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米国を起点に株安の連鎖が再び起きた。米国で信用リスクへの懸念が台頭したことが背景にある。ニューヨーク市場のダウ工業株30種平均は先週、1万4000ドル台の最高値をつけた後、調整局面に入り、26日には今年2番目の下げを演じた。27日の東京市場の株価も大幅安だった。2月末には中国発で世界の株価の連鎖安が起きたが、今回は米国が震源地だけに、投資資金の流れの変化は注意深く見守る必要がある。
米国で「サブプライム」と呼ばれる信用度の低い個人向け住宅ローンの焦げ付きが増え、同ローンを組み込んだ金融商品が大幅に下落した結果、信用リスクを警戒する空気が市場に広がった。投資家はリスクを伴う資金の供給に慎重になり、米投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントがクライスラーを買収する資金の調達を延期せざるを得なくなるなどの事態も起きている。
ただし、バブル崩壊後の日本のような信用収縮をもたらすとの見方は少ない。最近の金融市場の動きは、「コストとリスクを意識せず、緩みすぎていた金融が正常化する過程」(米有力ストラテジストのロバート・ダガー氏)といえる。低金利の円を借りて相対的に金利の高い外国の通貨や資産などに投資する「円キャリー取引」の解消とみられる動きも、株安と並行して進んでいる。
国際通貨基金(IMF)は世界経済予測を見直し、今年の米国の経済成長率を小幅に下方修正する一方、世界全体では5%台に上方修正した。実体経済は総じて好調だ。忘れていたリスクが織り込まれれば、市場は落ち着きを取り戻すであろう。
もちろん、円キャリー取引の巻き戻しに伴う円高がどこまで進むかなど、注意すべき点はある。8月には日銀の追加利上げも予想されるが、米景気の先行きや海外市場の動向に目を凝らす必要がある。
米国株が調整局面に入る前から、日本の株式相場は相対的にもたついていた。参院選後の政局が混迷し、日本の経済効率化や政府のスリム化に向けた構造改革が停滞するとの懸念があるとすれば、株安が発するシグナルは軽視できない。株式市場は参院選後も改革路線を後退させない決意を求めているように見える。