民主党はマニフェストで地方への補助金削減、特殊法人や特別会計の廃止などにより年十五兆三千億円の歳出をカットする考えを示す。
ただ、削減分の財源は月二万六千円の「子ども手当」や高速道路の無料化などに回す方針で、与党から「基礎的財政収支の黒字化はどうなるのか」と批判されている。民主党は「予算配分の仕組みそのものを変える」などと反論するが、財政再建への道筋は不透明だ。
金利の上昇で福祉に影響も
Q 与野党ともマニフェストからは財政再建に向けた熱心な姿勢が伝わってこないということだね。財政悪化は、国民生活にどう影響するの。
A 最大の懸念は住宅ローンなどの金利上昇だ。国の財政が悪化すると「国債は本当に償還できるのか」との不安が市場に広がり、国債の買い手が減る。そうなると国債の利回りが上昇。連動して金融商品などの金利も上がる。
金利上昇で国の利払い費が増えると福祉など行政サービスに回すお金が減り、国民に不自由を押し付ける恐れも出てくる。
景気回復で危機感薄く
Q それは大変だ。与野党とも財政再建への道筋を具体的に示していないけど、それでいいの。
A 問題だね。財政再建に本気で取り組もうとすれば、消費税などの増税論議が避けられない。ただ、選挙への悪影響を考え、各党ともそれを避けているんだ。政府は昨年、一一年度に基礎的財政収支の黒字化を達成するには、十六兆五千億円の財源が不足していると試算。これを補うため最大十四兆三千億円の歳出を削減する方針を決め、埋めきれない二兆円−五兆円程度は税制改革で賄う考えを示した。ところが、その後、景気回復で〇六年度の税収が当初の予想を三兆円以上も上回ったことが判明し、危機感は薄らいでいる。
だが、経済協力開発機構(OECD)によると、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率は日本は177・6%で、米国(61・8%)やドイツ(69・9%)を大きく上回る。財政再建が急務である状況に変わりなく、残る選挙期間中、各党間でどのような議論が展開されるか注目される。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/trend/CK2007072102035669.html