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経済同友会の消費税16%の愚3章、年金を消費税で徴収すること。
消費税16%のうち9%を年金に回すとは、なにか。
先ず、始めに言うのは、この消費税をかけた場合年金に回せるような増収分は見込めないであろう。この提案に一番欠けているのは、今この税金を掛けるとどれだけ売上が下がるかという確かな見込みをしていないことであろう。普通の法人税や所得税を増やす時売上が直接減るということがないので、そういう議論をしてこなかったところに問題があろう。デフレでは貯蓄が少なく、使える消費に使える資金が少ないため、価格の引き上げは確実に消費減を招くのである。
そこが消費税と法人税、所得税の違いでもある。
年金は今のお金を将来に回すものである。すなわち
今、資金を消費税という形で吸収し、それを将来に使おうというものである。デフレは資金が生産力以上に減少している状態である。それ故デフレの時に資金を回収することは、今の経済をさらに縮小させることである。デフレをさらに促進させ、将来の見通しが立つとは思えない。
しかしそれとは別に今までの所得の高低により年金を徴収するのと、消費税から年金を取るのとはどういう違いがあるのだろうか。
まず年金というものの性格は、壮年期の働き盛りにその余得を老年期に回し、生涯の均衡を図り、経済の安定装置の役目を果たすものである。個人の所得の高低に応じて年金が掛けられるとすると、デフレの時は、所得の低下により少なく徴収され、インフレの時は所得の上昇により多く徴収される。正常時は、正当に徴収されることになる。それ故デフレの時は少なくインフレの時は多くという経済安定装置が自動的に働く仕組みが機能する。将来に回った資金はデフレの時であっても本来貨幣価値に関係なく同じように支給され、インフレの時も貨幣価値と関係なく支給されることになるから経済的に自動安定装置が働くことになる。
これをデフレだからと言って年金の支払いを減じたり、インフレだからといって年金の支払いを水増ししてはいけない。これをすると経済の安定装置が働かなくなるからである。(今現在日本の政府が取っているデフレにおいて年金支払額を物価に合わせてスライドさせることになんら経済的なメリットはない。デフレにおいてただ単に資金を市場から引き上げているに過ぎないのである。また逆にインフレだからといって物価にスライドさせて資金を市場にいれても経済的なメリットはない。単に政府の弱者へのアピールに過ぎず長期の目で見れば失敗である。)http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
しかし消費税で年金を徴収した場合どうなるであろうか。
消費税の増税は、薄く広く広範囲にわたりだれにでも掛かり、生産力に対して資金を急激に減少させ、所得線の角度を下げるものである。これはインフレ時でも、正常時でも、デフレ時でも同じように資金を減少させるものである。インフレ時の消費税増税は理にかなったものであり、資金を吸収することにより正常な経済に近づけることができる。正常な経済の時は、資金の減少が貯蓄の量より少なければ、普通の景気の循環における不景気を招来するが、デフレに陥ることはない。しかしデフレの場合、デフレスパイラルを招来するような経済縮小を招くことになる。
それ故インフレ時は経済安定装置になりうるが、正常時は悪い方向に引っ張るだけであり、デフレ時は経済危機を招来するものである。それ故正常時やデフレ時は経済安定装置は働かず、片寄った方向に進ませることになりより危険と言えるであろう。
さらにもし年金の受け取りが所得に応じてなされるとしても、あるいは1律に支払われるとしても、年金受給者は全体の2割ぐらいであるから、所得線の角度を上昇させる力はない。所得線上をわずかに上昇するのがせいぜいであろう。
年金の徴収は消費税でするなら、所得線の角度を下げるものであり、年金の受け取りが所得線の角度に影響を与えないで所得線上を上昇するものなら、年金の受給は常に下への圧力が大きい政策になる。
年金などの長期にわたる政策は、経済的に中立的な意味を持たすべきであり、片寄った政策を取ることはどこかでその帳尻合わせが働くものである。それが経済というものであろう。
経済同友会が提案している、年金保険料を無くすがその分を消費税で補うとは、インフレ時においては良い政策になろうが、正常時は大きな不景気を招き、デフレ時は危険すぎて理論的な根拠を失っている。
デフレに対する生半可な知識で、消費税増税を考えてはいけないし、国民に迎合するような、あめ玉をしゃぶらせるような事を言って、年金を消費税で取れば、国民をさらなるどん底に陥れる事になる。いずれにせよデフレにおけるまともな政策と言えないであろう。これが日本経済に大きな責任をもつ経済同友会の提言だけに嘆かわしい限りだ。
今までの経済理論がデフレには役に立たないことを早く認識し、政策の根本を改めねばならないのだ。