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【社説】地価上昇 『神話』の復活に注意を【東京新聞】2007年6月13日
今年の土地白書は「市場の変化」を取り上げた。公示地価が十六年ぶりに上昇しその主因は不動産の証券化にあるという。国民意識も再び値上がり期待感を強めている。価格など注意が必要だ。
バブル崩壊後ずっと低迷していた全国の地価は今年、上昇に転じた。国土交通省が発表した今年一月の公示地価は住宅地が前年比0・1%増、商業地は同2・3%増となった。企業や個人の土地・住宅取得が増加し国内外からの不動産投資も活発だった。
不動産投資は「証券化」が原動力となった。投資法人が証券を発行して資金を集めて高収益が期待できる土地やオフィスビルなどに投資し、賃貸収入や売却益などを投資家に配分する仕組みだ。白書は「新たな買い手の登場で優良な都市ストックの形成にもつながる」と評価する。
この手法により不動産は利回りで判断できる金融商品となった。二〇〇六年度の証券化投資額は約七兆八千億円と過去三年間で二倍近くまで急増した。白書は今後地方都市の活性化などで、こうした資金の活用を取り込む必要があるとしている。
たしかに土地利用を高め地域経済を再生させるには、投資法人やファンドなどを活用することも一つの手法だろう。だが課題も多い。
昨年以来、証券化業務に関して米大手信託銀行や国内投資法人などが金融庁から相次いで処分を受けた。法令違反の建物を投資対象にするなど適正な審査が行われなかったことが理由だ。これでは市場は信用を失い、投資家は不当な損害を被る。投資法人などへの監視が必要だ。
一方、白書は国民の土地に対する意識の変化を明記している。
「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」との質問に対して「そう思う」と回答した人の割合は36・6%と三年連続して増加した。逆に「そうは思わない」とする回答は35・6%と減少した。今後の地価見通しでも「上昇する」が33・0%と二年連続で増加する一方「下落する」は24・0%と減少している。
企業への意識調査でも土地所有について「今後所有が有利」との回答が41・2%と増加傾向にある。国交省は「地価は上昇し続けるという土地神話は崩壊した」と強調するが、国民や企業の本音は値上がり期待を強めているのではないか。
わが国の土地政策が地価抑制から土地の有効利用促進に転換して久しい。利用促進には取引の公正さと透明性の確保が不可欠だ。国や自治体は売買価格などをしっかり調べ、情報を積極的に公開すべきである。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007061302023706.html