★阿修羅♪ > 国家破産50 > 713.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□日本ビクター 名門復活の道のりは遠い? [J-CASTニュース]
http://news.livedoor.com/article/detail/3191844/
日本ビクター 名門復活の道のりは遠い?
2007年06月08日11時18分
日本ビクターが13年ぶりに生え抜きの社長が誕生する役員人事と、「自主再建」を掲げる経営再建策を2007年5月30日に発表した。6月27日の株主総会で親会社である松下電器産業出身の寺田雅彦社長と、同じく同社出身の2人の取締役が一斉に退陣して、ビクター生え抜きで営業畑が長かった佐藤国彦専務が新社長として陣頭指揮をとることになる。
しかし、国内外での競争激化や商品の価格下落に苦しむ中で、「再建策は新味に乏しく、踏み込み不足」との見方もあり、名門復活の道のりはなお厳しい。
松下電器との親子関係を解消へ
ビクターの再建を巡っては、松下電器が保有するビクター株約52%を米投資ファンドのTPGに売却する方向で交渉に入っている。だが、業績に比べ株価が高水準で推移していることや、松下電器との今後の関係などの条件面で折り合っていない。
ビクターはその最中に、社長人事で松下との親子関係を解消し、売却交渉が成立した場合にTPGから突きつけられるであろう厳しいリストラを見越して、実現可能な企業価値向上策を前出しした形だ。
寺田社長は退陣と再建策を発表した記者会見で、AV(音響・映像)事業の競争に対応が遅れて04年度以降、業績不振を招いた責任を認めつつ、「今後の打開の道筋を作れたことで後進に道を譲る」と述べた。
再建策は、早期退職の募集などで約1000人の削減や記録メディア事業の分社化、VHSビデオ部品など2事業からの撤退により、単体ベースで6490人の社員を08年3月末に約4700人に圧縮するのが柱となっている。液晶テレビやデジタルビデオカメラなどAV機器を中核事業と位置付けて販売を強化し、08年3月期には営業利益150億円と、07年3月期の57億円の赤字から黒字転換させるとしている。
VHSビデオの成功体験から抜け出せず
かつて家庭用ビデオの世界標準を勝ち取ったVHSを生み出したビクターは技術重視の気質が強く、「VHSの成功体験から抜け出せず、最近のAV商品のデジタル化の対応に遅れた」(関係者)。次期社長の佐藤専務も「ビクターは、技術はすばらしいけれど、マーケティングが弱いといわれてきた。二つを両立させ、成長の原動力にしていきたい」と「営業重視」への転換を強調した。
不振の原因は売上高の4分の3を占める家電事業だ。安くて大型画面が売りのリアプロジェクション(背面投射型)テレビは基幹部品を自社開発するなど力を注いできた。だが、薄型テレビの販売競争に巻き込まれ、主戦場の北米でプラズマテレビの低価格攻勢をかけられて落ち込んだ。
倍速表示機能をいち早く搭載した液晶テレビも、技術の優位を販売拡大につなげられないうちに、ソニーやシャープが同機能を採用した商品を投入してきた。それでも欧州中心に販売を強化し、前年度比6割増の年間130万台を目指しているが、生産規模が小さいビクターにはコストの競争は荷が重い。
「ビクターの城はビクターの人間が守る」
現社長の寺田氏はビクターの立て直しに松下電器から送り込まれてきたが、「ビクター生え抜き幹部と意見対立がある」とささやかれた。その一方で、「ビクターで自主独立を口にするようになり、親会社との間でずれが生じ、売却話が進まない一因にもなった」との観測もある。今回の社長交代は再建の行方にどう影響するのだろうか。
寺田社長は「若い力中心の新体制で自主再建を実行してくれると確信している。株主は大事だが、資本関係と経営の話は別だ」と話す。佐藤専務も「ビクターの城はビクターの人間が守る」といい、現社長と次期社長が「再建は自力」でと口を揃えている。
松下電器を離れ、売却交渉が成立してTPGが過半数の株式を握った場合に、「自力再建」をどこまで貫けるのかは、先行き不透明だ。