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1.民間企業の企業年金は「退職金の振り替え」である
2.割引率「2.20%」は妥当か
3.「従業員規模50人以上」の実態は
既得権益擁護のためなら集計方法に至るまで口を挟む緻密さ・勤勉さ、ぜひ本来の公務の方で発揮して欲しいものだ(汗)。
http://dbdc.seesaa.net/article/27835152.html
2006/11/19
退職金・企業年金は民高官低!?
年金受給「民間が公務員上回る」 人事院調査 (NIKKEI-NET)
人事院は16日、会社員の厚生年金と公務員の共済年金の一元化に伴う公務員の新たな年金制度の設計に向け、民間企業と国家公務員が受け取る年金や退職金の調査結果をまとめ、塩崎恭久官房長官に提出した。共済独自の上乗せ給付である「職域加算」を廃止した場合、民間の給付水準が公務員を約8%上回るため、格差を埋めるために国庫負担による新制度を作る必要があるとの見解も示した。
当BLOGでも以前触れた人事院による退職金実態調査の結果がこのほどまとまった。結果は官民格差どころか予想に反して民高官低となり、内閣官房長官に宛てた書簡では「不足分は国庫負担で(民間の企業年金に当たる)新制度を作る必要がある」と提言している。
まず初めに述べておくが、どうも「不足分は国庫負担で」というくだりで「税金を使うとは何事か!」と脊髄反射しているブログが散見される。しかし公務員とて一介の労働者。労働者を遇するのに雇用主(ここでは国や地方自治体)がある程度の出費(ここでは税金)を賄うことまで拒否するのは極論に過ぎよう。「公務員の処遇」の問題と「税金の無駄遣い」の問題を混同して批判するべきではない。
その上で本調査について言及すると・・・やっぱ怪しいわコレ(笑)。他の退職金統計と比較しても、民間企業の給付水準が過大評価されてるように感じる。この調査、不審な点もいささか多い。ポイントをまとめると以下の通り。
1.民間企業の企業年金は「退職金の振り替え」である
本調査では官民双方について「退職金+企業年金」の総額で比較しているが、そもそも民間の企業年金は退職金原資を移行したものであり、退職金原資の枠内で一時金受給か年金受給かを選択できるに過ぎない。そのため調査結果にあるような金額(2,980万円)を満額受給できるわけではない。一方公務員は退職金と共済年金の職域加算部分は別建てなので、双方とも満額受給が可能である。そもそも前提条件が違うもの同士を比較して「民間の方が高い」とのたまうのは我田引水もいいところ。しかし調査結果にはこの辺の違いをどう処理したかが明記されておらず、民間企業の退職給付水準はダブルカウントされている恐れがある。
2.割引率「2.20%」は妥当か
退職一時金は退職時に支払われた額を計上しているが、企業年金については、年金額だけでは評価が難しいため、本調査では、将来支払われる年金総額を現価換算した額を用いている。現価額で評価する事自体は真っ当である。だが問題は現価換算する際の割引率である。割引率が小さいほど現価は大きく計算される。本調査では、厚生労働大臣告示により定められている企業年金の最低積立基準額算出の割引率(平成17年度は2.20%)を用いたとあるが、上記の割引率は企業年金の解散・清算基準の算出に用いる保守的なものであり、企業年金に係る給付額が過大評価されている怖れがある。せっかく支給実態を調査したのであれば、実際に用いられている予定利率または給付乗率で割り引くのが筋ではないか。
3.「従業員規模50人以上」の実態は
企業規模50人以上6,232社(3,850社、回答率61.8%)を対象としたとあるが、実際はもっと大規模な企業に絞られているのではないか。今回の調査に当たってとある公務員系の労働組合では、「調査対象企業は1,000人以上とすること」などの要求を人事院に突き付けており、また今回の調査結果が出るやいなや「取組みを強化してきた結果である」などと誇らしげに語る始末。自分たちは大企業並みの待遇を受けて当然と考えているのか、或いは高水準な企業と比較する事により官民格差を小さく見せようと画策したのかは定かではないが、既得権益擁護のためなら集計方法に至るまで口を挟む緻密さ・勤勉さ、ぜひ本来の公務の方で発揮して欲しいものだ(汗)。
※人事院の調査結果はこちら
<関連エントリ>
The企業年金BLOG(2006/6/29): 企業年金・退職金に関する統計調査(総論)
The企業年金BLOG(2007/1/10): 追加調査に非ず、単なる帳尻合わせ
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posted by tonny_管理人 at 23:42 | Comment(10) | TrackBack(2)
Category | データで見る企業年金