★阿修羅♪ > 国家破産51 > 357.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
買収続くタバコ産業 日本人はJTに資産預けている【アメーバニュース】
7月21日 11時13分
イギリスのタバコ大手インペリアル・タバコがフランスとスペインのライバル会社であるアルタディスを、債務引き受け分を含めて総額162億ユーロ(約2兆7千億円)で買収することで合意しました。
世界のタバコ業界でインペリアルは4位、アルタディスは5位で、合併後の新会社は、アルトリア、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、日本たばこ産業(JT)に次いで世界4位となります。昨年12月、JTによるイギリスのタバコ大手ギャラハー買収決定報道の記憶が新しいうちの出来事です。
ところで、今回の買収でインペリアル・タバコは買収額全額を現金で支払うそうですが先進国では禁煙運動が盛んで、明らかに商売はし難くなっているはずなのになぜそんな大金が現金で支払えるのか? これには意外な理由があります。
株主への配当が、日本企業は低く欧米の企業は高いという話を聞いた方も多いでしょう。しかし欧米でも、これまでタバコ会社はあまり株主へ配当を支払っていませんでした。
それは、タバコにまつわる訴訟に備えるために株主に対する配当を控えて、もっぱら内部留保をしてきたからで、株主もそれを容認してきたからです(肺がん患者に訴えられた、タバコ会社の話をご記憶の方は多いと思います)。そのため、他の業種に比べて一株あたりの純資産がタバコ会社は大きいのです。
配当を出さないのでお金持ちなのですね。タバコ訴訟がひと段落してきた昨今、この資産をいかに活用するのかが、生き残りの鍵になっているのです。
そして、世界のタバコメーカーが注目しているのがアジア市場です。先進国でタバコの消費の増加が見込めない今、逆に消費が伸びているアジア市場を攻略することが、タバコ会社の生き残りの鍵を握っていると言えるでしょう。95年には、業界1位のアルトリアのグループ企業フィリップモリスがインドネシア大手、サンプルナを買収しました。同社を通じ、主力銘柄「マールボロ」の現地の嗜好に合った新製品を同国の市場に投入しました。
インドネシアは世界5位のタバコ市場なのです。第1位は中国ですが、タバコ市場の開放はまだまだ進んでいません。しかし、世界の喫煙人口の3分の1の3億5千万人を擁するといわれる中国は、これから有望な市場です。
余談ですが、昨年ギャラハーへの大規模な買収劇を演じたJTはその株式の過半数を日本国が所有しています。国営企業ではないものの株式は国民の資産です。買収資金のうち7千億円は手元資金でまかなったのですが、米大手投資銀行のメリルリンチから約1兆円を借り入れたようです。これだけの投資をして結果が出ず、株価が下落することになれば国民の資産が目減りすることになります。
ちなみにJTは92年に買収した英マンチェスター・タバコを、00年に売却したり、今や行列が出来るハンバーガーショップのバーガーキングに、96年出資したものの01年に撤退したりと投資の失敗ばかりが記憶に残っているので嫌な予感がします。タバコの銘柄には好き嫌いがありますが、間接的とはいえ資産を預けていることになるため、日本人としてはとにかくJTにガンバって欲しいとしか言いようがありません。
文■赤井 信文(ファイナンシャルプランナー)
http://news.ameba.jp/2007/07/5936.php