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http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=501&more=1
ロシア・ノーボスチ通信社、解説員タチヤナ・シニーツィナ。
その設立指令に最近ウラジミル・プーチンも署名した国営企業「アトムエネルゴプロム」社(原子力エネルギー産業社)は、最近2年以内に実現可能なロシア原子力分野の大規模改革を行なう国家課題の結果、設立される企業である。これは、基本的には、ロシアが、原子力エネルギーの可能性を新段階に上げる努力をしながら、目指している計画を実現させるための重要な技術基盤になる。連邦原子力エネルギー局は、新しい改革の構想者であり作成者であるが、国家支援なくして改革は実現しないことを強調した。従い、改革者の最初のステップとなったのは、議会で承認され、プーチン大統領の署名で承認された原子力分野の発展戦略の連邦目的計画(2006年)だった。
別の重要な「原子力」書類、株式上場会社「アトムエネルゴプロム」設立の手順を決める政府の決定は5-6月になり、すべての設立手続きは2008年までに完了させるとのことだ。
「アトムエネルゴプロム」社は、その傘下に、すべての平和利用原子力エネルギーに関する計画を集中させ、原子力分野のすべての民間企業を統合させる100%連邦所有の会社になる。最初の段階では、会社には、30社の株式を資本に組み入れる。そのうち巨額投資するのは「TVEL」社(TVELはロシア語で熱放出成分という意味)、「テクスナブエクポート」、「アトムエネルゴマシ」だ。その後55社の株式も資本に入れることになっている。「アトムエネルゴプロム」社の垂直統合型構造は、ウランの採掘と濃縮、核燃料の製造と加工、そして原子力発電所の設計と建設といった、一連の自然循環産業サイクルを論理的に連結し再統一することになる。
巨大で垂直統合型原子力独占企業の設立構想は独創的であるということではない。世界には、すでに、高い水準の競争力を持ち、信頼性があり、安定しているAreva-Siemens、General Electric-Hitachi、Westinghouse-Toshibaのような巨大原子力企業はすでに存在している。「アトムエネルゴプロム」は、これらの国際企業の直接の競争相手(あるいはパートナー)になるだろう。専門家の見方によれば、アトムエネルゴプロム社には、原料の採掘から発電までの工程上の完全サイクルを持つという有利さがあるとしている。
「アトムエネルゴプロム」社の内部が独占構造になっていることは、多くの非常に重要な優越点を持っている。それは、企業内のコスト低減、管理が総合的に行なえること、価格体系を自社なりに操作できることである。ロシア下院のエネルギー、輸送、通信委員会原子力エネルギー下部委員会議長のヴィクトル・オペクノフは、「会社の設立はロシアでの原子力エネルギー発展の新しい時代を切り開く」と確信している。議会は、「アトムエネルゴプロム」社の設立を「原子力界の前に立っている大きな課題を解消するのに十分に堅固になるエネルギー分野の再生に向けての動き、多数の企業を一つの管理体系下への統一」であると見なしている。
大きな課題とは何を指しているのか思い起こす必要がある。会社の設立は、近々12年以内のロシア国内での26の新しいエネルギー設備の建設計画の遂行、外国での原子力発電所建設の積極化、ウラン採掘と加工の問題の解決、新しい燃料資源鉱床の試掘と開発、科学及びプロジェクト事業の発展、さらにはエネルギー関連企業の近代化と建設、などの促進材料となる。
このような巨大な課題を解決するためにどのような人材力が要請されているのだろうか?最近の15年、ロシアが国内の崩壊と社会的政治的体制変質から自分に戻ろうとしていた時、リベラルな価値と市場経済への改革が芽生え始めていた時、多くの産業セクターでは世代の人材的継承性が失われた。ヴィクトル・オペクノフは、「現在エネルギー分野が提起している問題点が陰鬱のきっかけになってはならず、その研究が最大に人員を動因できるシグナルでならなければならない」と指摘する。エネルギー分野の問題解決に国家が巨額の財政支援をしていることも希望の持てる材料だ。オペクノフによれば、原子力エネルギー分野の発展だけで2015年までに1兆5000億ルーブル(6兆4500億円)の資金を投じる計画だ。このような巨額の資金基盤があれば人材を呼び込み育成する大きな可能性が出てくる。
「アトムエネルゴプロム」社の傘下には、3つの最大級の学術センターが参入し、それらはモスクワ、サンクト・ペテルブルグそしてオブニンスクにある。これらのセンターを基盤に人材を育成する。エネルギー産業は現在すでに、モスクワ工科物理学大学、ウラル工業大学、トムスク国立大学などのような著名大学と一緒に大きな仕事をしている。ヴィクトル・オペクノフは「我々が極めて難しい課題に取組んでいることは疑う余地がない。すべてが順調に行くわけではないことは理解できる。計画の修正も出て来よう。時間も掛かるだろう。しかし設定された発展の方向は上に向かうのみだろう(我々は1日だけ生きているわけではない!)」と指摘する。
この根幹的な改革の結果、ロスアトム(ロシア連邦原子力局)自身は変わるのだろうか?エネルギー分野は、軍事部門とエネルギー部門の2つの巨大核部門から成り立つことになるが、組織の統一性は維持された。軍事部門は、国家の課題を解決する独占組織で、エネルギー部門の「アトムエネルゴプロム」は、原子力技術をグローバル市場で競う商業会社になる。ロシア連邦原子力エネルギー局は、原子力分野の軍事利用と平和利用の方向を接合する連結環になる。