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17世紀の日本は、世界で最も強大な軍隊を持っていた。日本が鎖国を宣言しても、武力で国策の変更を強制できる大国がなかった
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投稿者 TORA 日時 2007 年 7 月 11 日 15:17:28: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu147.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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17世紀の日本は、世界で最も強大な軍隊を持っていた。日本が一方的に
鎖国を宣言しても、武力でその国策の変更を強制できる大国がなかった。

2007年7月11日 水曜日

◆リスク頭脳を持っているか 長谷川慶太郎/著
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/19558388

◆「ボトムアツプの国」の利点

ことに日本は、組織の方針や社会の制度をトップダウンで変更する国じゃない。なんでも下から順に積み上げていく。ボトムアップでいく。こういう国では、世論の大勢が新しい認識に達するまでに大変な努力をしなくちゃならない。一度定まれば、非常に安定した強固な社会ができるんだが、それまでの変革は容易なことじゃない。歴史的に見て、日本ほど安定した秩序を持続した国はありません。日本人のこういう行動様式は、その歴史に根ざしている。それを無視することはできない。

ことに江戸時代の長い鎖国の影響が強いが、あの時代に鎖国ができたということ自体大変なことなんです。第一に当時の日本は、世界で最も強大な軍隊を持っていた。日本が一方的に鎖国を宣言しても、武力でその国策の変更を強制できる大国がどこにもなかった。そのころヨーロッパではフランスが最初の常備軍を持ったが、その軍隊は一万五千人。ところが織田信長は長篠の合戦だけで三万人を動員してる。しかも当時の日本ほどたくさんの鉄砲を持っている国はなかった。だから通商を許すとか、布教を許すとか、一方的に日本の為政者が決めてる。恩恵としてその権利を与えてる。

第二の理由は、徳川幕府が覇権を確立してから島原の乱までは、国内に武力抵抗する勢力が皆無になった。完全に鎖国をして、安定した社会をつくれた。関ケ原の戦いは一六○○年ちょうどだから、欧州では、それから三十年戦争、最後の宗教戦争が始まるんです。日本のように早い時期に国内を統一して、安定した秩序をつくりあげた国は世界にない。イギリスがようやくクロムウェル革命で統一に動き出したが、ドイツもイタリアもまだ完全な分裂国家だった。

この時点では、ヨーロッパ文明の一歩先を行っていた。当時の日本はまず世界一の産金国、産銀国でした。ということは世界一豊かだった。それもこの時代に始まったことじゃない。大陸で「元」王朝が銅銭に不足して紙のカネ、紙幣を発行したころ、室町時代ですが、日本はもう為替手形を通用させていた。博多で発行させた手形を持って大阪へ行けば、そこで即座に銅銭に取り替えられたし、刀剣でも衣装でもなんでも買うことができた。完全にいまの銀行と同じ制度ができていた。もし銅銭や金貨で運んでいたら、大変な費用がかかるし、危険でもある。手形ならどこに隠してでも持っていける。これは大変なことです。安定した秩序が相当に続かないことには、こういう制度は定着しません。(P32〜P33)

◆まさに「投機の時代」が来た

プラザ合意による円高の恩恵の三つ目は、世界の金融界に対する日本の発言権が急速に大きくなったことです。当然のことですが、円高によって日本の金融機関が運用している資産の国際価格が急激にふくれ上がった。その結果、日本の海外投資がものすごく楽になった。たとえば一j三六〇円の時に、百万j海外に投資しようとしたら、三億六千万円必要だった。それがプラザ合意で一j二四〇円になったら、二億四千万円で済む。昨今のように一j八○円なら、なんとたったの八千万円でできる。これはものすごく楽ですよ。

この間のインフレ率を考えても、円の値上がりの方がはるかに上回ってる。海外では百万jはやっぱり百万jなんです。日本へすぐ持ち返ろうという計算をするから「損した」というんで、海外でつかえば立派に百万jのつかいでがある。それが八千万円で手に入るんだから、とんでもなく楽になったんです。

ですから日本企業は、どんどん海外に投資するようになった。楽にできるんだから当然です。内外の設備投資比率で、かつては海外が一割程度だったものが、最近では三割にもなった。その結果、世界経済における日本の存在がますます重くなる。そういうことが、円高の進行と平行して起こった。日本がこんなに巨大な存在になるなんて、実は、プラザ合意の時は、誰も意図してなかった。目的は、ドル高の是正でしかなかった。

こういうところが自由経済の面白いところです。アメリカの見込違いというより、そういうのが自由経済の本質なんです。自由経済では、未来を完全にコントロールすることはできない。予測することもできない。必ず予想外のことが起こる。結局、やってみなければ、どういう結果になるか分からない。

そこが計画経済と違う。だからどんなに綿密な市場調査をして、万全の経営計画を立てても、計画どおりにいくことはない。絶えず景気が変動し、市場で厳しい競争が行われている以上、次々に起こる状況に素早く対応するしか方法はない。「投機の時代」が来たということの意味は、そういうことなんです。経済が自由になればなるほど、そうなる。そして投機で肝心なことは、何度も言いますが、いかに「損切り」を早くやるか。損切りのできない経営者は、経営者の資格がない。(P176〜P177)

◆非価格競争カの脅威

プラザ合意の時、アメリカ政府の当局者、エコノミスト、経営者は、誰ひとり今日の結果を予想しなかった。」ドル安円高になれぱ、アメリカ商品の競争力が上がり、日本商品の競争力が下がる。日本への輸出が伸びて、対日貿易赤字が減る。そう思い込んで疑わなかった。

ところが日本は、部品の輸出に重点を移した。しかも高度に技術の高い、非価格競争力の強い部品の生産に集中した。完成品の生産は、どんどん海外に移した。自杜工場が進出する場合もあるし、海外メーカーに生産をまかせる場合もある。しかしいずれの場合も、そこへ部品を輸出するから、輸出数量が減りません。

こういう水平分業をやり始めると、相手国は文句の言いようがない。その部品で、自国のメーカー、あるいは日本との合弁企業、たとえ日本企業の現地法人であっても、そこが輸入する日本製部品は、間違いなくその国の工業生産に寄与する。完成品を日本が逆輸入してくれる場合もあるし、その国の製品としてアメリカやヨーロッパへも輸出できる。そのために企業が買うんだから、なにも悪いことはない。

部品というのは、非価格競争力が決定的なんです。値段は二の次、三の次。性能、品質、信頼性、納期の確実さ、そういう価格と関係ないものの方が決定的になる。そうするといくら円高になっても、価格で競争する製品は影響を受けるが、非価格競争力で売れている製品は、なにも影響を受けない。

「日本商品は安かろう、悪かろうで売れている」。「彼らの行き過ぎたサービスもダンピングの一種だ」なんて決め込んでいたアメリカ人は、そこがまったく分からなかった。アメリカの企業は、そんな行動はしないんだから仕方ないですがね。人は、自分の経験で他人を推し量る。カニは甲羅に似せて穴を掘るんです。

日本の企業が、こういうことを始めたのは、第一次石油ショック以後です。それまではやはり価格競争力が決定的だった。それが石油ショツクで百八十度変わった。変わらざるをえなかった。「これからは量より質だ」。そういう判断が定着して、質の向上に全員が血にじの湊むような努カをしてきた。

それがプラザ合意以後の円高で急速に花開いた。実を結んだ。それが、巨額の貿易黒字の構造的な定着なんです。アメリカの期待したこととは、正反対のことが起こった。(P178〜P179)

◆なぜ日本車は売れるのか

海外生産の場合に、日本が輸出する部品がどういう役割を果たしているか。たとえば、九三年に日本を抜いて世界一になった韓国の造船で、建造コストは船体とエンジン、補機関係がそれぞれ半分ずつです。そのうちのエンジンと補機関係は八十%が日本の造船会杜からの輸入品です。船のディーゼル・エンジンは地上のものとまったく違うんです。

韓国製のエンジンでは、ロイズ保険の規格に合格しない。つまり保険がかけられない。韓国も苦労して、何度も自杜生産しようとしているんですが、成功しない。エンジンというのは非常に複雑で高度の生産技術が要る。鋼飯を張っただけの船体のようにはいきません。裾野の広い部晶生産の技術も要ります。

保険の国際規格に合格しないのは論外ですが、技術水準を如実に物語るのが、下取価格です。これが特に自動車の場合、露骨にあらわれる。アメリカの新車販売の四十%はリース向けです。まずレンタカー会杜がまとめて買って、それを長期契約で一台一台個々の消費者にリースする。そうすると五年後に、中古市場に出した時にいくらで売れるか。それが問題です。たとえば三万jで新車を買って、五年後に一万jで売れれば、五年間に償却すべき減価分は二万jです。それがもし千jにしか売れないとしたら、償却すべき減価分は二万九千jになる。償却負担が重いから、リース料金も高くしなくちゃならない。

アメリカは車検がありませんから、下取市場で中古を買う人も多いんです。その際、日本車の市場価格が図抜けて高い。つまりレンタカー会杜にとって償却負担が少なくて有利だということです。日本車は五年ぐらい使っても性能がまったく落ちない。アメリカ車の中古市場価格は、その日本車より三割も安い。ですからビッグスリーは中古市場で自社の中古車を高く買い取って価格の維持に腐心してる。ところがそうすると、その経費が新車に跳ね返る。苦労してますよ。韓国車なんかスクラップ同然です。こういう市場の評価というのは、一朝一夕ではどうにもならない。

アメリカは九四年に一千二百万台の車をつくりましたが、そのなかで日本車が二百六十万台なんです。トヨタ、日産、ホンダ、三菱。本来のアメリカ車の生産台数は減ってるんです。メーカーは空前の利益を上げたと自慢してますが、それはものすごい人員削減をやった結果でしかない。技術力が回復したわけじゃない。短期の利益を上げたに過ぎない。(P208〜P209)


(私のコメント)
7月9日の「江戸のダイナミズム」でも、日本は西欧よりも一足早く近代に入った事を書きましたが、軍事力でも織田信長の軍事力は常備軍を創設して鉄砲隊を主力に置いた。当時は西欧でも火縄銃が普及し始めたばかりであり、弓や槍とは違って火縄銃は扱いが難しく常備軍兵士でないと扱えない。信長がこのような軍事革命を行なったのも宣教師達からの話がヒントなのでしょうが、規模からいって世界一の軍事力を持っていた。

だから鎖国したから300年の平和が保てたのではなくて、当時のスペイン軍やイギリス軍を追い払うだけの軍隊を持っていたから鎖国する事ができたのだ。このような解釈は歴史教育では行なわれていませんが、鎖国するには強力な軍隊は必要だったのだ。現代の日本にアメリカ軍が常駐するようになってしまったのも自衛隊が弱体な為であり、憲法9条がある限りアメリカ軍は出て行ってくれないだろう。

このように日本の17世紀には宗教と政治の分離においても、軍事力においても、さらには金融においても為替手形の流通など、日本は西欧よりも先に近代に入っていた。だからこそ日本は鎖国する事ができたのであり、鎖国というと引き篭もってしまったような印象を与えますが、外交的孤立政策であり西欧や中国との貿易が閉ざされたわけではない。

日本は経済大国といわれるようになりましたが1ドル=360円から1ドル=80円まで値上がりしたことがその証明です。アメリカはその間にオイルショックやドルショックなどを仕掛けてきましたが、逆にアメリカはオイルショックで自動車産業は疲弊して、ドルショックでも流れを変えることはできなかった。ならばということで金融によるM&A攻勢をかけて日本企業を買収する作戦に変えてきた。

しかし金融においても日本は独自の金融システムを築いてきた歴史がある。江戸時代には為替や手形の流通なども近代的なものの象徴だ。このような基盤があったからこそ明治に入って西欧から近代工業化文明が入ってきても、すぐに取り入れることが出来た。しかし中国や朝鮮などはそのような近代的なものの基礎がないから近代化は遅れているし、これからも果たして定着できるのだろうか?

韓国などは造船業などで日本を追い越したとかいっていますが、そこに積まれているディーゼルエンジンの多くがドイツ製か日本製だ。自動車なども現代などがアメリカに輸出していますが、積まれているエンジンは三菱製か三菱のエンジンのライセンス生産されたものだ。中国も同じであり造船や自動車も船体や車体は国産でもエンジンなどの中枢部品は日本製なのだ。


◆船舶用エンジン:三菱重工業、2010年までに生産倍増へ 2007年5月29日 朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/article/20070529000008

三菱重工業は船舶用ディーゼルエンジンの生産を2010年までに2倍に増やす計画だ。

 28日、日本経済新聞によると、三菱重工業は10年末までに船舶用の大型ディーゼルエンジンの生産台数を現在の2倍となる年200台に引き上げるという。

 これにより、神戸造船所(神戸市)など国内でのみ生産してきた独自のディーゼルエンジン「UE」を、08年以降は中国とベトナムの提携企業でライセンス生産していく予定だ。

 同社は、大型船舶エンジン(380万馬力)の生産台数を倍増することで、世界市場シェアを2割にまで引き上げるのが狙いだ。

 現在大型船舶用エンジンの世界市場シェアは、ドイツの機械大手MANグループが7割を、フィンランドのバルチラが2割を、残りを三菱が占めている。

 同社は、造船市場が成長を遂げている中国とベトナムでの販売を増やすため、同地域での船舶用エンジンの生産体制確立は不可欠とみている、と同紙は伝えた。

◆【ヒュンダイ ソナタ 日本発表】2.4リットルエンジンは新開発 2005年9月7日 http://response.jp/issue/2005/0907/article74086_1.html

ヒュンダイ『ソナタ』に搭載されるのは、クライスラーグループや三菱自動車と共同開発した2.4リットル直4の「θ(シータ)エンジン」だ。出力は164ps/23.1kgm。アルミ製のシリンダーブロックを持ち、可変バルブタイミング機構(VVT)を装備。最近のトレンドを取り入れている。

このエンジンはヒュンダイが生産を手掛けたものだが、三菱が生産したエンジンについては、今秋から発売開始予定の『アウトランダー』から搭載が始まる。公称スペックには両社で若干の差異があるが、これは微妙なチューニングの違いによって生じているようだ。デビューはヒュンダイ製の方が一足早く、文句なしに最新鋭のエンジンといえるだろう。


(私のコメント)
「リスク頭脳を持っているか」という本は1995年の本ですが、現在でも事情は変わらないようだ。韓国の新聞などは盛んに造船業で日本を追い越したとか、日本車に負けない韓国製自動車などと書き立てていますが、積まれているエンジンは日本製か三菱などのライセンス製品なのだ。

日本はアメリカからの貿易摩擦で圧力を受けた結果、アジア各地に生産拠点を展開して、アメリカからの貿易摩擦を回避した。だから中国や韓国で作られている自動車やエレクトロニクス製品の中枢部品は日本製なのです。このような水平分業体制を築いて日本はアジアの繁栄を支えている。

中国や韓国が日本になかなか追いつけず、日本からの技術導入などに依存しなければならない状況になっている。エンジニアなどの養成も上手くいっていないのだろうか? 昨日もアメリカにおける中国人や韓国人の博士号の取得の多さを書きましたが、裏を返せば国内では優れたエンジニアを育てられない事情があるのだろう。

日本のマスコミは自虐的であり、外国のものはなんでも過大に評価して、日本のものは過小に評価する。歴史の見方も同じであり、日本は17世紀には西欧を追い越すほどの先進国であり超大国であったのですが、それが鎖国という手段をとらざるを得なくなったのは、キリスト教という悪魔的宗教の侵入を恐れたからだ。

キリスト教がいかに悪魔的宗教であるか、17世紀の西欧における宗教戦争がそれを証明している。信長や秀吉や家康は宣教師を通じて西欧の情報をじつによく収集して分析していた。江戸時代の最中でも幕府は西欧の状況を把握していたが、明治維新においてイギリスやフランスの影響を排除したのも幕府は海外の状況をよく分析していたからだ。

このように鎖国というのはなんでも排除してしまうと言うのではなく、名誉ある孤立政策であり、そのようなことが出来たのは、最強の軍事力を持っていたからだ。だから軍事力を強化する事は外国の干渉を排除する為であり、戦争をするためではない。だからこそ日本は自主防衛体制と核武装が必要なのだ。


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