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http://business.nikkeibp.co.jp/article/reuters/20070611/127057/
［東京 １１日 ロイター］ ２００７年１─３月期の実質国内総生産（ＧＤＰ）が１次速報値から上方修正され、エコノミストの間では、１次速報値の発表時に浮上したような設備投資の先行きに対する極端な悲観論が後退している。ただ、設備投資の減速基調を予想する見方は依然として根強く、０７年度成長率を抑制する要因になるとのこれまでの見方に大きな変化はない。
＜０７年度設備投資見通し、上方修正の動きも＞
総務省が１１日に発表したＧＤＰ２次速報は、前期比プラス０．８％（年率３．３％）となり、１次速報のプラス０．６％（同２．４％）から上方修正された。上方修正の主因は設備投資。１次速報での前期比マイナス０．９％から、プラス０．３％に修正された結果、５四半期連続の増加となり、設備投資が依然として景気押し上げに寄与している姿が確認された。
これまで設備投資の見通しは、ＧＤＰ１次速報で５四半期ぶりのマイナスに転じたことや、設備投資の先行指標である機械受注の４─６月期見通しが前期比マイナス１１．８％と大幅な下落となったことなどから、悲観論が強まっていた。
しかし、今回のＧＤＰ２次速報で悲観論はかなり緩和されたようだ。民間エコノミストからは「設備投資に対する過度に悲観的な見方は後退する可能性が高い」（第一生命経済研究所の主任エコノミスト・新家義貴氏）、「０７年度も設備投資主導の回復となるがい然性が高まった」（モルガン・スタンレー証券のエグゼクティブ・ディレクター・佐藤健裕氏）との声が多く聞かれた。佐藤氏は０７年度の設備投資見通しをこれまでの３．７％増から４．８％増程度へと上方修正するという。
４─６月期の機械受注見通しも「（前期比）小幅マイナスから横ばい」（ゴールドマン・サックス証券・シニアエコノミストの村上尚己氏）程度になるとの見方が多い。民間エコノミストによれば、４─６月期見通しは例年低めで、実績は見通しを大幅に上回ることが多いという。０６年度４─６月期についても、見通しは前期比マイナス２．５％だったが、実績はそれを大きく上回るプラス８．９％だった。
＜設備投資の０７年度減速見通しは変わらず＞
ただ、エコノミストの間では「（ＧＤＰの設備投資が）プラスになったとはいえ、減速していることに変わりはない」（農林中金総研・主任研究員の南武志氏）、「かろうじてプラスを維持したが、昨年の２％台半ばの拡大ペースからは減速している」（大和総研・シニアエコノミストの牧野潤一氏）との指摘が目立つ。０７年度の設備投資は、０６年度のプラス７．９％には及ばないとの見方が依然多いようだ。
四半期の動きをみても、０６年１─３月期の前期比プラス４．０％、４─６月期のプラス２．９％などと比較すれば、鈍化傾向は否定しがたい。１─３月期の設備投資も、プラス幅が小幅なことから「（４─６月期ＧＤＰ発表時の）季節調整次第では、１─３月期（設備投資）が再びマイナスになる可能性は否定できない」（南氏）と慎重な声もある。
４−６月期の設備投資についても「前期比プラスになるかは微妙なところ」（三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉氏）、「前期比プラス達成は難しい」（大守氏）など慎重意見が少なくない。
その背景として、宅森氏は機械受注の４月分が前期比プラス２．２％と弱め（市場予想はプラス４．５％）だったことを指摘、大守氏は鉱工業生産がこのところ強くないことを挙げている。
大守氏は、ＧＤＰ２次速報を受けて、０７年度設備投資見通しを「５％程度」に上方修正する予定だが、２次速報の結果を「でき過ぎ」と評したうえで、「（設備投資は）そろそろ減速局面に入りかかっている」と指摘した。
設備投資減速の景気への影響について南氏は「今年度前半の設備投資のスローペースに合わせて、年度前半は景気も足踏みする」と予想した。
また、日銀の展望リポートで予想されている企業部門から家計部門へのバトンタッチについて大守氏は「可能と思うが、最近心配になるデータもでている」と述べ、その例として、４月賃金や５月景気ウォッチャー調査が弱かったことなどを挙げた。同氏は「（こうした弱い動きに対する）見極めの時間が必要。それを無視して利上げできる環境ではない」と述べた。
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