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編集委員 菅野幹雄
今年で七年目となる「骨太の方針」が十九日に決まった。安倍政権に衣替え後の経済財政諮問会議で初めての作だが、評判は芳しくない。円安はなおも続き、輸出への恩恵を手放しで喜べる段階ではなくなってきた。迫力を欠く「アベノミクス」に内外の投資家が愛想をつかせば、日本の地盤沈下が進みかねない。=骨太の方針は2面「ミニ辞典」参照
時間軸にズレ
今回の骨太方針はいわばポスト小泉改革、つまり「アベノミクス」の経済改革を問うものとして期待された。だが重点が不明瞭(めいりょう)な内容との批判が多い。投資家の目も優しくはない。
「改革はやはり着手して十年くらいかかる。(小泉時代に)前半の五年が終わり、後半の五年が始まる。難しいものばかりが残っています」
「五年といったが、後半最初の二年間に本格的な集中をする」
先週末、都内のシンポジウムで大田弘子経済財政担当相は、総花的との批判もある骨太方針の背景についてこう説明した。これを聞いた証券会社の幹部がささやいた。
「五年でも二年でも長すぎる。改革がどう進むのか、我々はそう待っていられない」
そうなのだろう。ますます足が速くなるグローバル・マネーはそんな長期間の変化を見極めていられない。
目玉である「成長力底上げ戦略」は「原則として三年間で集中的に進める」。電子政府は「五年以内をメドに実現するべく…施策を講ずる」。一応、年限は区切っているが、日本の改革は投資家の期待する時間軸からずれている。
森喜朗元首相のもとで二〇〇一年に始まった諮問会議で、「骨太」の名付け親は当時の財務相だった宮沢喜一元首相。「骨太な議論」という依頼には、予算編成の主導権は大蔵省から動かさないという思惑があったという。骨太というより、骨抜きが狙いだった。
首相が小泉純一郎氏に替わると、こうした位置づけは一変した。「骨太」が経済改革や予算編成のいわば大方針となり、首相主導の色彩が濃くなった。
金融再生はデフレ脱却とともに最優先課題の一つに掲げられた。不良債権問題の終結を「〇四年度」と区切り、かなり強力に処理を進める土台になった。主要銀行の不良債権比率は〇四年度末で二・九%と〇一年度末のピークから三分の一に減った。
安倍政権の骨太方針からは、強い意志が伝わってこない。日本経済は実質年率で三・三%の成長と、一―三月の実績で減速気味の米国はおろか、好調なユーロ圏をも上回る高成長に戻った。安倍政権の経済運営も「平時モード」なのだが、この景気の勢いが日本に対する評価につながっていない。
こぼれた本音
その一つの表れが為替相場だ。対ドルでも、とりわけ対ユーロでも円相場の下落は止まらない。政策金利の差や利上げ見通しの違いが背後にあるが、円買いを進めようとする意欲が現状では起きにくい。
高齢化や企業の国際競争など日本と鏡写しの課題に直面するドイツから、興味深い報告が出た。ドイツ銀行リサーチが二〇二〇年の日本について分析した。
人口減、移民の少なさ、女性の職業参加率の低さなどから、日本の経済成長率は二〇二〇年には今の一・五%から一%程度に低下すると試算した。ただしこれは中心シナリオで、大胆な改革がなければ、中国や近隣国の追い上げを許してゼロ成長に低迷するとみる。外国がこうした目で日本を見ているということは、世界の投資資金が集まるかどうかを見るうえで不安な材料だ。
金融サービス分野の大胆な改革は評判を高める一つのきっかけになる。金融庁は銀行・証券の業務の垣根を見直し、取引所の拡充を狙う競争力強化プランを年内に出すという。ところが……。
欧州委員会幹部を迎えて最近、東京で開いた会合で、内閣府の田村耕太郎政務官は流ちょうな英語で語った。「東京を金融センターにするという方針の実現は、ひとえに今度の参院選結果にかかっています」。年金問題で浮揚力の鈍った安倍政権の現実を映す本音が、ふとこぼれた。