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6月の給料明細をチェック、手取りが5月より減っている!
(小長谷 敦子=公認会計士・税理士)
もうすぐ6月の給料日。給料明細で、所得税と住民税の金額をぜひチェックしていただきたい。多くの人が、手取りが5月より減ったことに気づくだろう。
その前に、1月の給料明細を確認しよう。「あれっ? 」と思ったのではないだろうか。「給料は増えていないのに、昨年より手取りが増えている」。よくよく見ると、給料明細の所得税の金額が、昨年に比べて減っているのだ。
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表1
給料明細(表1)には、会社から支給される金額(A)、そこから控除される金額(D)、そして一般的に「手取り」と呼ばれる差引支給額(E)が記載されている。控除される項目のなかには、所得税(B)と住民税(C)、社会保険料がある。
このうち国に納める税金である所得税(A)の金額が、1月に減ったのだ。これは、「地方にできることは、地方に」という三位一体改革によるもの。国から地方へ3兆円の税源が移し替えられたので、その分、所得税の額が減ったのである。
ということは、所得税(B)が減った代わりに、地方税である住民税(C)が増えた? いやいや、1月の給料明細を見ても、前月と変わらない。住民税は毎年、前年度の所得を基準に徴収額を決め、6月から徴収する額を変更する。このため、1月から5月までは、前年と同じ金額なのだ。
そして、いよいよ6月から、住民税の額が上がることになる。
http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070620-00000000-nkbp-bus_all.html
では所得税、住民税はどのように変わったのだろう。
所得税の税率は、2006年は以下の表2の通りだったが、2007年から表3のように変わった。
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表2、3
年収が300万円の場合(課税所得に直すと195万円以下になる)、税率が10%から5%に下がる。年収が変わらなければ、所得税が2006年の半分になる。年収が700万円の場合はどうだろうか? 課税所得に直すと472万円以下になるので、9万7500円下がることになる。表2と3を比べて見ると分かるように、課税所得195万円以下では税率が下がっている。年収700万円の人もこの“恩恵”を受け、195万円×(10%−5%)=9万7500円下がることになる。
ただし、ここで注意が必要な点がある。それは2006年まであった「定率減税」の措置が2007年にはなくなる点だ(関連記事)。2002年から適用されてきた定率減税は、段階的にその率が引き下げられ、2006年には10%になっていた。これは「徴収する税額の10%を割り引きする」という意味である。2007年の所得税の額は、この割り引き分がなくなるので、2006年よりその分高い金額になる。
住民税の税率は一律10%に
では、住民税はどうなるのか? 以下の表4が2006年の住民税率、表5が2007年の住民税率だ。課税所得にかかわらず、一律10%になる。
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表4、5
上の2つの表を比較してみると、年収が300万円(個人住民税課税所得金額に直すと200万円以下になる)の場合には、個人住民税率(道府県民税2%と市町村民税3%の合計)が5%から10%に上がることになる。ちょうど、所得税と税率が逆になる。政府は、所得税の減額分と住民税の増額分を基本的に同額にする方針だ。このため、人的控除額に応じて住民税を減額する仕組みも用意した(※記事末尾に注)。
しかし、住民税においても、2006年まで7.5%だった定率減税がなくなる。これを考えると、年収300万円の場合、2007年の住民税額が2006年の2倍以上に増えることは間違いない。
総務省が公開している資料によると、年収700万円で、配偶者と扶養しなければならない子供が2人いる場合、定率減税を考慮しなければ、所得税は9万7500円減り年間16万5500円に、個人住民税は同額増え29万7500円となる(http://www.soumu.go.jp/mobile/zeigen/0230.html)。定率減税を考慮すると、所得税と住民税の合計額は年間4万1000円増えることになる。
※ 人的控除とは、所得から差し引かれる基礎控除や扶養控除などのこと。所得税の場合、基礎控除は38万円、一般の扶養控除は1人あたり38万円。これに対して個人住民税の場合は、基礎控除、一般の扶養控除とも1人あたり33万円で、所得税の控除より低い。これを調整する。
課税所得額が200万円を超える場合には、以下の式で算出する金額を住民税の税額から控除する。
{人的控除の差の合計額−(個人住民税の課税所得金額−200万円)}×5%
ただし、この額が2500円未満もしくはマイナスの場合には、2500円を減額する。
総務省の資料にある、年収700万円、配偶者と扶養する子供2人の場合ならば、「人的控除の差の合計額」は(38万円-33万円)×4となる。
個人住民税課税所得額が200万円以下の場合には、この人的控除の差の合計額と課税所得金額のいずれか小さい方の5%を税額から控除する。
小長谷 敦子(こばせ・あつこ)
公認会計士・税理士
株式会社 経営ステーション京都取締役
早稲田大学卒業後、西武百貨店を経て、公認会計士・税理士に。現在、企業の経営指導のほか、学校法人や社会福祉法人の会計業務において活躍中である。「常に感性を磨く」、「誠実」をモットーに、会計と経営の実務を分かりやすく伝えることに日夜情熱を注いでいる。
主な著書:
「小さな会社の 必ずお金の残る経営の本」(共著、実業之日本社)
「子育て主婦の公認会計士合格記」(中経出版)
http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070620-00000002-nkbp-bus_all.html