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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu144.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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日本、中国、そしてアラブが、ドルを基軸の「貨幣錯覚」で
損をしていることに気が付ければ、世界の経済は一変します。
2007年5月27日 日曜日
◆5月のNY紀行 5月26日 ビジネス知識源 吉田繁治
http://blog.mag2.com/m/log/0000048497/
■2.秘密は「ドル安(=円安)」だった
にもかかわらず、ここ数年、NYの物価は、感覚ではすべてが50%は高い。ふと気が付いたのですが、米ドルは、2000年以降の7年で、ユーロに対し50%〜60%も下げています。これは、当たり前のことの実感です。
2000年以降は「50%から60%のユーロ高(=ドル安・円安・元安)」でした。
為替の交換レートは相対的です。ユーロの実質価値(=購買力)を一定と見れば、米ドル側が価値を減らしたことになります。日本と中国は、経常収支の黒字で、米ドルを買っているので、ドルと連れて安くなっています。
あぁ、そうだ。「モノとの関係では、ドルが50%安くなった」
米ドルに連れ、円の国際的な実質価値、言い換えれば「海外での購買力」が低下した。
ドル紙幣には、Federal Reserve Note(連邦預金準備局が発行した証券)と書いてあります。紙幣も、証券です。連邦預金準備銀行(FRB)の信用を背景に、発行した小切手です。
ユーロ高ではなく、本当は、ドル安・円安だったと実感しました。そのため、資源・エネルギー価格も、大きく上がったように見える。
ユーロを中心に見れば、50%の資源価格の高騰分が、ゼロになります。もっと言えば、2倍になったゴールド〔金〕の価格を基準にすれば、世界の資源も、米国の物価もさほど上げていません。
国際商品(貿易対象になる商品)の価格が、実質的な価値(購買力)下げた米ドルで表示されるから、円で見ると高くなったように見える。円とドルはほぼ同じ動きをしています。
NY(マンハッタン)の物価が、国際比較でのドル安に連れ、高くなったと考えればいい。ドルを買いドルとの交換レートを一定に保った円も、購買力が減った。
NYのホテル価格や物価は、国際的な価格と品質の水準を、反映します。ここは「国際」です。
共通言語(標準語)を米語とする経済特区と言っていい。それくらいヨーロッパ、中南米、アラブ、アジアと、NYの行き来は激しい。NYとロスは、米国ではなく国際都市と行った人の言葉を思い出します。
金融(モルガンスタンレー)や会計事務所(アーネスト&ヤング)が集まるタイムズスクエアの街の雑多さは、上海、シンセン、新宿、香港、シンガポール、ロンドンに似ています。SOHOは原宿でしょうか。
世界の大都市は、今、どこも平準化しています。歩く人の人種と服装にすこしの特徴があるだけです。
世界経済の実体は、以下のような関係でしょう。
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・ユーロ=購買力が一定
・米ドル=購買力が50%低下
→NYのホテルの料金や物価は50%高騰
・日本円=米ドルに連れ国際的な購買力が50%低下
→NYの諸物価が高く見える
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このことに、新しくできたロックフェラーセンター・ホテルの料金で気が付いたのは、収穫でした。何事にも成果はあります。$400で、この発見を「実感として」得ました。
重要なのは数字への実感。
われわれは無意識に、ドル基軸の基準で、世界を見ます。ユーロを基軸にして見れば、経済は異なって見える。
【ユーロ基準で見れば】
ドイツ・フランス・北欧の旅行者、そしてユーロとその価値がほぼ比例して動く英ポンドから見れば、上がったNYの物価は、2000年とほぼ変わっていません。ロンドン、パリ、ベルリンより安いとすら思えるに違いない。
【円基準で見れば】
円で見れば、例えば、マンハッタンの約70平米のアパート(スタジオ)の、月間家賃の$3000(36万円)は、いかにも高い。
2000年代に1年で8%〜10%も上がり、7年で約2倍になっているからです。(1.1の7乗≒2倍) 住宅価格も、年10%で上げています。
■3.貨幣錯覚
経済(つまりモノの交易、人の移動、金融)が、特に90年代以降、すっかりグローバル化したのに、必要な世界通貨がないため、われわれはケインズが言った「貨幣錯覚」に陥ります。
貨幣錯覚とは、例えば1万円の価値を、一定と感じることです。
1万円で買えるものの価値を一定(=貨幣錯覚で見る)とすれば、NYの物価は、50%は高くなったように見える。
賃金が5%切り下げれられれば大変だと思う。賃金の額が同じで物価が5%上がっても、意外に平気。両者は、経済的に購買力で見れば同じなのですが、貨幣錯覚がここでも働くからです。
今は、ニュージャージーのウォルマートの売価ですら、わが国の100円ショップより高く思えます。
▼重要な認識
米国の物価が、日本円で見れば、50%上がったように見える。これは、物価が50%上がったのではなく、本当は、1万円の価値が50%低下したと見なければならない。
ドルと円の紙幣に書かれた数字の価値(購買力)が50%低下したと見れば、実質価格は一定です。
$100の紙幣の価値が、購買力では$70になった。同じことですが国際商品について言えば、1万円が7000円の購買力に低下した。貨幣錯覚を抜けば、そう見えます。
ドルの価値(購買力)が下落した理由は、ドル債券の増発のためです。1年に約100兆円分、世界に向かって増刷されています。
【重要】
肝心な点は、ドルの通貨の増発でなく、$債券(国債・社債・株)の増発である点です。国債・社債・株も、換金性の高い通貨の一種です。
過去の通貨のようにM1やM2(預金統計)で計ることはできない。預金ではなく、それに加えるべき債券(国債・株・社債・ファンド)の総額をみなければならない。経済統計が遅れているのです。
例えば、世界の不動産価格と資源価格は、元本で200兆円を超え、レバレッジ(信用借り)でその数倍(600兆円)に膨らんで投機するヘッジファンドの動きで見なければならない。
これは預金統計には含まれない、事実上の通貨です。世界の預金+債券総額(国債・社債・株・ファンド)は1京5000兆円を超え、世界のGDP(4400兆円)の4倍にもなっています。
今、史上空前の、債券バブルがある。大会社の数兆円のM&Aが起こる理由でもある。株式交換ですから現金は要らない。企業の発行する株券が現金と同等に扱われます。
ドル債券を買っている主要国は、中国、日本、ロシア、サウジアラビア、ノルウェーです。買われるため、ドルが「国際通貨」とされます。
(注)英ポンドは、自国の通貨ではなく、ロンドンのシティ(金融街)がアラブから運用を預かったマネーでドルを買っています。
参考のため、世界の主要国の、最新の「経常収支」を示します。経常収支は、モノの貿易収支とモノ以外のサービスの収支を合計したものです。
■4.国際資金移動を示す経常収支
マイナスは赤字をプラスは黒字を示します。経常収支のマイナスはそのマイナスの分、他国から資金供給を受けていることを示します。プラスは、その逆の資金提供です。企業で言えば、経常利益のマイナスやプラスに相当します。
06年5月〜07年4月までの
経常収支(米ドル基準)とその主因(数値は英エコノミスト)
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米国 −$856億(103兆円:貿易赤字)
英国 −$ 80億( 10兆円:貿易赤字)
ユーロ合計 −$ 5億(600億円:ユーローは買われている)
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中国 +$250億(貿易黒字で、米$債券買い)
日本 +$185億(貿易黒字と受取配当で、$買い)
スイス +$106億(アラブマネーを預かって、$買い)
サウジアラビア+$ 95億(オイルマネーで、$買い)
ロシア +$ 86億(オイルマネーで、ユーロ買い)
ノルウェー +$ 56億(オイルマネーで、ドル買い)
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経常収支でバランスしているのは、4大通貨(米ドル、ユーロ、円、元では、ユーロだけです。
ドルに対し高くなったユーロは、実質価値が高くなったのではなく、2000年以降、通貨価値(購買力)を一定に保っていると見なければならない。英ポンドも、ユーロに似ています。
国際的に見て、実質の購買力が減り、安くなったのは、米ドル、円、元です。円と元は貿易黒字ですが、その分で、ドル債券を買っているので、ドルと同じ率で下げています。これが、ドルとの交換レートがほぼ一定という意味です。
【2000年代の7年】
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ユーロ・・・価値(購買力)が一定
米ドル・・・価値が50%〜60%下落
日本円・・・ドル買いのため、ドルに連れ50%〜60%の価値下落
人民元・・・ドル買いのため、ドルに連れ50%〜60%の価値下落
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こうやってNYのホテル・レストラン・店頭物価・住宅価格・家賃・賃金を見れば、納得できます。ドルや円でなく、ユーロで見ればいいだけです。
日本、中国、そしてアラブが、ドルを基軸〔基準〕にしているための「貨幣錯覚」で損をしていることに気が付ければ、世界の経済は一変します。
円の実力は、ドルとの関係では$1=80円(34%の円高)
元の実力は、ドルとの関係では$1=4元(50%の元高)でしょう。
(私のコメント)
この記事を読んでいただければアメリカにとって最も重要な同盟国は日本であることが分かるはずなのですが、政治的、軍事的に見てもアメリカにとっての日本の重要性は一番だ。経済面で限ってもドルを支えているのは日本とサウジアラビアと中国ですが、この三カ国が「明日から外貨準備をドルからユーロに変える」と宣言すればアメリカは破産する事になる。
ニューヨークのホテル宿泊料の物価から見ればすでに世界通貨はユーロになっているようですが、ユーロから見ればドルと円が安くなっているように見える。円がドルと連動して安くなるのはドルの赤字分を三カ国が買い続けているからですが、日本、中国、サウジが手持ちのドルを売ってユーロを買えばドルの独歩安となって円や元はユーロ並みに上がる。
ドルがこれほど安くなったのはアメリカはイラク戦争で経済的消耗戦を続けているからですが、日本から軍事費を調達して戦争をしている。だからイラク戦争が始まる前に「アメリカを止める事が出来るのは日本だけだ」と書いた事がありますが、小泉首相が「日本は米国債を買わない」と宣言すればアメリカは軍事費を調達できなくて戦争は出来なかった。
もしユーロが「世界通貨」となった場合、アメリカは経常収支の赤字をドルで賄う事が出来なくなりアメリカ国内は超インフレに見舞われることになる。まさにアルゼンチンタンゴを踊るのはアメリカ人な訳ですが、日本、中国、サウジがドルを買い続けているからアメリカは戦争が出来るのだ。
先日安倍総理がアメリカを訪問しましたが、ニューヨークタイムズやワシントンポストなどの新聞各紙はまったく安倍総理の訪米を報道しなかったそうです。テレビでも安倍総理の発言はカットされて日本に対するアメリカのマスコミの軽視ぶりは目に余る。それに対して中国やイスラエルの首脳が訪米すると大々的に報道される。そんな扱いをされると日本国民も日本はそんな程度の国と錯覚する。
アメリカ人は日本がドルを買い続けるのは当然と思い込み、日本が国内に米軍基地を置き続けるのは当然と思い込んでいるから、日本という国が軽く扱われるのですが、そうなるように洗脳しているのが日本のマスコミでもある。そして日本の政治家は日本の持つ外交カードを使おうとしない。橋本総理の発言問題が尾を引いているのでしょう。
従軍慰安婦問題ではニューヨークタイムズなどは「安倍総理は従軍慰安婦を否定した」と大々的に書き立てるのに、日本の総理が訪米してもまったく無視をする。だからアメリカ国民もアメリカにとっては日本はあっても無くてもいいような国と軽く思われてしまう。
日本にとってはアメリカは重要な貿易相手国でありますが、近い将来ドルが大暴落して日本から物を買いたくとも買えないような事態も想定されます。ドルとユーロの関係がそれを暗示していますが、日本や中国はドルを買い続けてアメリカと運命を共にするつもりだろうか?
吉田繁治氏のメルマガではニューヨークの物価が高くなった事を述べていますが、アメリカでもユーロの基準で物価が動いているのだろうか? 東京でも外資系のホテルラッシュが続いていますが、世界基準では一泊7万円くらいが普通なのだそうですが、東京と世界との物価のズレを感じさせます。
日本では国民が一生懸命に働いて輸出して外貨を貯めても、バカな財務省の役人がみんなドルを買ってしまうから豊かになれない。せめて半分くらいはユーロを買っておけば円がドルの道連れになることも避けられた事でしょう。そうなれば中国もサウジアラビアもドルだと目減りするからユーロに切り替えたかもしれない。
経済エコノミストの中には円安が心配だと言う人もいますがドル売りすれば円が上がる。金利を引き上げても円キャリートレードの逆流も起きるから円は上がる。アメリカは景気対策で金利の引き下げが行なわれるかもしれませんが、日米の金利差が縮まっても円高が起きるだろう。長期的には円はドルよりもユーロに連動して動くような形になるかもしれない。
円安傾向については24日にも書いたように80年代から続いた円高の歪の是正に役立てるようにすべきだ。円安になる事はドル資産からの利払い配当収入が円建てでは増える事になりプラスだ。人件費や生産コストも円建てで見れば安くなり賃上げにつながり国内的には消費にもプラスだ。今までは円高で乾いた雑巾を絞るようなコスト削減に努めてきましたが、円安でその分が黒字に反映される。
中国もドル連動で来ましたが、ドルがこれだけ安くなるとデメリットが大きくなり、石油などのエネルギーや原材料が割高になり交易条件が悪化する一方だ。国家においては一番効率的な金の使い方としては輸出と輸入とが収支トントンにするのが一番効率的な金の使い方であり、黒字ばかり貯め込むのは効率的とはいえないし、ドルが紙切れになれば元も子もない。
長期的に見れば円や元は、ドルに対して3割から5割くらい値上がりする可能性がある。円安の今こそ海外のドル資産を売って円に替えておくべきだと思うのですが、逆に円キャリートレードで円からドルに替えられている。金利の高い通貨は将来は下落して金利の安い通貨は高くなる。
本来ならば日本は円高で世界から金が集まり株や不動産も高くなり諸物価も上がるはずだった。しかし90年代から円高にもかかわらず株や不動産は暴落した。政府日銀は円相場にばかり介入して株式相場や不動産相場には放置した。マスコミも株や不動産が少しでも上がるとバブルの再来と騒ぎ立てた。
欧米などの株や不動産を見る限りでは株や不動産が上がる事は良い事なのですが、日本では株や土地が上がるとマスコミの経済記者がバブルだバブルだと書き立てる。それは景気を良くしてはならないと言っているのと同じ事だ。バブルとは景気そのものでありバブルを潰せとは景気を潰せと言う事と同じ意味なのだ。だから世界的なバブルにもかかわらず日本だけがカヤの外でデフレに陥ってしまった。