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(回答先: 某経済ブログへの投稿: イングランド銀行(中央銀行)の正体 なぜオーナーを明かせないのか? 投稿者 戦争屋は嫌いだ 日時 2007 年 4 月 30 日 16:44:58)
現在の中央銀行は、勝手に通貨を創造できるわけではありません。
経済が必要とする分の通貨を供給しているだけです。
経済が過熱して、必要とする通貨がどんどん増えてしまうと、生産性向上が追いつかずインフレになったりしますので、こういったときに短期金利の誘導目標を引き上げて、経済を冷まします。長期金利は市場で決まりますので、中央銀行は直接操作できません。
「中央銀行が通貨の増発により経済をいかようにも動かせる」というわけではありません。
1970年代の日本のように、資金が逼迫している経済では日銀が神さまでしたが、現在では経済全体に対して以前のような影響力はないです。
・市中銀行は日銀に当座預金を持っています。
・日本は準備預金制度をとっていますので、市中銀行はその預金残高に応じて当座預金に定められた金額以上の現金を預けておかなければなりません。
・日銀当座預金は無利子です。
・市中銀行は日銀に国債や手形などの有利子有価証券を買ってもらって無利子の当座預金に現金を預けておかなければなりませんので、当座預金残高は法律に定められたぎりぎりに抑えたいわけです。
・日銀の収入は購入した有価証券の利子となります。1万円札の原価が30円くらいだから、9,970円が日銀の収入になる、というわけではありません。
・日銀が信用供与する際には、必ず見合いの資産(国債など)を購入するわけで、勝手に通貨を増発できるわけではありません。
・日本銀行券は、市中銀行から必要だといわれた分を発行しているだけです。市中銀行は預金者が必要だというから日銀に要求しているだけです。
・日銀は日銀券の発行を絞ったりはできません(そんなことしたら取り付け騒ぎになるでしょう)。
・日銀券がどんどん世の中に増えて行くと、見合いの資産として市中から長期国債を買い取ってます。日銀の長期国債買取は単に日銀バランスシートをバランスさせる行為で、財務省を助けているわけではありません。
・当座預金への信用供与も、各金融機関が必要だというから有価証券を購入して、当座預金に記帳しているのです。資金需給が逼迫して、金融機関間の資金融通の場である短期金融市場の金利誘導目標を越えそうになったら、たくさん有価証券を買ってたくさん信用供与することになりますし、資金余剰で誘導金利を下回るようなら日銀が手持ちの有価証券を金融機関に買ってもらって現金を引き上げているのです。
・BOEは準備預金制度を採用していませんが、BOEの財政支援のためある程度の預け金を取っています(金融機関が保有している有利子の有価証券をBOEに売るので利子はBOEがもらう)。
なお現在主流の金融論では「中央銀行のベースマネーの信用乗数倍がマネーサプライになる」という外生的貨幣供給説を取っており、
ベースマネー:パン種
マネーサプライ:パン
信用乗数:膨張率
だから「中央銀行がパン種を沢山あたえれば、膨張率はだいたいいつも同じだからパンも大きくなる」と考えてますけど、これは現実とは異なります。
「そんなことないよ」という方は以下の参考図書(1)に丁寧に解説されていますので、参照してください(といっても話はかみあわないでしょうけど)。
参考図書:
(1)翁邦雄「金融政策 中央銀行の視点と選択」東洋経済
93年発刊とちょっと古いですけど基本的なことは変わりません。
(2)建部 正義「はじめて学ぶ金融論」大月書店
とてもわかりやすく書いてあります。