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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070501/123991/
急騰する中国株式市場の分け前にあずかろうとする投資家の初心者たちが、口座を新設するために中国招商証券の北京支店に列をなしている。大忙しの担当者は申請用紙を手渡しながら、1日にざっと100人、1年前の5倍もの新規顧客を獲得していると言う。
支店では、学生や年金生活者が入り混じる個人投資家の一団が大きな電光掲示板に明滅する株価に目をやりながら、売買するためにコンピュータ端末の周りに群がっている。中国史上最大の株式ブームはバブルに変わりつつあるのかもしれない。そして国家の指導者層は懸念し始めている。
もしバブルが弾ければ、それは中国株式市場の16年の歴史の中で、過去のどの下落局面より大きな影響を社会の安定に与えるだろう。
証券会社または投資信託で個人が持つ口座が今、9100万以上ある。投資家の数の推計には大きな開きがある。2001年の前回の株式ブームの絶頂期には、口座数は6000万あったが、投資家の数は1000万人以下と見られていた。今では確実に数百万人は増えている。
証券会社では1日20万口座以上のペースで新規口座が開設されており、4月24日には実に31万を超す口座が開設された。年初来の合計は800万口座を突破。これは、中国市場が4年間の低迷から抜け出し始めた2005年の通年実績のほぼ10倍である
熱狂する中国市場 23歳の学生は6カ月の生活費を投資
行列の中にいた大学生のジャスティン・シン氏(23歳)は、2カ月前に別の支店に初めて口座を開いて以来、約3600元(約465ドル)、ほぼ6カ月間の生活費に相当するカネを投資したと言う。彼の計算によると、それが今では4400元に膨らんでいる。もっと早く始めた人はさらにうまい汁を吸ったにしても、悪くない収回りである。
人民元建てとドル建ての銘柄を合成した上海総合指数は現在、4000ポイントの大台に近づきつつある。昨年の130%上昇に続き、今年だけでほぼ40%値上がりしてきたことになる。
一部のエコノミストは、中国株は企業収益を大きく上回るペースで上昇しており、1980年代末の株価暴落直前の日本を彷彿させると懸念している。新規上場も手伝って、上海と深センの証券取引所の合計時価総額はほぼ15兆元(約1.8兆ドル)に達した。昨年末から87%膨らみ、香港市場の時価総額を超えた計算だ。
学生や年金生活者など、前回の株式ブームの際は慎重だった低所得者層が市場に参加していることで、暴落の痛みが増すかもしれない。前出のシン氏によれば、経済学、経営学を専攻している学生の20〜30%は株を手がけている。
先に北京大学で開かれた「株の神様」(メディアがつけた呼称)、リン・ユアン氏の講義には、彼の手法を学ぼうとする数百人の学生が押し寄せた。中国の株式市場創設以来、4億元稼いだと自称するリン氏は受講生たちに、投資を始めるのは若いほどいいと語った。
今回の上昇相場と前回のそれとの大きな違いは、インターネットと携帯電話の浸透度合いである。シン氏は学生寮でインターネットにブロードバンド接続しているノートパソコンで株の売買をする。過去4年間で各家庭にブロードバンド使用が広まったことで、年金生活者や主婦の市場参入が容易になった。
勤務時間中に株のオンライン取引をする従業員があまりにも多いため、一部の企業は防止策として罰金を導入している。だが多くの従業員がこっそりと売買を行い、電子メールやインスタントメッセージ機能で情報を交換している。携帯電話使用者(つまり都市部に住む成人のほとんど全員)は、株式市場の情報サービスに登録し、ボタン操作だけで売買することができる。
もう1つの大きな変化は、株を買うカネを作るために抵当に入れたり質入れしたりできる資産ができたことである。1990年代後半以降の都市部の住宅私有化で、多くの人が急上昇する不動産を手に入れた。
そして、消費者物価の上昇率が3月末に3.3%と2年ぶりの高水準に迫る中、実質金利は今年、ほぼゼロかマイナスを続けている。このことが銀行預金の引き出しを助長した。北京のアナリスト、ホウ・ニン氏によると、農村部では無許可の貸し金業者が無担保・高利の融資を行い、農民を株式市場へ向かわせている。
中国の指導者層は事態を憂慮しつつ、市場をどう冷やすべきか自信が持てずにいる。数回の利上げと銀行に対する準備金積み増し要請は今のところ、ほとんど効果が出ていない。似たような株式バブルが膨らんでいる隣国ベトナムの共産主義仲間と同様、中国の指導者層も株高が新興中産階級を満足させ、国家の壮大な民営化計画を手助けすることを知っている。
しかし、都市部に住む数千万の中国人が文無しになれば、彼らはその怒りを党に向けかねない。
投機を抑制する措置が導入されると噂される中で、今年に入って2度(2月27日と4月19日)、市場が動揺した。最近市場が揺れたのは、経済成長が予想以上の数値を示し、今年第1四半期のGDP(国内総生産)が前年同期比11.1%増加したためだった。だがすぐに、強気派が市場に戻った。
中国招商証券北京支店の外では、投資家のグループが市場の先行きを議論している。「共産党が開いたカジノみたいなものだ」とある人が言うと、「まだ投資しているのはバカだけだ」と別の人が言う。だが誰も売却は考えていない。