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8、デフレにおける格差と消費税の増税、企業減税
デフレでは正常な経済やインフレ経済に比べて経済的成功が上がり憎く、下がり易い、下克上が少ない経済と言えよう。ここに言うデフレやインフレはケインズの言うデフレギャップやインフレギャップを指すものではない。デフレは所得線が45度以下に下がった明らかに生産物に比べて資金量が減っている経済を指し、インフレは所得線が45度線以上の資金量が生産物より多い状態の経済を指す。正常な経済は45度線の生産物と資金量が均衡し1対1の割合の場合を指す。今までの経済学が扱っているのはこのような正常な経済であり、それ故にいままでの経済理論はデフレインフレでは通用しないものである。このことが多くの経済、世界経済を含めて失敗に至らしめている理由である。日本が未だにデフレから逃れられない理由でもある。
インフレでは少しの工夫やデザインの変更などですぐに売上が上がり、付加価値が容易に付加される。下に下がるよりも上に上がるのが容易である。格差は非常に大きいが、固定的でなく流動的であり、一獲千金の夢を抱き易い状態である。政府などの為政者にとり、治め易い時でもある。人々は名目所得が上がっているので他人の所得の多い少ないよりも、手に入り憎いものをもっている人を羨む。
デフレでは、すばらしい製品や発明に対してもそれほど付加価値が付かず、なかなか売上が伸びない。上に上がるよりも下がる方が容易な経済である。
上下の格差は小さいが固定的であり、職業により良い悪いがはっきりする。安易にお金が手に入る人に不満をもつ。
デフレによる格差は、資金が生産量より少ないことから生じている。偏に儲け難い経済と言えるであろう。資金が少ないためいくら物を作っても高く売れないどころか、安くなっていくのである。
はなはだしい格差の一つは、1、民間労働者と、公務員との差である。デフレに入ると売上は自動的に減少し、民間の賃金は減少する。しかし政府が公務員に支払う賃金は経済の縮小に応じて下がっていかない。
それ故民間が支える政府の支出の割合が大きくなる。言い換えるとデフレでは公務員が容易に生活がしやすくなるといえるであろう。
2、輸出や輸入にかかわる産業は潤うが、国内の需要に頼る産業は振るわない。国内が縮小しているので海外の伸び行く国々へ投資や輸出をせざる負えない。資金も物も国内から出て行くのである。
3、ぜいたく品を扱う企業と必需品を扱う企業の格差、機能的で実用的なものが低価格で流通するため、ぜいたく品のような物を扱う会社はやりにくくなる。
4、国内市場を主にする企業の株価は下がり、本来の価値以下になり、買収され易くなる。輸出企業は伸びる。
このような格差はすべてデフレから生じている問題である。正常な経済でも、インフレ経済でも格差は当然ある訳だが、デフレ固有の格差の問題点は、他の状態と比べると格差が固定的であり、上下の格差は縮まるが、経済の縮小から下層階級が多くなり、食えない人が増えて行く。産業により勝ち組負け組がはっきりし固定化する。民間と公務員の格差が顕著になり支配者階級となる。国内企業は不振を極め下克上が難しい。
このような経済状態で消費税を16%に上げることは、さらに資金を民間から吸収することになる。デフレを一層強めることになり場合によっては再びデフレスパイラルに入る恐れが出て来る。所得線がさらに角度を下げ、生産物がたとえ増えても、付加価値が非常に付け難い状態になる。
こうなると、各企業は消費量が少なくなった消費者に対して少しでも自己製品を買わせようとし、今までの製品の付加価値を減らしてより低価格で販売したり、付加価値の高い製品を安く販売して、売上を上げようとする。これが製品の販売量が増えても売上が落ちて行くというデフレ特有の現象をもたらし、在庫増が経営を圧迫させ、さらなるリストラ、廃業を促進させるのである。資金過小の経済は単に消耗するだけである。
それから低所得層がさらに増え、企業はより輸出や輸入に走り、資金は他国に投資されていく。格差がますます固定され、働けど働けど、低賃金になっていき、長時間労働しなければ生活ができなくなるのである。デフレの生産曲線は右下がりである。
デフレやインフレでは経済の見えざる調和はもたらされず、逆に蟻地獄に落ちるか、爆発するかなのである。人々は己の欲望を満たそうとすればするほど絶望することになる。アダムスミスの調和は正常な経済の時だけであり、失敗した経済では戯言に過ぎない。
来週に続く。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/