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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu145.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米不動産業界の現実を見れば、金融機関の株式はもはや風前の灯火、
暴落直前といってもいいほど悪化していることが手に取るようにわかる。
2007年6月11日 月曜日
◆世界バブル経済終わりの始まり 松藤民輔(著)
https://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4062140489.html
◆アメリカから資金の大移動が始まった
一方、アメリカの視点で考えてみよう。
アメリカでは、原油暴騰が落ち着いたとはいえ、またいつ上昇するか、それこそ油断できない状況だ。さらに住宅不況による住宅ローン利率の上昇、モーゲージ・エクイティ・ローン(リファイナンス一不動産を担保にした貸付)であえぐ国民のためにも、FRBは金利を下げざるをえないところにまで追い込まれている。
つまり、日本が金利を上げ始め、アメリカが金利を下げ始める環境は整っているのである。こうなると、しだいに「円キャリートレード」の意味はなくなっていき、近い将来終わりを告げる。
円キャリートレードの終焉がいったいなにを意味するか? これは、世界中の投資家にとって、低コストで信頼の置ける資金を調達する方法がなくなることを意味している。
株式市場への資金の流入が先細れば、新興国市場などのマーケットだけでなく、NYダウをも直撃する。そうなったら、NYダウはひとたまりもない。株価は下落せざるをえない。人気のないマーケットの平均株価が上がるわけがないではないか。
もちろん、目端の利くファンドマネジャーたちは、こんなことは先刻承知である。資金の流れは、すでにアメリカからほかの国に、NYダウから株式以外の金融商品へと流出していると判断すべきである。
彼らにとって、アメリカに投資していた資金を引き揚げることなど造作もない。その結果、アメリカ経済に壊滅的な打撃を与えようとも、良心の呵責などまったく覚えない。
そもそも、投資家には国籍など関係ないのである。ファンドは、儲かるならばどこにでも投資するし、どんなことでもする。たとえアメリカ国民であろうと、NYダウが暴落しようがなんの痛痒も感じない。なぜなら、彼らにとっていちばんの罪悪は儲けないこと、いちばんの美徳は儲けることだからである。
二〇〇六年七月に日本のゼロ金利が解除され、金利が○・二五パーセント上昇した瞬間、アマゾン川のポロロッカのように、世界の資金の流れが逆流し始めたことに気づかなければならない。日本が金利を上昇させていくかぎり、この流れはいっそう激しさを増していくばかりだ。同時に、アメリカの不動産バブル崩壊、株式バブル崩壊がこれから始まるのだ。NYダウ以外の投資先を探して、一流のファンドマネジャーたちは淡々と大移動を始めている。
◆住宅を担保に極限まで借金
もともと、アメリカの不動産バブルをつくったのは、アメリカ国内の不況に対する自国の低金利政策である。
一九九八年の金融危機で世界的に株が急落したとき、アメリカでは、NYダウが下落してしまった。このときアメリカ政府は、経済のテコ入れ策として金利を大幅に下げたのである。
すると、当時の日米の金利差はニパーセント未満となり、「円キャリートレード」の解消によって、円は一ドル一四七円から一一七円にまで上昇してしまった。その結果、世界の株式市場は暴落に直面した。
一方で、この低金利を追い風に、住宅ローンの貸し出しが増えた。不動産投資、住宅投資が盛んになると、それに連動して耐久消費財が売れ始め、アメリカの景気は好転するようになったのである。
低金利政策のおかげで、アメリカ国民は、住宅を購入してはその住宅を移民に貸して、得た家賃収入を株式投資や運用に回すようになった。経済が活性化し、米国株も上昇していった。
住宅購入の資金は低金利で融通してもらえるし、不動産が上昇すれば住宅の担保価値も上昇する。すると、その担保上昇分を含み益として、「もっと資金を貸せますよ」と金融機関が勧めてくるようになる。住宅を担保に、資金をいくらでも貸してくれるという「モーゲージ・エクイティ・ローン(リファイナンス)」だ。
このローンは、日本の「住宅ローン」とは違って、土地や住宅を担保(保証、抵当権の設定)にしたものではなく、住宅そのものを時価で評価して個人に金を貸す。しかも、最大の特徴は、その使途が制限されていないという点にある。バブル期の日本には、悪名高き「フリーロ-ン」という貸付制度があったが、それを髪髭とさせる。
人々は、このモーゲージ・エクイティ・ローンを活用して、どんどん金を借り、住宅を買い換え、セカンド・ハウスを購入し、トヨタ車やソニー製品を手に入れ、なにより株式投資に回した。おかげで、米国株はさらにさらに上昇するわけである。こうして上りつめたのが、現在の史上最高値というわけだ。
統計を見ればわかるけれども、アメリカ国民は預貯金に回す資金があれば、株式投資に回したり、消費したりする国民性なのだ。プロの投資家のみならず、一般市民まで当たり前にだ。投資や資産運用、消費への熱心さがわかろうというものだ。
だが、アメリカに好景気をもたらした低金利政策も、っいに二〇〇四年からは利上げせざるをえなくなってしまう。
昨今の原油価格を見れば、物価上昇は避けられない。原油は車社会アメリカの企業財務も、家計も直撃するし、原油を材料とした製品はコストアップのために値段を高くしなければ採算がとれなくなってしまう。結果としてインフレが起こってしまう。アメリカ政府はせっかくの好景気を、インフレに邪魔されて腰折れさせたくはないと考えた。そこで、インフレを抑えるために金利を上げる必要性が出てきたのである。
そこでFRBは、金利を一パーセントから段階的に五・二五パーセント(二〇〇六年夏以降)へと引き上げていった。
さて、金利が上がるとどうなるか? まず、住宅ローンの中でも多くを占める「金利変動型ローン」の契約者は、金利上昇でローンの残高が増えてしまうから、支払いがきつくなる。
二〇〇六年から契約者の破産が急増している。それは、住宅ローン会社から金融機関まで、経営悪化を誘発し、それらの株価下落へとつながっていく。政府は米国株下落を阻止するため、政策的に金利を下げようとする。金利下げは不景気を世界に印象づけ、株価は暴落するというスパイラルに追い込まれる。
◆不動産バブル張本人の退職金が六〇億円
住宅、ビル建設などの不動産バブルは、なにも中国・上海やアメリカだけの話ではない。世界的な不動産市場は二〇〇五年に頭を打ち、日々、悪化の道をたどっている。しかし、エッフェル塔のように地価が上昇し、どんどん記録を破る快感が人々をユーホリア(超幸福)状態へ導いていってしまった。だが、祭りはすでに終わった。
先日、五年ぶりにロンドンから帰ってきた友人に会ったとき、こんな話を聞いた。HSBCのサブプライムローン部門のヘッドニ人が辞めることになり、退職金が、日本円にしてそれぞれ三〇億円ずつ支払われ、シティで大きな話題を集めているという。当たり前だ。バブルを煽るだけ煽っておいて、「暴落した後は知りません。契約どおり、退職金をください」では、さすがにシティの運中でも義憤に駆られるのかもしれない。だが、これが金融資本主義の実態なのだと思う。
さて、不動産価格は、景気や株価の先行指標となる。アメリカでも、「NYダウが史上最高値を更新!」と騒がれているにもかかわらず、住宅関連株価が下落している。
NYダウが上昇しているにもかかわらず、金融関係の株価が冴えない原因は、不動産バブル崩壊が金融業界にいかに深刻な影響を与えるか、マーケットがすでに織り込みずみだからである。
上のグラフを見れば、住宅ローン関係の資産が、もはや銀行資産の六〇パーセントも占めていることがわかるだろう(二〇〇五年)。アメリカの金融機関の未来は、もはや不動産市場と一蓮托生なのである。住宅、不動産市場が閉塞化し、バブルが崩壊過程にあるいま、これからアメリカの銀行業界がいかに悲惨な事態を迎えるかを予測するには十分なデータである。
つくづく、不動産価格は景気や株価の先行指標となると感じる。不動産は株式相場とちがって、一晩で暴落するということはない。「土地神話」の日本では、バブル崩壊後、株価は乱高下をくり返しながらスパイラル状に暴落していったのに、不動産価格のほうは一年半も後に不況に突入している。そのため、投資家の中にはまったく気づかず、さらに地上げに血道を上げた人間がたくさんいたのである。
アメリカには、「土地神話」などない。不動産も金融商品のひとっでしかないのだ。一般投資家は、上昇する株価にしか注目しようとしない。NYダウが史上最高値になったと喜んでいるが、不動産業界の現実を見れば、金融機関の株式はもはや風前の灯火、暴落直前といってもいいほど悪化していることが手に取るようにわかる。 (P33〜P40)
(私のコメント)
昨日のNHK特集で中国の水不足の問題を特集していましたが、これは異常気象によるものではなく、人口の都市集中にともなう必然的な現象なのだ。北京の超高層マンションの林立はビデオでも驚くほどの数ですが、マンションともなると風呂やトイレでかなりの水量を使う事になり都会の水瓶は干上がってしまう。それほど中国も不動産バブルである事を示すバロメーターになっている。
不動産バブルはアメリカでも同じであり、アメリカの場合は超高層マンションよりも郊外住宅であり、高速道路からかなりはなれたところにニュータウンが作られ、ガソリンの値上がりで通勤費用がかかるようになり、高速道路もパンク状態になり、ニュータウンがゴーストタウン化して、残されたローン残高だけが着実に増えていく状況になっている。
このような状況になると返済負担を軽減させる為にも金利を下げていかざるを得ないのですが、アメリカが下げたくとも欧州中銀が利上げをしたばかりだし、日銀も利上げを視野に入れた発言を繰り返している。このような状況でアメリカが無理に利下げをすれば、金利差の縮小で円キャリートレードの解消で円が暴騰してドルが暴落する危険性がある。
その兆候を捉えるには金利の動きを追うことですが、今までなら日本からの大量のドル買いや米国債買いで金利の上昇は抑えられましたが、最近は円安傾向でドル買い介入は行なわれていない。円安傾向なのは金利差による円キャリートレードのよるものということですが、日本の金利の上昇と米国の利下げで円キャリートレード解消の動きが始まる。
このようにアメリカへの資金流入がストップすれば、アメリカの銀行は貸し出しよりも回収の方に力を入れるようになり、日本のバブル崩壊と同じ現象が起きる。アメリカの金融機関の住宅ローン関係の資産が60%も占めるようになり、不動産市場の崩壊でアメリカの銀行業界はどうなるのだろうか?
◆長期金利の上昇加速 年初来最高1・86% 米欧と連動、先高感広がる 6月8日 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070608-00000018-san-bus_all
債券市場で、住宅ローン金利などの目安にされる長期金利が上昇の一途をたどっている。長期金利は日銀の政策金利の引き上げにも反応しなかったが、ここにきて状況は一変。7日も年初来の最高水準を更新した。日米欧の経済が堅調に推移し、世界的な金利の先高感が背景にあり、長期金利の勢いが「本格的な金利上昇局面の到来」(金融関係者)を告げるのか、市場の注目を集めている。(柿内公輔)
■景気の鏡
「日本経済の回復力が過小評価されている」。政策金利(短期金利)が約5年ぶりに上昇した翌月の昨年8月、日銀の水野温氏審議委員は長期金利の水準が低すぎると強調した。新発10年国債利回りは、昨年当初こそゼロ金利解除を織り込んで上昇したが、同5月に2%をつかの間超えただけで伸び悩んでいたからだ。
だが、その後も長期金利は弱含み、今年3月には1・545%まで低下した。2月の追加利上げにもぴくりとも反応しない長期金利に、市場では困惑が広がっていた。
通常、経済の拡大局面では長期金利も上昇する傾向にあり、企業活動や個人の消費生活にも大きな影響を及ぼす。
例えば、長期金利が上昇し、住宅ローンも連動して上がると、借り入れが難しくなる場合もある。一方、個人向け国債の保有者などは金利見直しで受取金が増える可能性も高まる。また、長期金利は金融機関が企業に融資する金利の参考にもされるので、その上昇は企業の資金調達にマイナスに働くケースが多い。
方向感がつかめぬ長期金利に、市場関係者の間では「景気回復が本物か見極めようとしている」との見方もあった。
だが、昨年度の上場企業の経常利益は5期連続で過去最高を更新する見通しで、1〜3月期の国内総生産(GDP)は個人消費が2期連続でプラス成長を達成した。
景気回復のすそ野の広がりを受け、長期金利も今月、昨年10月以来となる1・8%台に突入。7日終値も1・86%で年初来最高を更新した。
■利上げも焦点
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは「米国の長期金利の上昇や堅調な株価も長期金利の上昇圧力となっている」と指摘する。
日本の長期金利と連動性の強い米国長期金利は、経済の減速懸念が薄らぐなか上昇局面に突入した。欧州も政策金利を約6年ぶりの水準の4%に引き上げ、世界的に金利の先高感が広がる。
株式市場も日経平均株価が今月1万8000円台をつけ、世界同時株安以前の水準に回復。債券から株式へのマネーのシフトも進んでいる。
このところ、日銀幹部から政策金利の引き上げに前向きな発言が相次ぎ、早期利上げ観測が高まってきたことも、長期金利の上昇余地を広げている。福井俊彦総裁は5月10日の講演で、「金利変更をさぼると(景気の過熱などのリスクが)起きる可能性が少ないといえなくなる」と語った。
ただ、全国消費者物価指数が3カ月連続で下落するなど弱含む物価や、賃金上昇の鈍さが本格的な金利上昇のハードルになるとの指摘も多い。矢嶋氏も「賃金上昇が進まず、日銀の利上げペースが鈍いようだと、長期金利の上昇幅も限定的になる」と予測している。
(私のコメント)
要するにアメリカや世界のバブル景気は、日本の景気回復の見通し次第になるのですが、日本の過剰債務の解消が進んでくると、企業や個人も投資に前向きとなり金利も上昇していきますが、過剰債務の解消が進んでいないと投資も冷え込んで超低金利状態に戻ってしまう。私自身は土地の値下がりが下げ止まりの兆候を見せているから、日銀の利上げに対しては景気動向を見極めながら慎重に上げて行くべきだろうという見方になった。