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□国家が主導する経済・投資戦略 [メディア・レボリューション]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070629-05-0801.html
2007年6月30日
国家が主導する経済・投資戦略
「経済の熱戦」という表現が妥当かどうか分からないが、国家を挙げた国際経済戦略や国家主導による投資戦略が注目されている。ワシントンの保守系のシンクタンクであるAEI(American Enterprise Institute)のセミナーに出席し、それを確信した。
AEIで、ゴールドマンサックス・インターナショナルのホーマット副会長の講演を聴いた。70年代からいくつかの政権で国際経済の重要なポストを歴任した人物である。政府の経験を生かしゴールドマンサックスで活躍するホーマット氏のスピーチには、官民を超えた国際経済戦略の「巧みさ」が漂っていた。現在の財務長官は、ゴールドマンサックスの会長を経験したポールセン氏である。世界の金融市場に精通し、とりわけ中国に70回以上訪問したポールセン氏は、米国の国際経済戦略を担うのに最適である。
政・官・財の縄張りを越えて、また公と民の分け隔てなく最も優秀な人物が、国際経済戦略を練り、米国民の経済的恩恵に寄与している。グローバル経済が渦巻く中で、経済の熱戦に勝利することが米国のミッションであるのだろう。
米国のみならず、ロシアの場合は、プーチン大統領が自らエネルギー戦略や経済戦略の指揮をとってロシアの富の増大に貢献している。国家主導によるロシアの経済・投資戦略が練られているのである。
本日、ヘリテージ財団の米国エネルギー政策のセミナーで基調講演者が強調していたのは、中国などのエネルギー需要の高揚を分析しながら、ロシア等の資源国が戦略的に資源の供給を抑制しているから、石油や天然ガスが予測以上に高騰する構造に問題があるとの視点であった。供給側の戦略が機能しなければ、石油価格は半分に抑えられる。明らかに国家を挙げたエネルギー戦略が資源の価格を高騰させているのである。
同様に、ロシア政府は、エネルギー価格の高騰で築き上げた富を、世界の株式市場で戦略的に投資し富を増殖させているのである。中国やインドも国家の威厳をかけた経済・投資戦略を行なっているのである。
これらは、純粋な市場経済の原理に則ったものでなく市場経済と国家主導経済・投資戦略を複合させたものである。230年前のアダム・スミスの「国富論」にある、国家干渉を排除する自由主義経済思想とは、異なった経済政策、すなわち国家を挙げた経済の熱戦が起こっているのである。
純粋な市場経済に則った経済政策よりも、政府主導型と市場経済をミックスさせた経済政策が、富の増大を導いているというのが今日のグローバルな経済発展の現実であろう。具体的には、ロシアは、エネルギー資源の高騰により蓄えた資金を政府主導型の大型投資ファンドを戦略的に活用している。ロシア、中国、インドに共通する旧社会主義国の国家を挙げた経済発展の理念が、株式市場においてポジティブに働いている。産油国の莫大な富も国家の最高の頭脳により戦略的に運用されているようである。
話は飛躍するが、日本のゼロ金利に等しい金融政策、円安、国債、日本のODAなど、世界経済のために大いに貢献している。日本のこれらの政策は、世界経済の安定と発展のための優等生的役割を演じている。換言すれば、日本のこれらの政策は、世界の金融市場の値稼ぎの的、すなわち「カモ」となっているとも考えられる。本来なら富の恩恵を享受できるはずの日本の国民が年金の犠牲になっているのは、日本が経済の熱戦に負けている証だと考察される。
日本の威厳をかけた最高の金融の頭脳集団が、戦略的に年金等を増やすことを目的とした国民を豊かにするための、経済・投資戦略を練る時期が到来していると思われてならない。(中野 有)