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http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/91/index.html
7月19日、ニッポン放送株の取引を巡り、証券取引法違反の罪に問われていた村上ファンドの前代表、村上世彰被告に対して、東京地方裁判所の判決が言い渡された。判決は懲役2年、罰金300万円の実刑。追徴金は約11億4900万円。検察側の求刑に対して、懲役の期間こそ3年から2年に減ったものの、それ以外は求刑通りという結果になった。
ご存じの通り、「やれいけ、それ行けニッポン放送」というライブドア元取締役の宮内亮治被告の発言について、記者会見で村上被告は「聞いちゃったんですよ」と弁明。たまたまニッポン放送買収という話題を耳にしただけであり、しかもそれはライブドア一流の大言壮語と思っていたとして無罪だと主張していたわけである。
しかし、東京地裁の認定は、「聞いちゃった」のではなくて、むしろ仕掛けたのはお前だろうということである。村上被告がライブドアに言わせたのだというわけだ。そして、大言壮語だろうがなんだろうが、「情報の質は問題ではない。聞いちゃったという時点でインサイダー取引」という明快なものだった。裁判所は、海賊型資本主義によるマネーゲームを極めて厳しく断罪したのである。
だが、それでもまだ、この事件について、わたしの腑に落ちないことが一つ残されているのだ。
村上ファンド以外にニッポン放送株を売ったのは誰か
話は、2005年2月8日、時間外取引によってライブドアがニッポン放送株を買った時点にさかのぼる。
今回の裁判によって、村上ファンドが売り抜けたニッポン放送株は、130億円相当だということが明らかになった。その金額のうち、村上被告自身が出資した比率を勘案して、11億4900万円という追徴金の数字が出てきたわけだ。
問題は、この130億円という数字である。ライブドアが買ったニッポン放送株は約972万株。購入金額は580億2500万円ではないか。つまり、ライブドアは580億円あまりを買っているが、村上ファンドが売ったのはそのうちの130億円分でしかないというわけだ。比率にして、全体の22%に過ぎない。
ということは、残り78%分の株を売ったファンドなり個人なりが、別にいるということである。
もちろん、正当な取引で売りに出されたならば問題はない。しかし一般常識で考えて、ニッポン放送という特殊な会社の株が、村上ファンドとたまたま同じ日の、しかも時間外取引の場に、ポッと売りに出されたなどということはありえない。誰がどう考えても、村上ファンドと示し合わせて、ニッポン放送株を売りに出したのである。
おそらく、株売却をリードしたのは村上被告に違いない。だが、金額面でいえばその4倍の規模で、村上ファンドと同様に悪質なことをしたファンドあるいは個人が存在しているということなのである。
メディアが報じない共謀者の存在
改めて言うまでもなく、株の買い占めで一番難しいのは出口戦略である。大量に買った株をどうやって高く売るかで、誰もが頭を悩ます。一般のマーケットでは、大量に売却をすることで株価が暴落してしまうからだ。
そこで村上被告は、時間外取引を利用して、大量の株を一度にライブドアに売り抜くという方法をとったのだろう。つまり、ライブドアは、村上被告の口車にまんまと乗せられて、ニッポン放送株を高値で買ったということになる。
その仕掛けをつくったのは村上被告だろうが、そこに78%分の株を売った共謀者がいることは確かである。その共謀者たちも、間違いなくインサイダー情報を仕入れているはずだ。だからこそ、村上被告に同調しようと考えたわけである。となると、村上ファンドと同罪ではないか。
それにしても、こんな単純な話は、誰が見てもおかしいと感じることではないか。ところが、不可思議なことに、どのメディアもこの点を追及しようとしない。
では、いったい村上被告の共謀者とは誰なのか。一時は外資だといううわさもあったが、どうもそうではないらしい。
事件の闇はまだ解明されていない
村上被告との共謀について、わたしは二つの可能性を考えている。
一つは、現在、財界でかなり名をはせている企業、あるいは比較的まともだと思われているファンドがかかわっている可能性である。表面では紳士の顔を見せながら、村上被告を通じて闇の世界に参画していたというわけだ。
そしてもう一つは、そうした企業やファンドのバックに政治家がからんでいる可能性である。わたしは、こちらの可能性のほうが高いと考えている。
村上世彰という人は、表舞台に出てギャンギャンと吠える役回りをしていただけであり、実はその背後に巨悪が存在しているのではないか。
この事件をこのまま終わらせては絶対にいけない。そして、村上被告のやっていることよりもはるかに悪質な行為を、すべて白日の下にさらすべきである。たとえ、それによって当初は混乱が起きようとも、最終的にはそれがこの国の経済、社会にとってプラスになるはずだ。
そして、共謀者をすべて罪に問えば、何百億円という追徴金が取れるかもしれない。額に汗して働いている国民に増税を迫るよりも、こうしたところからまず金を取ってほしいものだ。
“幸い”なことに、今回の判決を受けて、被告・弁護側は即日控訴をした。これにより、裁判の場で、この闇について語られる可能性が残されたということでもある。
本当に何が起こったのか、本当に悪いのは誰なのか、ぜひとも高等裁判所で明らかにしてほしいと、わたしは願うばかりである。