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国内マネーの海外流出止まらず、米国回帰の兆し
[東京 13日 ロイター] 13日の外為市場でドル/円が約4年半ぶりの円安水準をつけたのは、不安定な市場環境にもかかわらず、個人や機関投資家のマネーが海外に流出し続けているためだ。円金利は急激に上昇しているものの、海外との比較では依然として低い水準にあり、国内では魅力的な運用先が見当たらないという。
米国の債券安・株安によってリスクの縮小に走るグローバルの投資家が一時的に資金を米国に戻していることも米ドルを支えている。
<「日本人」の活発な円売り、海外から注目の的>
長期化する円安地合いを支えているのは、国内の個人マネーを引き付ける投資信託や機関投資家の海外投資だ。低金利が続く日本から高い金利を求め、米国やユーロ圏、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの高金利国に資金が流出する構図が続いている。外為市場でも連日のように、国内大手証券や都銀、信託銀行などを経由した円売りが「湧いて出てくる」(外資系証券の外為ディーラー)という。10年最長期国債利回り(長期金利)が約11カ月ぶり水準をつけた13日の取引でも、円は幅広い通貨に対して下落。対ドルで122円前半と、2002年12月以来、約4年半ぶりの安値をつけた。
外為市場で国内の投信や機関投資家を意味する「日本人」の円売りは、海外投資家の間では有名だ。ある外銀の東京支店に勤める外為関係者には毎朝、海外のファンド勢などから「日本人はいつ、どの水準で円を売ってくるのか」との問い合わせが来る。「今年は日銀が追加利上げに動き、円金利上昇で円買いというシナリオを描いていた海外勢が少なくない。何度も円を買い仕掛けては日本人の円売りに押し返されているので、さすがに(相場の)どの水準で日本人が円を売ってくるかを知らないと勝てない」という。
根強い円売り地合いは、ドル売りを試みる外為ディーラーには悩みの種だ。ある外為関係者は日本時間の日中、数百億円単位でまとまった円買い注文を出したにもかかわらずドル/円相場がほとんど動かなかったことに衝撃を受けたと明かす。日銀が公表する東京外為市場の出来高は1日でおよそ1兆円程度で「今までなら数十銭程度動いてもいい」(邦銀)大規模な円買い注文が一瞬にして飲み込まれるほど、円売り需要は強い。
実際、国外への資金流出は強烈だ。野村総合研究所がまとめた公募投信の資金動向によると、5月の推計純設定額は海外株式が2827億円、海外債券が1207億円、海外ハイブリッドが7378億円と高水準を維持。財務省が集計する対外対内証券投資でも、大半が個人マネーと見られる投信業者の外国株と外債、証券の外債買い越し額の合計額は1―5月で5兆2679億円と、毎月1兆円超のマネーが海外へ流出していることが明らかになっている。
<外為証拠金取引、円安の一因に> Continued...
個人投資家の人気を集めている外為証拠金取引も、円安を支える一因として存在感を増している。例えば個人投資家に人気の高いニュージーランド・ドル/円は、NZ中銀が介入を実施した12日、92円後半から90円後半まで一気に2円近く急落したものの、13日には個人や投信と見られる向きの買いを集めて91円後半まで値を回復した。「介入直後に買い向かうなんて」と驚くプロのディーラーを横目に、個人投資家が高金利通貨の押し目買いに動き、値を支えた。
証拠金取引の動向を集計している東京金融先物取引所によると、NZドル/円の証拠金取引の建玉数量は12日、5億3713万NZドルと、前週末9日の3億2444万NZドルから急増。同取引所が公表しているデータによると、1日の増加幅としては、2005年10月24日のNZドル/円上場以来最大となった。
<米資産下落でリパトリ、ドル買い手掛かりに>
ドル/円の上昇には、日本だけの事情ではなく、ドル買いの側面を指摘する声もある。ドル買い手掛かりのひとつは、米利下げ観測の後退をきっかけに続いている米金利の上昇。日本時間13日午前の取引では、米10年債利回りは5.31%まで上昇し、5年ぶり水準を更新した。金利の急上昇(債券価格の急落)やこれを受けた株安連鎖によってリスクを縮小する動きが出ている、との指摘がある。新興国などグローバルに投資しているファンド勢が一時的に資金を米国に還流(リパトリエーション)させている。
米金利の上昇が予想以上の速さで上昇しているため、企業業績など米景気に悪影響を及ぼす可能性が懸念され、米国株は最高値を更新した1日以降、伸び悩んでいる。英国や欧州などの株式にも波及し始めているため「投資環境の悪化を受けてヘッジファンドなどがポジションを縮小し、その運用資金を米国に回帰させている」(香港上海銀行・外国為替営業部長の花生浩介氏)との声が出ている。
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