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2007年06月13日
経済の話。世界の金利上昇と円キャリー取引の拡大懸念
昨日は投資顧問会社のスティール・パートナーズ代表、ウォーレン・リヒテンシュタイン氏が会見を行いました。自身はグリーンメーラーではない、敵対的買収者ではない、として「日本の経営者を教育しに来た」と述べていました。
ただしこれまでの手法から、この投資会社はすでにアクティビストとの評価が日本では定着してしまいました。確かに日本の経営者の中には、自己保身に走るのみで真っ当な経営すら出来ない人物が多いのも事実ですが、今回の会見の高飛車の様子などを見ると、日本的感覚は理解できていないようにも感じます。よほど献身的に企業再生に力を貸すなどしないと、企業イメージを払拭することは出来ないのでしょうね。
先週、世界の金利上昇について言及しました。今週に入ってもその流れは止まらず、米国の長期金利は政策誘導金利である5.25%を越えてきました。米国では長期金利が5.8%を越えると、今年に入ってからの株価上昇分を全て吐き出す、と分析する証券会社もあり、更に6%まで行くのでは、との予測もあることから予断を許さないところではあります。
これを景気への過度な不安が解消された良い金利上昇、と述べる人もいますが、今日になって少し微妙な動きがありました。それは為替相場で円が対ドルに対して、122円台半ばにまで到達し、4年半ぶりの円安水準になったことです。
私は一年以上前から円キャリー取引に警鐘を鳴らしていましたが、これは金利の安い円で資金を調達し、それを金利の高い諸外国で運用に回す手法です。今日、為替相場が急激に円安にふれた流れは、各国の金利上昇が影響し、円への借り換えが起こっているのではないか、そうした懸念があります。
日本の金利も1.9%後半まで上昇していますが、政策金利との乖離は実に1.5%近くになりますから、このまま更に上値を追うのは厳しい環境です。一方で欧米の金利は更に上昇する可能性がありますから、安全性を考えても資金調達先を円にしようと考えるのが、自然な流れなのです。
しかも今回円キャリーが拡大する流れは、確実に日本に負の影響を与えます。何故ならそれらは短期資金であり、手仕舞いが進むと一気に円高にふれる可能性があるからです。日本が円キャリー取引を許してしまうほど低い金利に抑えてきたツケは、いつか負の遺産となって日本に降りかかることでしょう。
世界は過剰流動性を背景にした株買い、債券買いという最高の状態を享受してここまで来ました。今、慌てて債券売りをしているのが如何なる層かは推測するしかありませんが、世界のマネーフローは確実に変わり始めています。これが更に大波になるのか、そうでないのかだけはきっちりと見極めないといけませんね。
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/