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世界的に景気強気派に勢い、相場観修正の動き【世界日報】
【東京 4日 ロイター】 日米で発表された経済指標が相次いで経済の堅調さを示す内容になったことで、市場では、景気強気派が勢いづいている。グローバルに投資活動を行うヘッジファンドなどは株買い/債券売りのポジションをあらためて構築している、という。中国の株式市場は4日も大幅安となったが、主要国の市場には波及しない、との見方が定着しつつある。
国内市場では、長期金利の1.8%乗せ、日経平均の1万8000円視野で相場観を修正する動きも出ており、目先的には、ともに慎重ながら上昇余地を探る、との見方が出ている。
<米金融政策見通し、ほぼ中立に>
「タイト、タイト、タイト」。米国経済を強気に見るバークレイズ・キャピタル証券は、1日の米経済指標が好調な経済実態を示したとして、このようなタイトルでレポートを出した。バークレイズでは1─3月期の米国内総生産(GDP)が下方修正されたものの「4─6月期の成長率は著しく回復しており、ひっ迫している労働市場には一段の引き締まりが予想される」とし、インフレを主要な政策懸念ととらえている米連邦準備理事会(FRB)の姿勢を考えると、年内の利上げ予想見通しが補強されたと強調した。
米国のプライマリーディーラーのなかでも同社は次のFRBの一手を「9月の利上げ」とするなど少数派の立場にあるが、市場全体でみてもFRBの金融政策に対する見方は急速に修正されている。
シカゴ商品取引所で取引されているフェデラルファンド(FF)金利先物をみると、2週間前に80%の確率で年末までの利下げが織り込まれていたのが、1日には18%にまで縮小した。FF金利先物を金利水準にすると、12月限が5.215%、1年後の08年6月限が5.145%と、金利の下方カーブもかなりなだらかになっており、2月下旬の世界的な株安時にみられた年内2回の利下げ織り込みとは様変わりだ。
歩調を合わせる形で米国の長期金利は上昇基調を強め、1日には4.96%と5%突破が視野に入った。
ある国際金融筋は、金融市場の動きについて「市場は必ずオーバーシュートするので、近いうちに、米国の金融引き締めを織り込むような相場展開になることも十分考えられる」と指摘する。
<3極で同時進行する金利上昇、本格反転には時間>
日米欧で同時進行する金利の上昇は、経済の状況だけではなく、市場心理も影響しているだけに本格反転するには時間がかかる、との見方が多い。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、現在の債券市場の地合いについて「利上げ観測を強める方向の強い経済指標には十二分な反応をせみる一方、利上げに逆風になる指標には感応度が弱まるという傾向がある」と指摘する。
米10年債だけではなく、市場では、ドイツ連邦債の利回り上昇も気がかり要因だ。独10年物利回りは直近で4.461%と2003年12月以来の高水準を付けた。3月中旬からの上昇幅は50ベーシスポイントにもなる。
4日の東京円債市場でも、売りが引かず、先物・現物ともに一段と売られた。10年最長期国債利回り(長期金利)は1.8%に上昇、06年10月以来約7カ月半ぶりの水準になったほか、5年利付国債利回りも約10カ月ぶりに1.4%に上昇した。
ここまで金利上昇が続くようだと、市場参加者の相場観にも影響を与えてくる。ドイツ証券チーフ債券ストラテジストの森田長太郎氏は、5月下旬からの相場の調整を通じて、中長期的な長期金利のレンジは既に完全に修正されたとの認識が次第に強まってくる可能性がある、と指摘する。
多くの円債市場参加者が意識するレベルは2年債1%、5年債1.4%、10年債1.8%だ。5年と10年はこの水準をワンタッチしたことになる。日興シティグループ証券チーフストラテジストの佐野一彦氏は「押し目買いが入った感もあり、米金利上昇を受けた円金利の上昇はひとまず止まった印象」としたうえで、5日の10年債入札に関連して「入札結果が満足できる内容であれば、長期金利は1.7%を目指す展開。入札が崩れた場合でも、長期金利は1.85%近辺でサポートされて戻ると予想する。外部要因を勘案しても1.9%に上昇する展開は想定しづらい」と読む。
ただ、ある金融機関の債券運用担当者は「きょうは10年債の利回りは1.8%で上昇がとまったが、この水準を超えてくるようだと損切りの売りがかさんで、金利上昇スピードが加速することもあり得る」と警戒する。
ファンダメンタルズ面をみても、けさ発表された1─3月期の法人企業統計で設備投資(全産業ベース)が前年同期比13.6%増と市場予想を上回り、1─3月国内総生産(GDP)2次速報が上方修正される可能性が高まっており、神経質な地合いは続きそうだという。
ロイターが民間調査機関の予測をまとめたところ、同2次速報の予測中央値は、前期比プラス0.8%、年率プラス3.1%と、1次速報値(前期比プラス0.6%、年率プラス2.4%)から上方修正される見通しだ。
<株式市場、金利上昇ペースに関心>
金利の上昇は株式市場にとっては悪材料になるが、景気が拡大している局面では、波乱要因にはなりにくい。「日本の株式市場にとって現状では、米国の株価が上昇している限り、長期金利上昇は、大きなマイナスとはならない」(新光証券・エクイティ情報部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏)という見方が多い。
第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏は、株価への影響は長期金利の上昇スピード次第、と説明する。同氏によると、EPS(1株当り利益)でみた場合、今期は10%程度の増益が見込め、日経平均にすると2万円の水準が視野に入り、長期金利の上昇を勘案しても、1万9000円は十分射程内だという。そのうえで、嶌峰氏は「企業業績の拡大と景気拡大による長期金利の上昇は想定できること。株式にとって問題になるのは、長期金利の上昇ピッチが速まって、そのマイナス効果が業績拡大の期待感を上回った時だ」と指摘する。
中国株式市場の下落に関しては、売り要因には違いないものの、中国固有の問題との認識が広がっている。4日も上海総合株価指数は8%以上下げて5月29日の高値からの下げは15%程度に及んだ。ヘッジファンドの動向に詳しい草野グローバルフロンティア代表取締役、草野豊己氏によると、2月の連鎖株安の後、ヘッジファンド勢は新興国から米国の大型株に投資資金をシフトさせてきたため、中国株安で浮き足立つことはなくなった、という。
ただ、草野氏は、米国の株高は、M&Aや自社株買いによる株式の吸い上げや低位の長期金利に支えられてきた面が大きく、経常赤字問題がクローズアップされ、ドル安による輸入インフレ懸念が高まるようだと長期金利の急騰につながり、株式にも激震が走る、と警告している。
2007/06/04 17:54
http://www.worldtimes.co.jp/news/bus/kiji/2007-06-04T175403Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-262697-1.html