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http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070514/124756/
「ニンテンドーDSの販売が2006年度に国内で900万台を超えたのは、いささか異常。日本では単年度で販売台数が600万台を超えたハードはない」――。4月27日に行われた2007年3月期の決算説明会。任天堂の岩田聡社長自らが「異常」と言う「DSブーム」の社会現象は、昨年度の任天堂の決算に大きなインパクトを与えた。
2007年3月期の連結業績では、売上高は前年比89.8%増の9665億円、営業利益は同150.2%増の2260億円となった。創業以来の好業績を受け、期末配当予想を410円から620円に上方修正した。株価は今年に入って上場来高値を何度も更新し続け、5月7日には3万9800円の高値を付けた。現在も、4万円をうかがう水準で推移し、連結予想PER(株価収益率)は30倍を超える。
DSの異常な売れ行きに、昨年12月に発売した家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」が拍車をかける。今年3月末までの全世界での販売台数は584万台で目標の600万台を達成することはできなかった。しかしこれは「生産が追いつかなかった」(岩田社長)ためで、需要は旺盛。利益率の高いWii向けソフトの販売本数は2884万本と目標の2100万本を大きく上回り、Wiiブームの予兆が見えてきた。
今期のカギは米国市場の攻略
絶好調の前期。今期、2008年3月期は好調を維持できるのか。そのカギは、米国市場が握っている。「世界最大の米国市場への普及無くしてゲームプラットフォームの成功はない。今年は特に米国市場に注力し、ゲーム人口拡大の確かな手応えをつかみたい」(岩田社長)。
岩田社長が3年前に掲げた「ゲーム人口拡大戦略」は、DSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)」の爆発的なヒットを契機に、日本で受け入れられた。結果、従来「1:2」だった日米のゲーム市場の比率は、DSになると「1.5:1」。米国を日本が逆転している。Wiiに関しても、今年3月までの数字を見れば、日米の売れ行きは同等で、日本の倍には至っていない。
いまだに、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション2(PS2)や、任天堂のゲームボーイといった旧世代機向けソフトが売れる米国市場は「変化が最も遅い市場」(岩田社長)で、明確にゲーム人口拡大戦略が成功しているとは言えない状況だ。
だが岩田社長は2つの資料を提示して、米国市場でも変化の予兆が出てきたことを強調する。1つはソフトの売り上げランキングだ。
2005年の米国のソフトランキングでは、トップ20のうち任天堂製ゲーム機向けのタイトルはわずか2つだった。ゲームボーイ向けが2位に入り、DS向けがギリギリ20位に食い込んだだけで、残りの大半はPS2が占めていた。
それが、2007年1〜3月のランキングになると、Wii向けが3タイトル、DS向けが3タイトル、その他1タイトルがランクイン。任天堂の存在感は確実に大きくなっている。ちなみに欧州の各国ランキングでは、トップ20のうちほとんどをDS向けタイトルが占めており、日本と同様の「DSブーム」が始まっていることが分かる。
もう1つの資料は、発売後5カ月間のゲーム機の普及台数。次世代ゲーム機で比較した場合、PS3の119万台、米マイクロソフトのXbox360の121万台を大きく超え、Wiiは212万台とスタートダッシュで大きな差をつけた。これは、過去の米国でのヒット機種、PS2やXboxを上回る数字である。
今期も上方修正を重ねるか
日本と欧州で「ブーム」を巻き起こしているDS旋風は、じわりと米国にも届き始めている。これまでゲームに触れてこなかった層がDSでゲーム機の楽しさに気づき、Wiiも購入する。この、任天堂のゲーム人口拡大戦略は、今のところ、順調に推移していると見てよい。
岩田社長は今期を、「DSは1家に1台から1人に1台の流れができており、今後は過去の限界普及台数の壁を破る段階。Wiiは家族全員に関係があると認識してもらい、可能性をアピールすることが必要な段階」と位置づけた。2008年3月期は売上高1兆1400億円、営業利益2700億円、純利益1750億円を見込んでいる。
販売目標は、DS本体が世界で2200万台、DS向けソフトが世界で1億3000万本と前期並みの数字。Wii本体は世界で1400万台と今期の3倍程度で、Wii向けソフトが5500万本と今期の2倍程度を予想している。
だが、これは控えめな数字。好調だからこそ、慎重な見積もりをするのが岩田流であり、本人も「異常な売れ行きを前提に計画を立てると、アグレッシブに過ぎるということになるので、少し控えめな予想をした」と話している。
今期はDSの脳トレのような、Wiiの爆発的なヒットを呼ぶかもしれない目玉タイトルの投入が予定されている。お茶の間をフィットネスクラブに変えてしまう健康管理ソフトの「Wiiヘルスパック(仮)」がそれだ。
控えめな予測と、何度も上方修正を重ねて来た前期の実績。米国での前兆。そして目玉タイトルの投入を考えると、今期も当初の予測を超える業績となる可能性が極めて高い。任天堂旋風は、今期も世界を駆けめぐり続けそうだ。