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外資ファンド提案全滅 3割超が支持の例も 経営側の圧力にも【東京新聞】
2007年6月29日 朝刊
株主総会が集中日を迎えた二十八日は、上場、非上場合わせて約千四百社が一斉に総会を開いた。この日の注目は米系投資ファンド、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドをはじめとする外資系ファンドの日本企業に対する増配などの株主提案。ファンドの要求はすべてはねつけられ、結果は“全敗”に終わった。大手銀行グループの株主総会もこの日に開催。三菱UFJフィナンシャル・グループの総会では金融当局からの行政処分をめぐり、株主から厳しい声が相次ぐ場面もあった。(株主総会取材班)
注目を集めた外資系ファンドによる株主提案は、複数の投資先に期末配当の引き上げ(増配)を求めたスティール・パートナーズが全敗したのをはじめ、すべて否決される結果に終わった。しかし、中には三割を超す支持を集めた提案もあり、今後、ファンド側の出方によっては、経営側がより難しい対応を迫られる可能性もありそうだ。
スティールは今回、江崎グリコ、ブラザー工業など六社に対して増配を提案。いずれも大差で否決された。
二十八日の江崎グリコの株主総会では、スティール提案への反対票が約八割に達した。フクダ電子とTTKでは八割を超え、電気興業も「圧倒的多数」(同社)が反対したという。
スティールは前日までに議決権行使書を提出し、六社の株主総会に出席しなかった。
二十八日開かれたドトールコーヒーの株主総会では、日本レストランシステムとの経営統合について、大株主である米投資ファンド、ハービンジャー・キャピタル・パートナーズが異議を唱えていたものの、会社側の提案に八割以上が賛同し承認された。
だが、そのほかの外資系ファンドの提案の中には、否決されたとはいえ予想以上の支持を集め、経営陣にじわりと圧力をかけたものもあった。
電源開発の株主総会では、筆頭株主の英系投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)による大幅な増配提案に対し、賛成する株主が30%を突破。結果を受けて同社の中垣喜彦社長は「今後チャンスがあれば(増配を)真剣に検討する」と“約束”させられた。
米系投資ファンドから大幅増配を求められた小野薬品工業やシンニッタンの総会でも、ファンドに同調して賛成票を投じた株主が三割を超えた。
『日本的経営を選択』
株主総会で外資系ファンドと対決した経営トップは総会後に記者会見し「カネだけでは動かない人がたくさんいたということだ」(高橋正尚・天龍製鋸社長)などと語り、ファンド勢の手法に強い不快感を表明した。
スティール・パートナーズに株式公開買い付け(TOB)を仕掛けられている天龍製鋸は、買収防衛策の導入を提案し議決権ベースで九割を上回る賛成を集めた。
経済産業省の北畑隆生事務次官は二十八日の記者会見で、「長期的視点で経営を考える『日本的経営』を株主が選択した結果だ」と、ファンドによる提案が否決された背景を指摘した。
野村証券金融経済研究所、西山賢吾シニアストラテジストは「ファンドだけがもうけようという姿勢が感じられる提案は、ほかの株主から強い拒否反応が出ることが明らかになった」と説明。
ただ、大和総研制度調査部の堀内勇世次長は「今後、ファンドがほかの株主の反応にも配慮しながら戦略を変えてくると、経営者にとって気の抜けない総会になるだろう」と予測している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2007062902028106.html