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[ニューヨーク 1日 ロイター] 円キャリートレードを圧迫しているクレジット市場の問題の高まりを背景に、今夏の市場に再びボラティリティが戻ってきている。
外為市場では、低金利の円で資金調達して高金利通貨建て資産で運用するキャリートレードが主流となっているが、米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅ローン)市場での債務不履行に対する懸念を受けて投資家のリスク回避姿勢が強まって一部のキャリートレードが巻き戻され、円の対米ドル相場は7月に上昇。米ドルは対円での年初来の上昇分を消して、約1週間で心理的に重要な120円を下回り118円台を割り込んだ。
ただ、キャリートレードを行う投資家にとって損失の拡大につながる円の一段の上昇には、クレジット市場の問題がその他の市場に波及している兆候が認められる必要がある。
スーパー・デリバティブズ(ニューヨーク)のエディー・ウォン氏は「クレジット市場はすでに危機的状況にある」とした上で「問題はクレジット市場の問題が抑制されるかどうかだ。抑制されなければ、キャリートレードのさらなる巻き戻しが起きるのは確実だ」と述べた。
今年3月には、世界的な株安で円キャリートレードが解消され、米ドル/円は1週間のうちに120円を上回る水準から116円まで下げた。
米株投資家の恐怖心理度合いを示す指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX指数)は1日に5.4%上昇して4年ぶりの高水準を付け、3月時点の水準を超えた。
ロイターのデータによると、1日の通貨オプション市場では1年物のドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティ)が2006年9月以来の高水準に上昇した。
<キャリートレードの終えんか>
スーパー・デリバティブズのウォン氏は「クレジット市場の問題がどこまで深刻化するかによる。一段と悪化すれば、キャリートレードはさらに巻き戻され、米ドル/円は115円の水準にまで下げるだろう」と述べた。
キャリートレードの今後に対する懸念が広がり、円の出来高は増えている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)での7月の円の1日の平均出来高は前年同月比114%増の160億ドルとなった。
シティグループには例年通りの商いの薄い夏はまだ訪れておらず、機関投資家が米ドル・ユーロ売り/円買いの先頭に立っているという。
RBSグリニッチキャピタルの首席国際ストラテジスト、アラン・ラスキン氏は、米ドルの対円での下落はこれまでのところ、通常3─4週間続くキャリートレードの過去の調整と同じペースを保っているが、ユーロ/円相場のボラティリティは、ポジションの規模のために、過去のキャリートレードの巻き戻しに比べて高い可能性があると指摘。「ユーロ/円はキャリートレード取引の中心にある」と述べた。
ロンバード・ストリート・リサーチ(ロンドン)のディレクター、チャールズ・デュマ氏は、円キャリートレードの将来のカギを握るのは、米ジャンク(投機的投資格付け)債のスプレッド(米国債との利回り格差)だと指摘する。米ジャンク債のスプレッドは、サブプライムモーゲージ問題への懸念やレバレッジド・バイアウトの資金調達難で投資銀行が未売却の債券を抱えていることを背景に、7月に100べーシスポイント(bp)以上拡大した。
デュマ氏は、ジャンク債のスプレッドが100bpで安定すれば、投資家が高利回り通貨を求めて再び市場に参加し、結果として円が再び下落し始める可能性が出てくると述べた。
同氏は「円相場は125円では極めて安く、117─118円でも比較的安い印象がある。ファンダメンタルズの要因から、一段と下げる可能性は非常に高い」と語った。
(ロイター日本語ニュース 原文執筆:Kevin Plumberg、翻訳:藤田真木子)
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