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http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=520&more=1
オリェグ・ミチャエフ、ロシア・ノーボスチ通信社、経済評論家
世界銀行が経済成長で、やっとロシアを褒めてくれる時期がやって来た。ロシアの経済改革の最初の10年は世界銀行は弱い金融・投資政策でロシア政府を批判していたが、6月6日に発表された近年のロシアに関する報告では、世界銀行は、すべてが全く反対になっている。雲の上のような(非常に高い)価格になった石油価格のお陰で、ロシアの財政状態はかつてなく強固になった。GDPは空高く向かって破裂しそうだ。
そして外国投資は留まるところのなく流れ込んでくる。しかし、このような成功はただで済むはずがない。オイルマネーと投資の流入により、ロシアの政府は、世界銀行の試算では、予想した限界内にインフル率を抑えることができないだろうとしている。
世界銀行は、ロシア経済に関する自らの最近の報告の中で、ロシアへの投資成長率は現在「投資ブーム的」性格を帯びており、2000年に打ち立てた前の記録、17,4%、を破るだろうと堂々と表明している。このことから、ロシアのGDPも高いテンポで伸びていくだろうとしている。世界銀行主任エコノミストのジョン・リトヴァクの言明によると、ロシアの2007年のGDPの成長率は7%を超えるだろうとしている。これはロシア政府自身の立てた予想6,5%よりも著しく高い。
投資で最も関心を呼び起こしているロシア経済のセクターとして資源と冶金分野を挙げることができる。さらに、国内消費市場も、高くなった支払い能力のお陰で急進的に投資の関心が高くなっている。世界銀行の専門家は、ロシア政府にとっても大きなサプライズになった2007年始めの加工産業の「異常に高い成長率」を指摘した後、あの異常現象は極端に温暖な冬という気候的要素からのものであり、それが証拠に、1年前の期間のこのセクター指標はそれほど高くなかったと説明した。しかし、加工産業セクターの成長の理由の1つとしてさらに世界銀行では、ロシア統一電力会社のようなロシアの自然発生的国営独占企業からの注文のお陰による機械製作商品への需要が高まったことを挙げている。
世界銀行は、経済成長に引き続きロシアでは国民の給与水準が上がったことを確認している。世界銀行は、どうやら、本年はロシア人の平均月給が500ドルを超えると予測し、ロシア人を喜ばせたいようだ。実際、ルーブルがいつもドルに対して弱い前の10年間では、こんな給与水準はロシア人にとって夢に過ぎなかった。しかし、ドルが約25,8ルーブルという現在の為替水準では、500ドルはわずか12900ルーブルに過ぎない。そして、これは、ロススタト(ロシア国家統計連邦局)に記録される給与に関する最近の公式データより若干高い。
国民にとっては、現在の状況では、彼らの給与の成長がインフレ率を上回ることのほうがはるかに重要である。(1月から5月まで、ロシア政府のデータでは、インフレ率は4,7%に達している)。世界銀行はここでも希望を与えてくれる。世銀の評価では、1-4月の給与の伸びは18,5%だった。給与が誰よりも速く上がるという幸運な市民の恩恵に与ったのは、商業と建設業界で働く市民で、22-23%も給与が増大した。これと同様な伸びを享受できたのは国家機関に勤務する役人である。尤も、このセクターでは新しい価値が創造されることはないが。(国家セクターに働く人は何も生産せず新しい価値を創造することはないが供与は上がった)。
他のセクターで働く市民の給与はそれ程給料が急進的ではない。彼らは、世銀のデータでは、給料の大部分が価格の上昇に「食い取られて」しまうとしている。世銀の専門家の評価では、ロシア政府にとっては、2007年に8%と設定したインフレ係数を実現することは難しくなるだろうとしている。世銀専門家は、「資本の流入が増えることを見越して、ロシアの政府と銀行は、恐らく間違いなく、インフレを管理下に抑えることは難しかしいだろう」ことを強調している。
銀行専門家が指摘するように、今まではロシアの金融当局は、石油輸出からの超利益を安定化基金で没収することにより、資金塊りが大きくなるのを抑制することに成功していた。しかし現在は、オイルマネーに加えて、このようにして浄化することはいけない外国投資の流れがロシアを覆った。このような状況の中で、世銀には、インフレを抑える唯一の、多少とも効果的な方法に見えたのが今後のルーブルの強化だった。つまり、ロシア人は、今後のドルが安くなることの準備をして置く必要がある。
世銀の報告が指摘しているロシア経済のさらにもう一つの大きな問題として、慢性的な性格を帯びている失業者問題がある。留まる所を知らない経済成長にも拘らず、ロシアの失業者のレヴェルは2005年から実質的に変わっておらず、7,2-7,6%のままである。しかも、失業の大部分はロシアの南部地域に集中している。そこでは、この指数は、中央部や北西地域、沿ヴォルガ管区の3倍、シベリアや極東地域の2倍になっている。
世銀の報告の全体からは、ロシアは自国の目がくらむほどの経済成長は主に良好過ぎる程の対外景気に依存しているということになる。まさに高い資源価格、とりわけ環、石油価格に依存しているということになる。世界市場で、「黒い金」の価格は現在1バレル当たり70ドル近辺で揺れている。1バレルが10-12ドルであった1990年代末はまさに悪夢にうなされる眠りとして想い出されるだけだ。ルーブル高も国家予算の黒字も、ましてや安定化基金も、当時のロシア政府は、どれ一つ夢にすら見ることなどできなった。しかし、現在は、専門家は、資源価格は長期的に高い水準のままにあるだろうと口揃えて予言している。つまり、ロシアには、もっと明るい経済的未来が待っていると。