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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu144.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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現在、すでに、米国の2月〜4月の小売売上の低迷で、中国の
沿岸部の工場は、操業度を低下させているはずです。吉田繁治
2007年5月31日 木曜日
◆過熱抑制策受け6.50%安=世界同時株安以来の下落率−上海株式 5月30日 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070530-00000137-jij-int
【上海30日時事】30日の中国・上海株式市場は、中国当局が株式投資の過熱を抑える具体策を打ち出したことを受け、大きく値を下げた。市場全体の値動きを反映する上海総合株価指数は一時、前日終値比7.37%安と4000割れ寸前まで急落した。終値は同6.50%安の4053.088。下落率は世界同時株安のきっかけとなった2月27日の下げ以来、最大。
◆2007年5月のNY紀行(2) 5月28日 ビジネス知識源 吉田繁治
http://blog.mag2.com/m/log/0000048497/
資源の高騰で、日本の三分の1と安かったガソリン価格が、3倍に(1ガロン(3.8リットル)=$3.2)に上がりました。排気量の多い車を、最低でも2台はもつ米国では、ガソリンは必需です。買い物でも、少なくとも30分は車で走る。必需のものが3倍に上がれば、家計は、次第に苦しくなります。
2000年代は、住宅の値上がり分(1年で200兆円:10%の価格上昇)のうち100兆円は、ホームエクイティ・ローンとなって借り入れられ、使途が自由の、資産所得となっていました。このローンが、2000年代の消費を盛り上げてきた最大要因です。
ところが住宅価格が下がると、ローンを目いっぱい借りていた世帯の財政は、暗転します。全米の50%に相当する5000万世帯は、多かれ少なかれ、住宅ローンを借りています。
住宅ローンの残高は1000兆円を超えています。5000万の世帯が平均で2000万円の住宅ローンを借りていると言えば、具体イメージができるでしょうか。都市部では、5000万円平均でしょう。
(注)米国では、住宅金融の発達があります。米国では、住宅ローン証券(モーゲージ証券〕の売買市場が、国債市場より大きい。日本の政府部門の負債1000兆円に匹敵するのが米国の、住宅ローン残高です。
米国では、追加の担保が出せず、わずか3ヶ月ローン返済が遅れれば金融機関は「抵当権の執行」、つまり追い出して「Sale」の札を出し、競売を執行します。
金融機関のローン契約は厳格です。契約を変える日本とは、事情(文化)が違います。(注)わが国では、契約の執行にあたっては、事情の斟酌がありますね。
米国では、(1)健康、(2)資産、(3)職のどれかが崩れれば悲惨な境涯が待つ国です。これが3条件です。病気にかかれば、医療費は、わが国の2倍から3倍高い。住宅の純資産(=時価―負債)がないと3年に一回職を変わるときの頼りがない。職は、ワーカーの平均では生涯で11回変わります。
(中略)
米国は日本と異なり、まだ、急速な高齢化や人口の減少はない。消費意欲は、極めて旺盛な国です。
貯蓄を後回しにしても、車、アパレル、住関連商品、食品を買う。寿司バーは、NYではもう、普通のものです。食品スーパーでも寿司ロールを売ります。ただし日本のものとは別の料理と見なければ、変な気分になります。
金融関係者だけは、まだ株や債券が下げてはいないので、空前の高い所得です。しかし、一般消費者の、住宅による資産効果は、なくなってしまったのです。そのため、住宅、車(GM、フォード、クライスラー)、そしてホームデポの住まい関連、ウォルマートの生活必需と食品と、順に、低迷が及んでいます。
消費の伸びの停止(または減少)が、一時的なものであり、夏になれば、回復するかどうか?住宅価格が再び上がらない限り、それはない。じゃ、住宅価格は更に上げるか? 無理に思えます。
逆に[住宅価格の下落または停滞による家計の逆資産効果]→[消費景気の低迷]→[企業の純益の減少]→[株価の下落]となる可能性が高くなっています。
■3.世界からの100兆円/年の資金流入はどうなるか?
日本は、米国からの要請があれば、政府が義務的にドル債券を買って来ました。防衛を米国に依存し、輸出市場を米国に頼んできたからです。
今、米国で必要な貿易赤字を埋める資金100兆円には、日本だけのドル債券買いでは、まったく不足します。今は、(1)中国、(2)英国、(3)スイス、(4)ロシアが、ドル債の増加買いを、続けねばならない。一回の100兆円分でなく、毎年、米国は100兆円が必要だからです。
中国のドル買いは、貿易黒字によるものです。しかし英国とスイスの資金は、アラブのオイルマネーの預かり金の運用です。ロシアは、米国に対し微妙なスタンスをとっていますが、その資金源は、原油と天然ガスの輸出による黒字です。世界がその余剰マネーで、米ドル債を買ってきた理由は以下です。
(1)米国の金利が自国より高い。
(2)企業の純益が好調である。
(3)株も高い水準を維持している。
根源は、米国の企業収益の好調、純益の大きさでした。背景には、店舗の既存店売上が4%〜6%、新規店を含めば7%も売上げが増加する経済があったからです。その資金が、資産効果と借金であった点が、米国のアキレス腱です。
<米国経済の15年目の消費の停滞>という、世界からの新たな認識が加わればどうなるか?
(1)中国、(2)英国、(3)スイス、(4)ロシアは、米国の債券を売り、ユーロにシフトする可能性が高くなります。そうなると相当なドル安でしょう。
売る理由は、損をするからです。株や債券は、金融市場で売りが超過すれば下がりますから、損を回避するには、先を争うことになる。そのため、穏やかでない、ハードランディングの急落が起こってしまいます。これらは一瞬で起こる。
今、世界の金融資産(=別の人の金融負債)、株、債券市場は、膨らみ切っています。総額で1京5000兆円です。そのため、世界の政府、中央銀行は、セーフティネットを張ることができない。先進国蔵相会議(G5)は、市場が巨大になりすぎていて、かつての力をもたないのです。
1日数兆円、数十兆円を投入しても、ヘッジファンドの元本200兆円(1000本)の動きに、勝てない。ヘッジファンドは、預かり元本の200兆円にレバレッジ(信用借り)をかけ、運用総額は600兆円にはなっているでしょう。1000本の平均が6000億円の運用なら、全部で、600兆円になります。
その総本山が、このNYです。
■4.中国の工場生産に、ダイレクトに波及する
米国の消費の減退で、最初に企業の売上数字が落ちるのは、中国の沿岸部の輸出工場です。小売業は売上が低迷すると、在庫の積み増しをやめます。逆に、店舗在庫を減らす。
7%売上が伸びていた時期は、在庫も7%増やします。売上の伸びがゼロになると、急に、在庫過剰になる。そのため、仕入れは10%以上、時には20%減ります。
現在、すでに、米国の2月〜4月の小売売上の低迷で、中国の沿岸部の工場は、操業度を低下させているはずです。その数字が現れるのは、3ヵ月後ですが・・・
中国(及び香港)からの米国への輸出は、06年で$3000億(36兆円)にのぼると推計されます。(注)中国の輸出統計では、香港への出荷の行先の多くが米国ですが、それを香港への輸出としていて、対米輸出は少なく現れます。
36兆円の商品生産は、中国人のワーカーの平均年収を20万円としたとき、雇用の1億8000万人分の労働に相当します。米国の中国輸入の関係者は800万人とされますが、その1人の裏に、22人の中国人ワーカーがいます。
36兆円の対米輸出が、米国店舗の売上低迷で、07年に一時的にせよ20%減れば7.2兆円の減少です。これは中国の工場ワーカー3600万人分の雇用(または失業)に相当します。何事においても、中国は日本の10倍です。
米国の店舗の売上減少は、ほぼリアルタイムで、インターネットでの発注通じ、サプライチェーンの出荷元(中国の工場)に波及します。ウォルマートの商品でもっとも多いのは、中国製です。
ウォルマートの在庫管理法は、ノンフーズ(非食品)では、売上の4週分〜6週分です。売上が伸びなければ、契約上、サプライヤーは在庫を減らさねばならない。
中国の工場にとって、ショック的な、出荷額の減少になります。全米の販売シェア10%のウォルマートだけではなく、当然、他の店舗からの発注も急減します。NYの店頭に立ち、棚の商品を観察しながら、思いは、中国の工場に飛びました。どこで作られた商品か、ラベルを見れば誰でもわかります。
米国の貿易赤字と中国の輸出が、2000年代の世界経済の牽引車でした。そのため世界の経済成長は、07年のGDP成長で5%と、極めて高く見込まれています。中国は9.7%、米国は2.7%です。(注)参考のために言えば日本は2.2%です。
2006年まで、4%〜6%も増えていた米国の既存店ベースの売り上げ増が、07年2月〜4月の四半期でマイナス2.4%になったのは、なんらかの異常値か、あるいは、07年を象徴するのか?
米国の世帯の借金の増加、つまり1年100兆円による消費景気の終わりに思えます。米国の経済マスコミは、米国経済を支えてきた消費の増加が、世帯の借金の増加のためだったとは、あまり言わない。でも世帯を預かっている主婦は知っているでしょう。
世界経済は、史上空前の景気と言われます。その中心だった米国では、3ヶ月前から店舗売上は低迷です。どう判断しますか?なにしろ、15年です。15年も続いたこと(米国の消費景気)についての認識修正には、時間を要します。米国の世帯は、1000兆円の借金(ローン)で、家計のバランスシートの修正をしなければならなくなってきたのです。
(私のコメント)
現在の世界経済はあちこちに亀裂が走り、不気味な地鳴りがあちこちから聞こえてくるような状況です。世界のファンドマネージャー達は生き残りをかけて最後の一勝負を挑んでいるのでしょうか? ニューヨーク株式の最高値更新は売り逃げる為の「買い」なのでしょうか?
アメリカ経済の変調を一番真っ先に反映するのは、アメリカ企業の下請工場になっている中国経済でしょう。アメリカのウォルマートに並んでいる商品の多くは中国製であり、アメリカの消費景気の変調はダイレクトに中国の輸出産業を直撃する。
2月末の世界同時株安は中国の上海市場から始まりましたが、これもアメリカ経済の変調を敏感に感じ取ったファンドマネージャーが売りに出したものでしょう。しかし強気な株式投資家ももたくさんいるから上海もニューヨークも株価は過熱状態だ。
先週アメリカのグリーンスパン前FRB議長は上海株式の暴落必至だと発言しましたが、アメリカ国内の消費の変調を見てのものだろう。エコノミストの中にはアメリカ経済に占めるサブプライムローンの比率は高くないとして強気な見方がありますが、アメリカで現在起きていることは80年代に日本で起きていたことと同じだ。
住宅価格の値上がりがローンを通じて消費にも影響を与えてきた。日本の場合は三重野日銀総裁がバブルを潰すと言う事で金利の引き上げを行い、大蔵省も不動産の総量規制を行い、一気にバブルを潰しましたが、いったんバブルが潰れると金利を下げても、総量規制を解除しても元には戻らなかった。
グリーンスパンは日本のバブルの崩壊をよく見ているから金利を非常に微調整しながら上げてきた。さらにアメリカ政府はイラク戦争を行なって毎月1兆円もの戦費を使って「公共事業」で景気を支えてきた。それに対して日本では公共投資は無駄だと言うマスコミの大合唱で、小泉政権は公共投資を削り、途方交付税をカットして地方経済を潰してしまった。
アメリカ政府は中国の元の切り上げを求めてきましたが、80年代の日本への円の切り上げ圧力に比べると非常に寛容だ。これは日本がアメリカの下請工場ではないのに対して、中国経済はアメリカの下請工場化しているからだ。だから元の切り上げはウォルマートなどの米企業の利益にならない。
吉田繁治氏が書いているようにアメリカは現在毎年100兆円もの金を借りながら金を使っている。貸しているのは日本はもとより中国、英国、スイス、ロシアですが、日本を除けばドルが値下がりすると見ればドル債券を売り飛ばしてユーロにシフトする事でしょう。そうしなければファンドマネージャーは背任罪で捕まるかもしれません?
アメリカ経済は今のところ好調だからニューヨークの株価も新高値を更新している。ユーロの対するドル安もアメリカ企業の輸出にプラスして業績がいいからですが、消費の頭打ちが徐々にボデーブローのように効いて来て、企業業績の低下となり、株式の暴落となって来るだろう。住宅もダメ、自動車もダメ、一般消費もダメとなれば企業業績が良い訳が無い。
最後に残るアメリカの切り札はグリーンスパンが徐々に高めてきた金利がありますが、金融を緩和すればアメリカのバブル崩壊は防げるという見方もあります。しかし金利を下げればドルも下がり、アメリカに還流していた資金は逃げ出すかもしれない。バーナンキFRB議長は非常に難しい判断を迫られる。