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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu144.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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国家財政の巨大な赤字を解決するため本来はインフレ政策を
とるしかないのだが、20年余りひたすらインフレ忌避で来た。
2007年5月24日 木曜日
◆日経の「円安分析」への違和感 5月23日 国際派時事コラム
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200705230000/
きょう5月23日の『日本経済新聞』が1面左肩のコラムで円安について解説していた(滝田洋一編集委員)。
≪長い目でみれば海外との成長力格差という日本経済のもろさを映している可能性がある。≫
という、評論家の田中 宇を思わせる逃げ半分の口上(こうじょう)を、整理部が断言調の大見出しにしていた:
≪円、主要国通貨で最弱に
成長力の格差が背景に≫
円高になっても円安になっても「タイヘンだ!」と言ってばかりのメディアには、毎度うんざりだが、
わたしに言わせれば、円はようやくにして過去の異常をゆるやかに調整する局面に入ったというべきだ。
もっとも分かりやすくいえば、
「日本いじめ」のプラザ合意より前の状態へのゆり戻し。
何が悪い。
人工的に円高にさせられ、国際比較で「日本の物価は高い」とうんざりするほど言われ続けて20年余り。
ようやく普通に近づいて、何が悪いのか。
円安は、インフレ政策を代替しているとも言える。
国家財政の巨大な赤字を解決するため本来はインフレ政策をとるしかないのだが、日本の政治はこの20年余りひたすらインフレ忌避で過ごしてきた(たぶんこれからも)。
とすれば、国家財政の赤字をドルベースで、ないしユーロベースで縮小させるには、円安に振るしかない。
円安になっても、国家財政赤字もGDPも共に縮まるから意味がないじゃないか、という論者は、日本が今や海外投資からの収益で生きる国になっていることを忘れている。
日本領内に目線を限ったGDP(国内総生産)ベースでものごとを考えるから間違いなのであって(さきの日経記者もその例に漏れない)、
海外投資収益も含めたGNP(国民総生産)ベースでものごとを考えればいい。
GNPのうちの海外投資収益はドルベースやユーロベース、元ベースだから、
円安になれば、
円ベースでの国家財政赤字は金額的に変わらないのに、
円ベースでのGNPは膨れ上がる。
とにかく、国家財政赤字をインフレによって乗り切ることで国民が負担を分かち合うという選択をしないのであれば、
ドルベース、ユーロベース、元ベースの収入を膨らませることで乗り切るという選択が浮上せざるをえないのだ。
それにしても、「ユーロ高はEU圏の経済成長の反映だ」といった論を散見するのだが、
ヨーロッパのいったいどこに成長のネタがあるのか、
実感としてさっぱり分からない。
ヨーロッパに、米国や日本を凌駕するいかなる技術革新が生じているというのだろう。
わたしには、ユーロ高・ドル安は、工業が空洞化しすぎた米国国内でふたたび工業が振興するべく、調整が行われているとしか思えない。
それが自然な(神の手による!)調整なのか、米国支配層の意図の反映なのかは、分からないけれど。
◆「ユーロ高」について。 5月24日 ニュースと感想
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/main.htm
ユーロの相場が上昇しており、円安・ドル安に対して、一人勝ちの状況だ。これを見て、「欧州はすばらしいが、日本はダメ」と自嘲している経済解説記事がある。読売の経済部次長によるもの。(読売・朝刊・コラム 2007-05-20 )
「羨ましい、羨ましい」と思うのは勝手だが、そこにはひどい誤認が二つある。それを指摘する。
(1) 日本の円安
日本が円安であるのは、なぜか? 日本が円高政策を取って失敗したからではない。逆に、円安政策を取ったからだ。「円安はすばらしい、どんどん円安にしよう」と。特に、マネタリストといわれる連中がそうだ。また、トヨタを初めとする、輸出企業に牛耳られた経団連もそうだ。
では、その本質は? 「(国際的に見た)賃金低下」である。それによって、輸出企業の国際競争力は強まる。まさしく、狙い通り。その一方で、国民の(国際的に見た)賃金水準は低下する。
要するに、ことの本質は、「労働者を虐待して、企業を優遇することで、企業の業績を改善すること」である。それを狙って、それを実現した。単に、そういうことをやっただけだ。
比喩で言えば、右手の富を増やすために、左手の富を減らした。しかも、全体で見れば、富の総量は減っている。だとしても、右手(企業)の富だけは増えているから、右手はウハウハと大喜びだ。……右手だけのエゴイスティックな勝利。国を滅ぼして、右手だけが得をする。
ここで、この経済次長は、右手または全体に着目して、「右手の富が減っている」または「全体の富が減っている」と嘆く。よそをみて、「あっちの家では、右手の富が増えているし、全体の富も増えている」と羨む。
ことの本質を見誤っている。日本は右手の富を増やすこと(円高)に失敗したのではない。左手の富を増やすこと(円安)を狙ったから、まさしくそうなっただけのことだ。
ある国に、狂人がいた。狂人は自分で自分の右手を切って、ケガをした。しかるに、他人を見て、羨んだ。
「あいつは右手をケガしていない。なのに、おれは右手をケガをした。おればかりが割を食った。ああ、おれはなんて不運なのだろう。神様、どうかおれにも、少しは幸運を分けてください。それが平等というものです」
自分が何をやっているか気が付かないで自殺行為をする狂人。それが日本だ。
(2) 欧州のユーロ高
欧州のユーロ高を見て羨むのは、逆の意味で馬鹿げている。たしかに経済は好調だが、日本と同様に、経済の絶対水準そのものは低い。成長率が2〜3%ぐらいになっているという意味では、日本よりは先の見通しは明るいが、現状を比較すれば、やはりひどい失業が蔓延している。
本当をいえば、欧州のユーロ高は、経済学的に間違った政策である。もっとユーロ安になるような経済政策を取るべきだ。つまり、財政赤字を拡大して、物価上昇率を高め、通貨価値を下げる(ユーロ安にする)、という政策を。そうすれば、物価の上昇にともなって、経済規模は自然に拡大し、失業も収束する。それが、あるべき姿だ。
現状は、武士の痩せ我慢に似ている。ひもじいくせに、見栄ばかり張って、失業という苦痛に耐えている。見栄をよくする代償として、実質を悪化させている。他人から「すばらしい」と称賛されても、実状はひどいものだ。
つまり、日本から見れば、ユーロ高はすばらしいと見えるが、それは見かけだけであって、実状は見かけ倒しなのだ。見栄っ張りの空威張り。日本という阿呆をだまして威張れる効果はあるが、自分自身は苦しんでいる。
まとめ。
日本についても欧州についても、人々は経済認識を間違えている。通貨が高いかどうかということは、経済の指標にはならない。比喩的に言えば、他人に見える背広や自動車を立派にするかどうかということは、所得の指標とはならない。見かけの指標となるだけだ。
真の経済指標は、GDPや失業率だ。どんなに通貨が高くても低くても、人々が失業や低賃金に悩んでいる状況では、それは悪しき状況なのである。
なのに、「通貨が高い、通貨が低い」というふうに騒ぐのは、物事の本質を見失った態度だ。
物事の本質を見るべし。見かけよりも、核心を見抜くべし。
[ 付記 ]
「通貨が高い、通貨が低い」ということは、経済指標ではなくて、経済的な対処の一つにすぎない。対処の有無は、病気の有無を意味しない。
比喩的に言えば、「風邪薬を飲むか飲まないか」というようなものだ。で、「風邪薬を飲むのは、風邪を引いている証拠だ」と思ったあげく、「風邪薬を飲まなければ、病気だということにならない」と思う人もいる。だが、そう思って、「だから、風邪薬を飲まなければいい」と思うのは、馬鹿げた態度だ。
風邪のときには、風邪薬を飲むか飲まないかで決めつけるべきではない。まずは、風邪であるかどうかを正しく認識するべきだ。つまり、真実を見抜くべきだ。
(私のコメント)
日本の秀才エリートの特徴としては記憶力と対応力には秀でているが、前例の無いような出来事に直面すると「固まってしまう」というか、創造力に欠けるために柔軟で変幻自在な対応が出来なくなってしまう。つまり教科書に載っていることに対しては適切に対応が出来るが、教科書に載ってないことに対しては秀才の誉れが邪魔をして適切な対応が出来ないのだ。
1971年のニクソンショック以前の固定相場制の時の常識が、変動相場制では常識ではなくなってしまう。為替相場は固定であるべきだと言う当時の大蔵官僚の常識がニクソンショックで引っ繰り返されてしまった。しかし大蔵省の柏木顧問は固定相場制にこだわり外為市場を開け続けた。
90年代の円高についても大蔵省は円相場は固定的であるべきだという常識にこだわって、円高になるたびに巨額のドル買い介入を続けて国際的為替投機筋を儲けさせた。韓国でもウォン高で為替介入をしていますが名高い「ワロス曲線」介入でまたしても為替投機筋を儲けさせている。
◆韓国に忍び寄る通貨危機 ワロス曲線 2006年1月26日 ピーノの独り言
http://pinoccio.at.webry.info/200601/article_31.html
このワロス曲線からこんな取り引きが行われていると予想できまつ。
安く買う 介入と また買う
↓ 一緒に ↓
\ 売る /\
\ 介入 ↓/ \
\ ↓ / \
\/ \
wonを買っているのは米ヘッジファンドで、介入をしているのは韓銀(韓国中央銀行)です。
つまり、米ヘッジファンド(通称:ハゲタカ、禿)vs韓銀の戦いでつ。
この図では$1=986.5wonの水準でwonを維持したいと防衛をしているのが韓銀です。
そうです、カンのいい人ならおわかりでしょう。こんなラインは本来有り得ないのです(爆w
985になるたびに介入することが分かっているなら、アフォォォな香具師でも安値で買い、高値で売ろうと思うでしょう。何度もいいますが、こんな読み易いラインは有り得ません(w
例を挙げましょう。
$1=986.5wonの時に、$1000をwonに両替したとしましょう。すると、986500won
$1=985wonの時に、その986500wonを売ります。すると、公式は
1:985=x:986500ですから、答えは$1001.52・・・、つまり、$1.52げっっっと!です。
これが数時間単位でしかも想像もつかない額で繰り返されてるわけです。
同じ金額で押し合っているように見えて、その実、金を吸い取られているという訳です。
(私のコメント)
90年代は日本政府日銀はこれと同じような事をして為替投機筋を大儲けさせた。日銀が確実に買い戻したり売り戻してくれるのだから投機筋は介入すればするほど儲けは大きくなる。アメリカ財務省もFRBも国債やドルを発行しても日本が買い支えてくれるのだからアメリカは笑いが止まらない。
このようなことが出来たのもドルを補完してくれるような通貨が円しかなかったわけですが、ユーロの登場で状況が少し変わってきた。ユーロはドルに代わるべき基軸通貨の座を狙っている。しかし円とドルとの攻防戦のような事は起こらずユーロ高を黙認している。そして世界の大金持ちは少しづつドルからユーロへ財産を移している。
日本はどうしてユーロと同じような対応が取れなかったのだろうか? 確かに円が高くなれば日本の輸出企業はピンチになる。さらにドルが暴落すればアメリカ市場に物が売れなくなる。だから日本政府日銀はドル買い介入でドルの暴落を防いだ。しかしこの事は必要な事だったのだろうか? 単に為替投機筋を儲けさせただけではないのか?
2003年の35兆円介入以来、政府日銀の為替介入はピタリと止んでいますが円はドルに対してかえって安くなってきている。バカなマスコミはまたしても円安が心配だと大騒ぎしていますが、円高でも騒ぎ円安でも騒ぐ。財務官僚たちの固定相場にこだわった考えがマスコミの記者に反映しているのだ。
最近のユーロ高の動きは90年代のドルから円への流れがドルからユーロへ流れが変わったためで、「国際派時事コラム」で書かれている通りに85年のプラザ合意以来の円高圧力から解放されたのだ。これはドルと円との二極体制からドルと円とユーロの三極体制に変わった事で多極化して行く流れだろう。
アメリカはこの流れに対してドルの基軸通貨体制を守る為にイラク戦争に踏み切りましたが結果は裏目に出ている。アメリカは中東の石油を武力で抑えることでアメリカとドルの威信を保とうとしたが、イラク戦争の泥沼化で一極覇権主義の崩壊はかえって早まった。結果からいえばアメリカは罠に嵌められたのかもしれない。
71年のニクソンショックから通貨は金兌換紙幣から管理通貨体制に変わった。それからはアメリカは基軸通貨の特権を生かして紙幣を刷りまくって世界から物を買う体制に切り替えた。しかしその体制も終わりに近づきつつある。世界各国もドル一辺倒からバスケット方式に切り替えていく事だろう。
最近の円安傾向で日銀もゼロ金利を解除して金利を引き上げる計画なのでしょうが、インフレ政策の効果が現れてから金利を上げていくべきだ。逆では景気回復の足を引っ張る事になる。円安になることでこれから起きるのは企業業績の回復と株高と土地高が連動して起きて資産インフレが起きる。円安で企業業績が良くなれば人手不足で人件費も上がり消費にも好影響が出てくる。
90年代はアメリカからの円高圧力と中国からの低賃金によるデフレ圧力の挟み撃ちで日本経済は戦後最大の危機を迎えた。EUも90年代の日本のようなユーロ高と中国の低賃金デフレ圧力に直面していますが、日本の失敗例があるから金利をむやみに下げる事はしていない。しかしバブルが崩壊したら下げざるを得ないだろう。だからバブルは崩壊させてはいけなかったのだ。